第3話
ラ・カーム王国の王都ラーからキリスオー連盟の首都キリスまでは飛空艇で丁度一日の距離である。
二人は一週間分の着替えを持ち、空港のラウンジで飛空艇を待っていた。
「ユウカの着替えで荷物がパンパンだよ、何が入っているんだ?」クウガがあきれた様子でユウカをにらむ。
「女子の荷物はそんなものなんだよ、それよりさ?」ユウカがクウガを上目遣いに見る。
「ん?」
「私たち、新婚旅行に見られるかな?」言われてみると周囲はカップルと家族連ればかりが目立っていた。
「お、俺たちは仕事だから、さ」そう言ってわざとらしく外の飛空艇に目を向けた。
「はーい、お仕事ですよね、クウガ隊長」そう言うと、ユウカはクウガの肩に自分の頭を寄せて目を閉じた。
ラ・カーム国内を結ぶ便や国際線が数多く離着陸しているラーの空港、特に今回利用するラーとキリスを結ぶ便は利用者が多く、ラウンジもごった返していた。
「ユウカ時間だよ」搭乗時間となり、ラウンジの乗客たちはゲートへと移動していた。
「あ、私、寝てた?」
「グーグーいびきかいてたぞ」
「え?うそ??本当に?」
「冗談だよ」
「も・・・ばか」
「ごめん」
「クウガならなんでも許すけどさ・・」
「もうすぐ離陸だな」
キリスオー連盟の首都キリスの近郊にあるキリスダンジョン。地下200階層以上あると言われるこのダンジョンは地下に行けば行くほど危険なモンスターが出現する。現在まで最下層にたどり着いたパーティーはいない。
今回のクエストの手引書によると、達成条件は地下二階までで達成できると書いてある。倒すべきモンスターは、吸血コウモリ20匹と骸骨戦士5体である。
クエストの手引きには地下5階までのダンジョンマップまでついていた。
ダンジョンにはレアな鉱石や薬草などが採れるポイントがある。クエスト報酬は50シルバーだが、飛空艇チケットや宿代、ダンジョンへの入場料などで25シルバー程度の出費がある。レアアイテムが手に入れば、その出費以上の収入も見込めるのがキリスダンジョンのクエストの魅力でもある。