表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第四章 逆襲編
254/628

第253話 強大すぎる敵

 研究所でデータを回収してからしばらくは、東京にいる試験体の駆除を徹底的におこなった。焼け野原の東京を周りつつクラクションを鳴らして集め、俺が駆除をするのを繰り返す。最初の戦闘でかなりの数を狩ったのが功を奏したのか、試験体の数はそれほど多くは無かった。だが超回復してくる試験体に対し、ヘルフレイムスラッシュを使う事が多かったため、日本刀の残数が少なくなってしまう。


 ミナミが俺に言って来る。


「のこりの大刀が三本と短刀が一本。またどこかで入手しないといけないわ」


「どこにあるだろうか?」


 すると脇からクキが言う。


「日本刀なら見たぞ」


「どこで?」


「栃木だ。あんたらを追っている道すがら、刀剣専門の博物館を見た。俺はそこに展示してあった銃を回収して使っていたが、弾丸が無くなって途中で捨てた」


「ここからどのくらい?」


「一時間半やそこらで行くと思うがな」


「そう」


 クキがミナミにそう告げると、ミナミが俺を見る。


「一時間半か。クキのバイクを使って進めばすぐだな」


「回収しにいきましょう」


「ああ」


 俺達がその話をしていると、オオモリが俺達を呼びに来た。


「ヒカルさん! データ取れましたよ!」


「本当か!」


 するとクキが驚いた顔で言う。


「よくもまあ、あんな状態から取り出せたな!」


「まあ、僕もかなり腕が上がったらしくて」


 その間もオオモリとマナは、回収した端末とにらめっこしてどうにかデータを抜こうとしてきた。東京のファーマ―社研究所でオオモリが入手した端末は、完全に死んではいなかったのだ。なんとオオモリは、復旧できるのが分かっていて機器を回収して来たらしい。電源がつかなくとも生きているデータが入っている事が分かったのだとかで、確実にオオモリも特殊スキルが発現してきている。


 そして、とうとうデータの復旧が完了したのだった。


「端末が回線に繋がっていなかったのが良かったですね。その事で電磁波から守られたようです。とにかく見てみましょう」


 オオモリが持っていた端末に、数種類のファイルが保管されていた。そしてオオモリが言う。


「気になったのはこれです。見てください」


 オオモリが数字の羅列されたデータを見せる。


「これは?」


「海外との通信履歴ですよ。どうやら核弾頭が投下される直前まで、通信は行われていたようです」


「どんな内容だ?」


「音声のみですが流します」


「聞かせてくれ」


 オオモリがパソコンを操作し、音声データを再生する。


 それから聞こえる、男の声は切羽詰まっていた。


『ここまで仕上げて来たんだ! これは日本支部の…私の功績だ、いまさら本国の本社にこの権利を全て渡せというのはどういう事だ?』


『元々、会社の金を使って研究させてもらっているのですよ。権利など全て会社にあるのです。ミスターイシイ? 分かっているのですか?』


『しかし、会社で出来ないものを作ったのは私だ⁉』


『もう十分成果は出ました。あとはこちらにお任せください』


『よ、用済みって事か?』


『そもそもゾンビが取り放題と言う事で、ゾンビだらけの東京に研究所を置いてあげたのです。危険を冒して物資を運び、食料を運び込むのはコストもリスクもかかるのですよ』


『まて! ゼクター! CEOはこの事を知っているのか?』


『もちろん了承済みです』


『CEOに繋いでくれ! CEOがそんなことを言ったのか?』


『CEOはお忙しいのです。今ごろは政府をひっくるめて、東側諸国との交渉に奔走されています』


『東側諸国? どう言う事だ?』


『あなたは知る必要のない事です』


『なぜ東側の国が関係してくるのだ!』


『うるさいですよ。それにもうリビングデッドや試験体のデーターは十分だという事です。後はその証拠を消させていただこうかと』


『証拠を消すというのはどういう事だ? データは渡さんぞ!』


『クックックッ! あーっはっはっはっはっ!』


『何がおかしい!』


『残念ながら、すでにこちらの工作員が全てのデーターを回収しました。ですので、もうしばらくの余生を謳歌してください』


『もうしばらくの余生? 何を…』


『あなた方はとんでもないモンスターを作り出したのですよね? そのモンスターからヤクザやファーマ―社の軍が壊滅させられました。そのような裏切者を会社に置いておくわけにはいきません』


『まて! 何の事だ?』


『しらばっくれるのですか? 強大な知的ゾンビを作り出しておいて?』


『まて! 本当に知らん!』


『しらばっくれないでください。幕張のヤクザも壊滅、横須賀基地のヤクザも壊滅しました。更に各地でファーマ―社の私設軍隊が襲撃を受け、かなりの被害が出ているのですよ。挙句の果てに羽田空港を孤立させ、レインボーブリッジを落として、わが社の軍の艦艇を沈めたじゃないですか。しらばっくれないで下さいよ』


『何の事だ! そんなもんは知らん! そんな兵器は開発していない! ようやくゾンビ複合の試験体を完成させたばかりだ!』


『まあ、いいでしょう。ファーマ―社の軍は疎か、米軍や各国の軍隊にも目を付けられていますよ。ですので、ファーマ―社としては日本支部の暴走と言う事でかたがついているのです。リビングデッドをパンデミックさせたのは日本支部の仕業で、日本の独断での事故と言う事になっています』


『なんだと? ファーマ―社がやった事ではないか! 我々はゾンビパンデミックに関与していない!  それを全て我々の罪にするつもりか!』


『もちろん、あなた方にその罪をかぶっていただくのです。裏切者のあなた達に。それにCEOはかなり御立腹です。あなたの裏切りに痛く傷ついておりました』


『ま、まて! 我々は裏切ってなどいない! そのような怪物を生み出してはいない!』


『ふっ。もう手遅れです。間もなく戦略核兵器が着弾します』


『な、なんだとぉぉぉ!』


『ご安心ください。水爆ではなく中性子爆弾です。施設は守られるでしょう』


『くそ! 自爆させてやる! 地下原子炉を改造した自爆装置があるのだ!』


『やれ!』


 ガガッ!


 ・・・・・・・・・・・・・


 そこで会話が終わっていた。それを聞いていたクキが言う。


「トカゲのしっぽ切りだ。日本は切り捨てられたんだろう」


 俺が聞く。


「仲間も殺すのか?」


「そう言う事だ」


 すると隣りからヤマザキが言う。


「どうやら、ファーマー社の仲間割れの原因はヒカルだよ」


 クキが苦笑いして言う。


「そのようだな。拠点やこれまでのお前達の話と合致している。恐らくファーマー社は、ヒカルのことを日本が生み出したゾンビ兵器だと勘違いしているようだ」


「なるほどな」


 そしてそれを聞いていたユリナが言う。


「と言う事は、日本ファーマ―社から何らかの成果を得たという事よね?」


「それが、人類統合標準化計画って事だろう」


 そしてオオモリが言った。


「既に人を操る事が出来ているという事でしょうかね? だとすれば世界中がファーマ―社の思うがままになりますよ」


 それにはヤマザキが言った。


「東側諸国が同盟に合意するというのはあまりにも突飛な話だ。もしかすると、その技術を使ってなし得たのかもしれん」


「かもしれねえな…」


 クキの言葉に皆が沈黙してしまった。現在どこまでそれが進行しているか分からないが、世界がファーマ―社かそれを操る者に操作されている事になる。だがユリナが言った。


「ごめんね。気休めかもしれないけど、あの薬品を頑なに導入しなかった国もあるわ。それに輸入の添加物を禁止している国もある。そんな国の市民はゾンビ因子を保有していないはず。まだ希望はあると思う」


 更にマナが付け加える。


「あとは回線よ。まだ世界に6Gは浸透していないはず。これから世界中で工事されるとしても、浸透するのは時間がかかると思う」


 そしてオオモリが言った。


「あとは技術者の問題ですね。世界中に広めるなら、かなり高度な事が出来る技術者がいる。また、この技術は特許を取っていると思いますので、がっちり契約を結ばない他国へは出さないでしょう。またプログラムもそこまで完成度が高いとは思えません。恐らくはバグだらけで、上手く稼働しないと思いますよ」


 皆の情報を聞いて俺が尋ねる。


「世界に浸透するまでどのくらいかかると思う?」


 すると皆が話し出す。しばらくの間答えは出なかったが、ある程度推測しながら仮説を立てた。それをオオモリが言う。


「先進国に浸透するのは、二年はかかるんじゃないかと思います。発展途上国もとなれば、恐らく五年から七年は要するかと。まあ、若干楽観的な思いも含まれてますけどね」


「ならば、まずは基盤を固める。日本の生存者を助け、自主的に復興出来る状態まで持っていけるはずだ。そして恐らくは、俺達は世界の軍隊と戦う事になるだろう。それに備えてこれから準備をする必要がある。だが俺はそれが無謀ではないと思っている。みな協力してくれるか?」


「もちろんだ!」

「当然よ!」

「ここまで来てやらないって選択肢はないわ」

「やるしかない!」


 そしてクキが最後に言う。


「途中参加で悪いが、俺も役立つと思う。まあ捨て駒だとでも思って一緒にやらせてくれ。世界を相手に神風をふかせてやるさ」


 東京に来てクキに出会い、超回復試験体と戦って本社研究所で情報を入手した。ここにきて劇的に流れが変わり、俺達は強大な敵を相手に戦う事を決めたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ