表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/4

第4話

 100シルバーで1ゴールドに両替できるが、二人の共同貯金はまだ、1ゴールドあるかないかのところで止まっている。

 二人は、この一年間、クエストを達成すると報酬を三等分に分け、クウガとユウカ、それと共同貯金にそれぞれ振り込んで、経費は共同貯金から出していた。

 ユウカは買いたい化粧品も1カッパー均一のもので我慢してかなりのお金を貯めているつもりだが、クウガはクエストに必要な装備品とは言え、高い刀を買ってばかりいるようで少し不満だった。

 ユウカがクウガの方をチラッと見ると、もう眠りについているようだ。(クウガ君分かっているの?私たち、もう結婚できる年なんだよ?私の王子様)


 7月1日午前10時に二人はキリス空港に着いた。

 空港からは、もう海が目の前に見えていた。7月の暑い日差しが肌を焼く。

 二人はラーの冒険者ギルドへ行き登録した。これで、7月2日の10時からダンジョンへ入れることになる。

 そのままの足で予約していたホテルへと向かった。ホテル・キリス・東海岸というリゾートホテルだ。

 中年の受付者が担当してくれた。

 「クウガ・レイ様とユウカ・レイ様ですね。本日から五日間新婚旅行ですか、おめでとうございます」

 ユウカがクウガの方を見るが素知らぬ顔をしている。

 「はい、ありがとうございます」ユウカはにっこり笑った。

 部屋はホテルの最上階、6階の海側にあった。

 予約していたのは2階だったし、海とは反対の空港側の部屋だったし、ここはダブルベッドだが、元々はツインルームのはずだった。

 「クウガ、何を企んでいるの?」ユウカの顔がクウガの近くにまで迫ってくる。

 「ユウカとのパーティーを解散したい」真剣な表情でクウガが告げる。

 「私が足手まといってこと?」

 「はっきり言えばそうだ」そう言われて、今までの失敗が頭の中を駆け巡る。例えば、大イノシシに追われてコケタことや、スライムを見て失神したことなど、数えたらキリがなかった。

 「私が冒険者なんて無理だよね、何となく分かっていたんだ」涙が自然とあふれてくる。

 「退職金代わりにさ、これを受け取ってくれないかな」

クウガはミスリルでできた指輪を差し出した。ミスリルロッドの代わりにもなる指輪で、魔術師の結婚指輪では定番の物だった。

 「こんな高い物?バカじゃないの?役立たずの魔術師を追い払うのに結婚指輪みたいな、こんな・・・結婚?」ユウカは泣きながら何かに気付いたようだ。

「俺、もうユウカに危ないことはして欲しくなくて、だから、俺と結婚して、俺のことを待っていてください」

 「うん・・・」ユウカは素直にうなずいた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ