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終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第六章 青春の冒険編
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第316話 世界変革の始まり

 無事に作戦終了して日本に帰った俺達は、早速仲間を集めて自衛隊基地に集まった。自衛隊が衛星を使って近隣諸国の状況を監視し、計画通りに事が進んでいるかを検証している。


 カブラギが言う。


「まずは隣の国が北に報復しましたね」


「それで?」


「説明します」


 俺達が隣国の基地を破壊した結果、隣国は北にミサイルを発射した。それに対して元より敵対していた北は、報復のミサイル攻撃を行ったようだ。それに対し隣国は、同盟国の力を借りて海上から六千発のミサイルを敵国に打ち込んだらしい。北は壊滅に近い状態になったが、更に後ろ盾になっている国も参戦してきた。


 今はこの状態らしい。


 そしてカブラギが言う。


「良くここまでシナリオ通りに動きました。ちょっと信じられません」


 するとクキが言う。


「そりゃコイツの仕業だ」


 そう言ってオオモリを指さす。


「大森さんのプログラムはそこまで?」


「恐らく僕のAI型ランサムウエアは世界中に広がっています。実際の世界でファーマ―社はゾンビを増殖させましたが、僕は仮想世界で同じことをした形になりますね。だが僕の狙いはそこにはありません。世界のネットワークの破壊を想定しています」


「サイバーテロというわけですね」


「正直これは従来のサイバーテロとは全く違いますし、そもそもランサムウエアでの攻撃は隠れ蓑です。分かりやすく言いますと、世界中にランサムウエアで攻撃を仕掛けている間に、各地のサーバーにAIウイルスを植え付けます。それが母体となって周辺のサーバーにDDоS攻撃を行い始めます。するとそのサーバーは勝手に、マルウエアを作り出して周辺にばら撒く仕組みです。世界中に自動でAIがマルウエアの製造工場を作って行きます。それもじわりじわりとは広がりません。AIは飛び火の様に世界中に広まるまではおとなしくしていますが、広がったのを自己判断したら一気に爆発します」


「よ、よくわからないが、それをするとどうなる?」


「恐らく現在地上にあるサイバー攻撃とは比較にならない被害を、全世界に広めていく事になります。僕の手を離れたプログラムの増殖速度は、過去のコンピューターウイルスの328,354,089倍の速度です」


「全く分からない。そもそも、どうして君がそんなことを出来たんだい?」


「ヒカルさんのおかげです。彼が私の遺伝子を組み替えた結果、思考加速という力が備わりました。皆さんに言っても伝わらないかもしれませんが、僕自身コンピューター並みの演算処理が出来るようになってしまいました」


 するとクキが唖然としている自衛隊員達に言った。


「なっ? わけわかんねえだろ? 言ってる意味が」


「ですね」


「とにかく、日本が助かるためには世界の格差をなくすしかありません」


 するとそれを聞いていたヤマザキが言う。


「大森君。もう少しわかりやすく言わないと」


「えっと…」


 オオモリが少し考えるような仕草をしてから話す。


「ああ。分かりました。ネットワークを介したサービスは壊滅しますし、その事で世界の金融が破綻するでしょう。実際に金や宝石などを持っている人は強いかもしれませんが、電子上のお金は無くなったも同然です。また世界中で情報が上手く伝達できなくなり、AI搭載のウイルスは嘘の情報を世界中で作り出します。ただそれは表面上の被害の話です。世界に散らばったAIウイルスは自己増殖を始め、世界中のサーバーに侵入する為のトライアンドエラーを無限に続けはじめます」


「聞いても良く分かりませんが」


「世界の軍隊はじきに身動きが取れなくなります」


「そのAIウイルスが食い止められてしまう事は?」


「理論上できません」


「なぜそこまでやったのです?」


「日本が一番恐れなくてはいけないのが核です。各国から日本に向けて一斉に核を撃たれたらそれこそ終わりです。だからネットワークを破壊し、戦争を起こす事で日本から目をそらず必要がありました。核を使うとしてもそれは日本なんかじゃない、敵国に向けて撃つでしょう。今の日本には核を撃つ意味が全くないですからね」


「ファーマ―社以外はな」


「ええ」


 俺以外の、そこにいた連中が身震いしてオオモリを見ている。どうやらオオモリは、とてつもない事をしでかしているらしい。しかし俺は今の日本の現状を考えたら、それは大したことだとは思えないのだった。


 そして俺が言う。


「それを踏まえて、次の作戦はいつだ?」


 するとオオモリが言う。


「恐らく十日もしないうちに、世界の軍隊のネットワークが狂いだすと思います」


 それを聞いたマナがみんなに言う。


「えっと、大森君の言ってる事分かんないと思うので言うわ。しばらく世界は日本に構ってる暇が無くなるって事は分かったと思う。時間が出来たから準備しましょうって話」


「なるほどな」


「世界が混乱に陥っているうちに、うちらは体制を整えて世界と肩を並べる準備をする必要があるわ」


 それを聞いていたヨシズミ二尉が言う。


「すでに日本海側を他国の船舶が横切る事も無くなって来ました。恐らくは隣国の有事で、同盟国の軍隊は日本を越えてそちらに行っています。まさに、日本に構っている暇はなさそうです」


「わかった。ならばいよいよ最後の日本を奪還しに行けるという事だな」


 皆が頷いた。


「沖縄ですね。生存者がどれほどかは分かりませんが、もしかしたら同盟国の基地が動いているかもしれません」


「動いているなら好都合だ。そこでオオモリのシステムを稼働させればいい」


 自衛隊員達が顔を合わせて黙る。だがそれにクキが言った。


「同盟国がゾンビまみれになるまで、放っておいた奴らだぞ。もう同盟もへったくれも無いはずだぜ。結局は同盟国は日本を守ってはくれなかったのさ。日本人は皆、守ってくれると信じていたのにだ。まあ一部の人間は俺も含め、こうなる事は分かっていたがな」


 すると自衛隊員達は深く頷いた。カブラギが言う。


「わかりました。では作戦の準備をしましょう」


 そうして俺達は実際の作戦について話し合った。

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