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終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第六章 青春の冒険編
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第317話 沖縄救出作戦

  沖縄の生存者を救出しても、そのまま置いてくる事は出来ない。俺達が撤退したらまたすぐに、隣国や同盟国だった奴らが奪取しに来るだろう。そこで俺達が考えたのは、島民を本州に連れ帰ってくる事だった。もっと自衛隊員がいたなら、基地を奪取して居座る事も出来たと思うが、如何せん本州だけで手一杯だった。


 今回の作戦は非常に重要で、沖縄を制圧しなければ周辺海域の島々の奪還が難しいという事。まずは先に沖縄本島の制圧作戦を行い、その後宮古島と石垣島を奪還する。その帰りに奄美大島と屋久島の島民の救出をするのだ。その為の最初の作戦である沖縄戦は重要だった。


 更に今回は俺達だけではなく、自衛隊も参加した合同上陸作戦となる。その為、最初の基地奪還作戦が失敗すると、自衛隊員達にも危険が及ぶのだ。そこで要になってくるのは、増援の敵艦艇が到着するまでの時間と、襲撃犯が日本だとバレない事。そこで重要になるのがオオモリのプログラムと、他国の攻撃だと勘違いさせる事だった。


 潜水艦のブリーフィングルームにヨシズミ二尉がやってくる。


「ヒカルさん。まもなく沖縄本島です」


「分かった。みんな、準備は良いか?」


 仲間達に言うと、全員が俺に準備完了の合図を送る。


「よしヨシズミ。基地の制圧は任せろ、時間内に終わらせる。また他国の航空機も全て俺が処理する」


「本当に出来るのですね?」


 するとユリナが言った。


「吉住二尉。私達は確かにみたのよ、ヒカルが日本刀で核弾頭やジェット機を消し去るのを」


「にわかには信じられませんが、全員が同じことを言っていますからね。信じます」


 俺がヨシズミに言う。


「自衛隊のほうは問題ないか?」


「今回の作戦には、第一空挺団の猛者だけを集めました。お任せください」


「よし」


 そして想定していた場所へと到着し潜水艦が浮上した。前回と同じく夜間となっており、俺達はボートで島に向かう。今回は岩場に囲まれた砂浜で、そのままゴムボートを岸壁の草むらに隠す。すぐに皆が銃をくるんでいるナイロンを解いて背負い、岸壁を上って雑木林に入る。


 そこでアオイが手を上げると、フクロウが飛んできて肩に止まった。


「よし、アオイここから内地に基地がある。状況を探ってくれ」


「うん」


 バサバサとフクロウが飛んでいき、俺達はしばらく情報を待った。するとアオイが言う。


「隣国の時より厳重。銃を持った人があちこちにいる。でもゾンビもいっぱいいるみたい」


 それを聞いたクキが言う。


「そうだろうな。今、この周辺諸国は有事に突入しているんだ。恐らく今ごろは西と東の大国がにらみ合ってるところだろ。自衛隊の潜水艦らいげいじゃなかったら、潜入も難しかったと思うぜ」


 それを聞いてヤマザキが答える。


「だからこそ今がチャンスだ」


「まあ、どさくさに紛れてってやつだな」


 ユリナも苦笑いして言う。


「今は日本がゾンビでボロボロだから、誰も疑わないと言うところがミソね」


「そういうこった」


 俺が手を上げて皆に言った。


「行くぞ」


 俺を先頭にして皆がついて来る。全員が警戒態勢を取っており、周辺に兵隊が紛れていないかを注意深く探っていた。


「結構な数のゾンビがうろついている」


 ミオが言う。俺の気配感知にも伝わってきているが、生存者の気配は全く無くゾンビの反応だけだった。それを見てタケルが言った。


「こりゃ周辺に生存者はいねえかもな」


「逆に兵隊も周辺にはいないだろう」


「そうだな」


 そして俺達は更に異変に気が付いた。なんと基地の周りには群衆の様にゾンビが群がっていたのだ。俺達が住宅の陰から基地の方を見るが、見渡す限りゾンビが基地を囲んでいる。


 俺は苦笑いして言った。


「基地で慌ただしく騒いでいるから呼び集めてしまったんだろうな」


 タケルが頷く。


「みたいだな」


 基地の周りには高い鉄格子のバリケードが築かれていたが、ゾンビがその周りを大量に囲んでいたのだった。等間隔で監視塔が作られており、兵士が定期的にゾンビを銃撃している。対応の仕方を間違っているとしか言いようがなく、わざわざ銃撃でゾンビを集めているかのようだ。ゾンビに慣れ切った日本人の生存者ならこんなことはしない。


 それを見てクキが言う。


「もしかしたら軍は最近来たばかりじゃ無いか? 突然アジア圏で有事が起きたからこの基地を復活させたとしか思えない。もしかしたらこうなる前は、兵隊はここにいなかったかもしれないぜ」


 確かにクキの言うとおりだろう。軍隊がずっとここに居座っていたのなら、この周辺のゾンビは駆除していてもおかしくはない。こんなにゾンビがたまっているという事は、最近やってきてバタバタと騒いでいるという事だ。


 その言葉を聞いてツバサが言う。


「なら朗報じゃない? 生存者がいる可能性も高いし、他の国がここに上陸していないって事だわ」


 クキが頷いた。


「だろうな。恐らくは日本がゾンビだらけになって放棄してたんだろう。きっと日本をから米軍を撤退させる為の米、露、豪、中、朝の同盟だったんだ。それが崩れ慌てて基地を復活させたって感じだな」


「周りの国は自分達に被害が及ばないように、それに従ったと言う訳ね」


「俺達がやった作戦は成功だったって事だ」


 それを聞いたタケルが拳と拳を叩きつけて言う。


「日本舐めんなって話だ」


 皆の闘志がめらめらと盛り上がってきた。そこで俺が言う。


「せっかくゾンビが集まってくれているんだ。利用させてもらう」


 俺はスッと道路に出て、一カ所の監視塔に体の正面を向けた。


「断鋼裂斬」


 俺の剣技は真っすぐにバリケードに飛び鉄格子を切り裂いた。群がっていたゾンビ達は、自分達を止める鉄格子が無くなり雪崩れ込んでいく。銃声がなり始め、俺は監視塔に向けて剣技を繰り出した。


「断鋼裂斬」


 銃撃していた兵士もろとも崩れ落ちていく監視塔。ゾンビ達の中に兵士が落ちた。


「よし」


 俺は皆の所に戻って告げる。


「あと数か所のバリケードを決壊させる」


「「「「「「「「「「「「了解」」」」」」」」」」」」


 ゾンビが群がっている場所の鉄格子を次々に破壊し、監視塔をことごとく倒していった。最初は銃撃も聞こえていたがあっという間に飲み込まれ、兵士達はゾンビの餌食となっていくのだった。

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