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終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第三章 逃亡編
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第174話 装備で補う

 那須高原の別荘地に巣食うゾンビは、数日間であらかた掃除し終わった。やはりゾンビだけでは一定以上のレベルに上げるのは難しい。戦闘系のミナミやタケルはまだしも、それ以外の人のレベリングは難しく違う方法を考えねばならない。


 そこで案が出たのは、同じシチュエーションばかりではダメなんじゃないかと言う事だ。軍隊と戦う事を前提に考えるなら、レベルアップだけじゃなく身体能力の向上を図るべきと言う事になる。


 俺が言う。


「確かにそうかもしれん。だがどこで訓練すべきか、誰か案はあるか?」


「はい」


「ミナミ」


「住宅に侵入しての討伐は身体能力を発揮するところがないわ。縦横に動ける場所でやってみたらどうかしら?」


「例えば?」


 するとミオが言う。


「遊園地はどうかな? いろんな設備があるから、それを利用しながらやってみるっていうのは?」


「おもしれえ、ヒカル! それやってみようぜ!」


「遊園地まで行くのか?」


「ヒカルお兄ちゃん! それなら那須ハ〇ランド〇ークがあるよ」


「近いのか?」


 ミオが地図を見ながら言った。


「ここ」


「…目と鼻の先じゃないか」


「そう」


「やってみるか」


 すぐにバスに乗り込み、俺達は那須ハ〇ランド〇ークに向けて出発する。遊園地の入り口付近にゾンビはちらほらいたが、バスはそれらを跳ね飛ばして中に入って行く。バスが入って行くと周囲のゾンビが寄って来た。


「まあまあいるし、丁度いいんじゃね?」


 タケルが金属バットをポンポンと手で叩きながら言った。するとユミがタケルに言った。


「いくらアミューズメントパークだからって、ゾンビはアミューズメントじゃないのよ。楽しそうにしないでよ」


「俺もレベル上がるかもしれねえし、今までの成果を発揮するところだろ? みんなのレベルをどうやって上げるかも考えねえといけねえし」


「まあそうだけど」


 運転席からヤマザキが言った。


「ならやるって事で良いんだな?」


「みんなはどうだ?」


「このくらいのゾンビで怖気づいていたら、軍隊とは戦えないよね」


 結局、皆が賛成しゾンビを振り切ったところでバスを止めた。俺がユンやリコやアオイに言う。


「ユン、リコ、アオイ。お前達は俺と一緒に」


「「「はい」」」


 あまり力が発現していない二人と、子供のアオイはゾンビ達は荷が重い。そんな三人が見ている中で早速ミオが指示を飛ばし、皆が次々にゾンビを狩っていく。するとアオイが指をさして言った。


「武兄ちゃんが観覧車に!」


 タケルは観覧車によじ登り、内部に居たゾンビを掴んでは引きずり降ろしている。いつの間にかめちゃくちゃ筋力が上昇しているようだ。


「南お姉ちゃんもすごい」


 皆が鉄パイプでゾンビを攻撃している時に、あぶれてしまったゾンビを一人で斬りまくっていた。どうやらミナミは、これまで俺がやってきた役割をやっている。


「あそこに集まって来た!」


 マナがいるところにゾンビが集まって来ており、全員で袋叩きにしている。どんどん数を減らしていくゾンビ達に、皆も手ごたえを感じているようだ。だがすぐにゾンビはいなくなってしまい、皆がバスの周りに戻って来た。


 ミナミが残念そうに言う。


「終わっちゃった」


 タケルも手ごたえがなかったようで、まだ周りを探しているがもうゾンビは周囲にはいない。そしてヤマザキ達も戻ってきて報告する。


「明らかに筋力が上がっている。俺達の鉄パイプがおもいきりゾンビにめり込むんだ」


「それだよね。一瞬抜けなくて焦った時もある」


 ツバサが言うとミオとユミも頷いた。


「やはり武器が必要と言う事だな」


「武器があればもっといけるかも」


 するとリコが言った。


「あの…ちょっといいかな?」


「なんだ?」


「溶接の器具と鉄があれば何かはできるかも」


「溶接? やったことあるのか?」


「もちろん。実家鉄工所だったし」


 それを聞いたマナが言う。


「えっ! じゃあ盾作ってほしい!」


「それなら出来そう」


それを聞いたタケルが言う。


「なら板金屋探せばいい。エンジン溶接機の一台や二台は絶対にあるはずだぜ」


「ならば板金屋に行こう」


「オッケー」


 タケルの指示通りにあちこち動いていると、すぐに自動車修理工場を発見する。ゾンビを始末してすぐに溶接機を手に入れる事が出来た。壊れた時の事を考え、他の場所にも移動して数台の溶接機を入手していく。


 タケルがリコに言う。


「こんぐらいあれば良いか?」


「十分すぎるかな。手袋も面もあったし作業着も手に入れたから問題ないわ。後は素材が必要ね」


 タケルが少し考え込んでから言う。


「もしかしてよ。車にガードとか装甲とかつけれるか?」


「出来ると思うよ」


「そいつは良い」


 するとタケルが俺に聞いて来る。


「ならよ! 鉄工所を探そうぜ。素材があれば面白いものが作れるかもしれねえ」


「わかった」


 俺達は一日かけて鉄工所を見つける。皆で周囲のゾンビを狩り、俺が置いてあった車で簡易のバリケードを作った。今日はアジトに帰らずに、ここで作業をすることが決まった。


 確かにレベルがあげられなければ、装備のレベルを上げる事は間違っていない。前世の冒険者も装備に金をかけて、自分のレベル以上の依頼を受けたりしていた。鉄工所は周りが全て壁で覆われており、ゾンビ侵入の危険性も無い。更に溶接の光が外部に漏れる事も無いので、遠距離から発見される事もないだろう。


 俺はタケルとミナミに言う。


「じゃあ、二人は警護にあたっててくれ。俺は今日の食料を入手してくる」


「了解」

「気を付けてね」


「任せておけ」


 俺は即席のバリケードを飛び越えて、食糧を調達するために街道を走り始めるのだった。

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