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没落令嬢オリビアの日常  作者: 胡暖
婚約者編

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10

 3日後、宮殿で歓迎の舞踏会が開催された。

 この日までは、極力外にでないことを徹底した。セオドア様は、外に出られないフレイヤ様を気遣って、たくさんの貴重な本を部屋に届けてくださったり、様々な薬草が栽培されている、宮殿の温室を案内してくださったりした。

 舞踏会に他国の姫が来ると言うことに、フレイヤ様は少しだけ動揺されていたけど、表面上は問題なさそうだった。セオドア様が心配りしてくださったお陰ね。


「うううぅ、いったぁぁぁい!」

「頑張ってくださいまし!もう少し絞められます!」


 ハンナは今汗を滴しながら必死に私の背中の紐を締めてくれている。え、これ、体型の調節に使うやつじゃないの?こんな必死に締める必要ある?

 椅子の背もたれを必死に掴みながら考える。口から内臓が出る!!

 社交界デビューもせずに没落した私はコルセット未経験だ。最近、仕事で同行するアルフレッドのパートナーとして与えられる服は、フローレンス商会考案のコルセットのいらない最新の服ばかりだからだ。

 こんなに絞められたら、夜会の途中で倒れない?

 不安になりながら、ドレスを着付けられて、化粧を施される。

 フリフリのふわふわのドレスに合わせて、髪も全て上げずに幾つか編み込んだ他は背に流される。

 つり目がちの眼は、化粧で上手に印象を和らげてくれる。

 流石、王宮侍女!腕がいい!

 ほう、と鏡を覗き込んでしまった。


 ◆


「おや、天使が舞い降りたのかと思いましたよ」


 会場に向かうと、当然のようによってくる宰相子息のコンラード様。愛想笑いで振り向くしかない。この人、敵なのよね?


「…素敵なお召し物、ありがとうございます」

「いや、貴女が着るために生まれてきたような服です。きっとドレスも貴女に感謝しているでしょう」


 無機物に感情はないと思うわ。

 歯が浮きそうなセリフだけど、外交問題にならないように、目線をそらして愛想笑いをする。

 なんとか離れたいが、ぴったりと側につかれて振り切れそうになかった。

 そうこうしているうちに、ファンファーレが鳴り響き、セオドア様が入場される。本来なら、フレイヤ様をエスコートする筈だったのだが、婚約者選びの場だと招待された他の王族の姫君の手前、障りがあるということで、セオドア様の後他国の姫君共々、一列で入場されると言う。


 順番に、砂漠の国トルティアのアスリ様、宝石の国アズライトのミラーナ様、毛織物の国シルキアのサハラ様、そして最後にフレイヤ様だ。

 少しだけ気後れして俯きがちに入場してくるフレイヤ様を見て、ぎゅっと唇を噛み締める。他国の姫は皆フレイヤ様より年嵩で、自分を美しく見せる事に余念がないようで、とても綺麗だ。フレイヤ様の不安な気持ちが分かってこちらまで悲しくなってくる。

 あんなに仲睦まじいお二人なのに…。


 そしてダンスが始まる。セオドア様は全員と踊られるようで、トルティアの姫、アスリ様と広間の中央に出てこられた。

 アスリ様は褐色の肌がエキゾチックで、そして自国の服らしい大変露出の多いドレスを着ている。

 腕を絡め必要以上の距離の近さに、思わず据わった眼で見てしまった。


「私達も踊りましょう」


 舞台に集中していたため、反応が遅れた。

 え、っと思った時には、既に舞台に連れ出されてしまっていたのだ。

 アワアワしながらも、曲が始まってしまったので踊り出す。

 改めてコンラード様を真正面から見上げて、思う。

 アルフレッドも後5年程するとこんな感じになるのかな。

 ダンスの時に目の前の相手の事以外の事を考えるなんて、マナー違反だとも思うけれど、だって仕方ない。相手だって無作法なんだもの、知らないわ。

 アルフレッドと踊っている気持ちでクルクル踊る。


 あぁ、どうしよう。動いたら気分が悪くなってきたわ。


「運動をしたので、お飲み物でもいかがですか?」


 ダンス後、スマートに飲み物を渡される。

 良かったわ。気持ち悪くて仕方なかったから。


 あぁ……。


 視界が暗転(ブラックアウト)する。

 グラスが落ちて砕け散る。


「もし。…おや、お酒に慣れていなかったかな?可愛らしいことだ。御令嬢は僕が介抱しよう」


 意識が途切れる瞬間聞こえたのはそんな声と、誰かの温もり。








「失礼。彼女の介抱は僕が代わりましょう」

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