私はあなたのことを決して忘れない。
「久しぶりに外出るね」
彼女であるユキは、なかなか外に出ない。
ユキは急に家から出なくなった。
「君は何をするのが好きだっけ?」
「家でゲームすることかな~」
「ゲームすることだよね。
ゲーマーなんだから。」
「わかってたんかい。
まぁゲーセンにでも行こ。」
「ゲーセンでも行こうかな。」
そして、僕たちはゲーセンに向かった。
「おっとっと」
電車で揺れる彼女、とても危なっかしい。
それすら愛おしく見えた。
「ゲーセンに着いたけど、何しようかしら」
「ユキはUFOキャッチャーじゃない?」
「UFOキャッチャーしよ~」
数分後ーー
「あれ?お金もうこんなに少ないの?」
僕の好きなキャラクターのぬいぐるみだけを
取ろうとしていたけど、
ユキはゲームが下手くそだ。
2000円でなんとかとることに成功した。
「ウィンドウショッピングでもしようかな」
「いいね。あれ意外と時間潰せるからね」
2人で洋服を見に行ったりして、
時間を潰した。すごく楽しかった。
いつの間にか夕陽が沈んでいた。
「じゃあ行こうかしら」
「まだ帰らないのかい?」
「久しぶりにいつもの場所に行こう」
僕はわかった。僕達だけの場所。
綺麗な桜散る場所。
花粉症の僕ですら綺麗だから
春になったら毎回のデートで行った。
僕らはいつもの場所に着いた。
桜がとても綺麗だ。
「久しぶりね。」
私はここに来たくなかった。
知ってしまうから。
気づいてしまうから。
「どうしてなの?」
私は泣いた。
「どうしてあなたは死んでしまったの」
「ごめんな。ユキ」
ここは私たちだけの場所。
私とあなたの場所。
思い出の場所。
お昼に来たり、夜桜を見たりした。
ここに来るとあなたとの
思い出が溢れてくる。
「ユキ…」
君の名前を呼ぶけど、反応はない。
当たり前だ。
僕はもうこの世に居ないのだから。
僕は意を決して言った。
「僕のことを忘れてくれ。」
「え?」
「僕は君のことを決して忘れない。
だけど、君は僕のことを忘れてくれ。
僕は君を苦しめたくない。
君との日々は僕が絶対に忘れないから。
ユキ、大好きだよ。」
「ねぇ、どこにいるの?
あなたは私のことを見てくれてるの?」
神様の気まぐれなのだろうか、
僕の声は彼女に届いていた。
でも、もう名前を呼んでも反応はなかった。
気まぐれは終わってしまった。
「あなたは本当にずるいよ。
忘れられるわけがないじゃない。
私もあなたのことが大好きなんだから。」
私はUFOキャッチャーで取った
ぬいぐるみをこの場に置いて帰った。
僕は意識が遠のいていく。
僕は幽霊なんだから当たり前だ。
ユキに想いを伝えれて、
未練がなくなってしまったのだから。
でも、僕には目的がある。
ーー君のことを決して忘れないこと
あなたは今私のことを見てくれていますか?
私は立ち直るのには時間がかかったけど、
外に出れるようにはなったよ。
ーー私はあなたのことを決して忘れないよ