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終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第三章 逃亡編
202/610

第201話 ファーマー研究員の意識

 研究所内部にも軍人がいたので、俺はすぐに視界に入った奴らを飛空円斬で真っ二つにする。監視カメラを破壊して皆に言った


「俺が潜った研究所と作りは似ている」


「そうなんだな」


「奥にエレベーターがあるはずだ」


 俺達が先に進むとやはり同じようにエレベーターがある。監視カメラを全て破壊し俺はエレベーターの扉を切り開いた。扉から下をのぞくと真っ暗な穴が下まで続いており、俺はタケルを見た。


 タケルも下を覗いて言う。


「言った通りだな。ワイヤー梯子を持って来て正解だった」


「降りよう」


 タケルのリュックからワイヤー梯子を取り出し、壁と壁の出っぱりに引っかけた。


「俺が先に行っている。皆はゆっくり降りて来い」


「了解だ」


 そして俺はエレベーターの暗い穴に飛び込んだ。下に到着するギリギリで壁に手を突っ込んで止める。上からタケル達も次々に降りて来たので、エレベーターの屋根を外した。


「行こう」


 俺が先に降り、皆に手を貸して静かにエレベーター内に降りる。


「扉の向こうに気配があるわ」


「恐らくは兵士だ」


「どうする?」


「タケルが扉を開いてくれ」


「あいよ」


 俺がエレベーター内で日本刀を構え合図をすると、タケルがグイっと扉を開いた。通路に四人の兵士が銃を持って立っている。


「刺突閃 四閃」


 剣撃で頭を撃ちぬかれた兵士達がパタパタと倒れた。


「死体を隠そう」


 監視カメラを破壊し、皆で兵士の死体をエレベーター内に入れ兵士達の銃を肩にかけた。兵士の死体を見たオオモリが青い顔をしているので声をかける。


「大丈夫か?」


「吐きそうです」


 俺はオオモリの腹に手を当てて回復魔法をかけてやった。


「ふう。まるでスパイ映画さながらですね」


「まあな。行くぞ」


「はい」


 通路を横切り奥に行くと、四方がガラスで囲まれていた。


「ヒカル。人の気配は右が多いわね」


「どうするか?」


「どうせやる事は一緒だ。人が多い方が何かと情報があんだろ」


「よし」


 俺達は右に進みガラスを丸くくりぬいた。ガラスは十センチくらいの厚さがあり、それを見たオオモリが苦笑いして言う。


「防弾ガラスなんてもんじゃないですよねこれ」


「そのようね」


「それをヒカルさんは、なんで日本刀でくりぬけるんですか?」


 すると俺が答える前にタケルが言った。


「レベル千だからだよ」


「言ってる意味が…」


「気にすんな。集中集中!」


 俺達が穴から侵入し、人間の気配がする最初の部屋に入り込んだ。タケルが銃を構えて叫んだ。


「手を上げろ! 動けば撃つ!」


 突然入って来た侵入者に、皆が手を上げて反撃の意思が無い事を示した。すると一番奥にいる白衣を着た男が言った。


「君らが、第二研究所を襲った奴らか?」


「そうだ」


「君らは何をやっているのか分かっているのか?」


「どういうことだ?」


「我々は日本を再生する為にやっているんだ? 君らはそれの邪魔をしている」


 それを聞いたミオが言う。


「こんな世界をどうやって再生するつもり?」


「詳しくは言えない」


 俺は日本刀を一番近くに立っている女の首につけた。


「言うまで一人づつ殺していく。第二研究所がどうなったか分かっているな?」


「うう…」


 白衣の研究員たちの額に汗が流れた。いっきに顔色が悪くなり、皆が口をつぐむ。


 プツっと女の首に日本刀の先を刺すと、女が叫んだ。


「まって! わかった! 教えてあげる!」


「おい! そいつらはテロリストだぞ!」


「死にたくない!」


「しゃべるな!」


 するとタケルが天井に向かって銃を撃った。


 ズガガガガガガガ!


「ひっ!」


「他の部屋にも研究員は居るんだろ? だったらここで皆殺しにしてそいつらに聞くさ」


「テロリストが!」


「なんとでも言え」


「……」


 観念したのか男は抵抗をするのを止めた。そして女が言う。


「第二研究所を襲ったという事は、大体の事は知っているんでしょう?」


「おおよそはな」


「私達は、ゾンビだらけのこの地を日本人に取り戻す為に、ゾンビを排除する為のゾンビを開発しているのよ!」


「ゾンビを排除するためのゾンビ?」


「ええ。死体を合わせて複合ゾンビを作ったり、知的ゾンビを作り出してゾンビ掃討部隊を作ろうとしているの!」


 俺達が黙って聞いていると、さっきまで叫んでいた研究員の男が叫ぶ。


「わかったか! 俺達がやっているのは正義なんだよ! テロリスト風情には、その高尚な行為が理解できないだろうな!」


 だがツバサが言った。


「そのために一般人の市民を実験材料にして?」


「それは…」


 今度は研究員が黙る。


「日本人を実験材料にして、日本人を救う? 笑わせないでよ!」


「コラテラルダメージだ! 救う為には犠牲はやむを得ないんだ!」


「むちゃくちゃだわ」


「日本にはまだ数百万人かが生存していると言われている! そのために二千人や三千人の犠牲はやむを得ないんだよ!」


 今度はタケルが言った。


「ふざけんなよ! それで関東近辺の生存者を襲って集めてんだろ? そんなバカげたことを認められるかよ!」


「馬鹿には分からんのだ!」


「なら! お前達が実験材料になれよ!」


「うっ」

「それは…」


「クソが!」


 ドン! タケルが銃で机をたたいた。研究員がびくりとして肩を潜める。そして俺がタケルの肩に手を乗せていった。


「こんな話には意味が無い。情報だけを取ろう」


「あ、ああ…」


 恐らくタケルはこの日本人研究員達の良心を期待したのだ。それが全くないことに怒りそして悲しんでいる。静かになった部屋でオオモリがボソリと言った。


「ファーマー社員は特権階級だと思ってませんか? 自分達は安全だと思ってません?」


「そ、そんな事は…ない」


「それは幻想です。ファーマー社の本部では、あなた達も最後は研究材料にするつもりですよ」


「馬鹿な! 会社に貢献して来た我々を見捨てるはずがない!」


「こんな原発の地下に閉じ込めておいてですか? 兵士の監視のもとで奴隷のように研究させられて、それで会社はここの皆さんを大事にしていると?」


「少なくとも! 研究員はな! 営業社員や電力会社の奴らとは違う!」


「哀れですよ。まあそうやって自分に言い聞かせないと、心が壊れそうなんでしょうけど。いずれにせよ全員死刑に値する事をやってると自覚していないようですね?」


「言わせておけば!」


 男がオオモリに飛びかかりそうになったので、俺は研究員の足を斬り落とす。


「ぐあ!」


 ドサリ! 


 研究員は転がり、足を押さえてのたうち回っていた。出血がひどいのでそのうち動きは鈍るだろう。それを見たミナミが言う。


「縛りましょう」


 そして研究員達を縛り上げ、床に転がしていく。次にオオモリが自分のリュックから、ある機械を取り出して目の前のパソコンにつないだ。


「ハッキングします」


 ミオとミナミが入り口付近に立って外を警戒し、タケルとツバサが転がった研究員を見張る。マナも同じような機械を取り出して、オオモリと同じようにパソコンにつないだ。


「私はデータ回収するわ」


「急いでくれ。地上の兵士達がそのうち気が付く」


「わかったわ」


 二人はパソコンを操作し始めるのだった。

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