第五話 西国へ
やりました。投稿の予約をするのをすっかり忘れてたんですね。本当にもうしわけございません。桜春の可愛いシーンでお手打ちを。
翌日。朝から通信機が騒がしい。
「んぅ・・・。」
ゆっくり布団から起き上がる。
「凛斗な・・・」
「奏多!?」
「ふぁい!」
突然叫ぶものだから流石に目がバチっと覚めた。
「昨日送ってくれたデータなんだけど、今奏多達は東軍領域にいるわけだ。」
「う、うん。」
「西軍領域に近づくにつれて多くなっている。原因はどう考えたって西軍陣営だぞ!」
「ま、マジ!?」
4日目にして突然歯車が動き出した。
俺は義政にこの事実をいち早く伝えようと単身朝ごはんも食べずに出ていった。
「富子様。」
「なんだ?」
「この病気について発生源を特定できたかもしれません。そのことをご報告しに参りました。」
「なに!?」
流石の富子もこれにはびっくりしていた。
「すぐに申せ!」
「まず、西軍領域に近い村ほど発症報告の件数が増加しております。つまり・・・」
「西軍が原因・・・」
「そりゃぁ本当かい!?」
さらに奥から図太い音が聞こえた。
「勝元、もうおったのか。」
「ええ。やることもないんでダラダラしとったんですが、なにやらとんでも無いことを聞いたような気がしましてな?」
勝元は奏多の方を向いて座った。
「奏多。それは確定かい?」
「''かもしれない''ですので定かではありませんが、探る価値はあると思いますよ。」
富子は考えた。会議にこの話題を出せば判断が遅れるのも事実だ。
「富子様。考えることはないですぜ。」
「なに?」
「俺だって早くこの状況を終わらせてぇんです。会議で採決してる場合じゃありませんぜ。」
すると富子は笑みを浮かべてみせた。
「勝元の意見を取る。時真奏多よ。」
「はっ!」
「蘭明と桜春と共に西軍本拠地、此隅山城に向かい西軍を見て参れ!」
「了解しました!」
と、いうことで西軍へ向かうことになったのだった。
大急ぎで土御門家に帰った俺はすぐに出発のことを伝えようとした。すると・・・
「奏多、行くんでしょ?」
麗蘭が支度を既に始めていたのだ。
「え?なんで知ってるの?」
「春さんの鳥式神が伝えてくれたの。」
なるほど。伝令用の式神か。
「そうだよ。昼には出発できるようにするよ。それで昼飯食べたら行こうか。」
「ああ、わかった。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
昼飯はお腹にいいうどんだ。
「うどんなんて久しぶりに食ったなぁ・・・」
「おいしかったわ!」
「それは良かった。」
そういって食器などの洗い物は家事系式神に任せて準備をして出発したのだった。
「凛斗からの情報によれば徒歩1日の距離らしい。」
「割と近いのね。」
「今までは式神馬車で行ってたからか徒歩とかあまり考えなかったね。そう思うと目と鼻の先だなぁってつくづく思うよ。」
と色々話しているうちに6時間が経過した。
「もう暗くなってきたなぁ。」
「野宿にしない?」
「それがいいわ。」
こう見えて俺たちは実働隊なので現地野営の訓練も受けている。
「食料を結構持ってきたよ。」
「でかした!春さん!」
「料理は任せてちょうだい。野宿といえばっていう料理を振る舞うわ。」
俺の頭に浮かぶ限りその料理はアレしかない。
数分後・・・
「ハイ出来上がり♪カレーよ。」
やっぱりな、と思った。だがこれ以上に嬉しい料理もあるまい。
「かれー・・・?」
「ピリッと辛い食べ物だよ。未来の日本の一般家庭では割とメジャ・・・普通の料理だよ。」
「そう、なのか?」
茶色の物体には抵抗があるものなのか。
「食べてみなよ。美味しいよ?」
やはり桜春の手はまだ震えている。というかスプーンの使い方はわかるんだね、と思った。そして、ついに、桜春の手がピタリ止まった。
パクっと一口食べた。すると桜春は固まってしまった。
「もしかしてお口に合わなかっ・・・」
「お、おいしい・・・こんな食べ物は初めて!!」
するとバクバク食べ始めた。
「じゃあ俺も、いただきます。」
「はい、どうぞ。」
パクっと一口いった。
「お、おいひい!」
「久しぶりに食べるといいでしょ?」
20分後・・・
「ぜ、全部食べきっちゃったわ・・・」
桜春がものすごいスピードでカレーを食べてしまった。
「くるしい・・・」
「「でしょうね。」」
俺と麗蘭は2人してツッコんだ。俺たちは明日に備えすぐに就寝したのだった。
朝日と目覚まし時計が翌朝6時に強制的に眠りから俺を引き剥がした。
「おはよ、麗蘭、春さん・・・。」
「ふわ・・・おはよう。」
麗蘭は起きたばかりらしく小さなあくびを一つしていてまだ眠そうだった
一方桜春はもう起きていたみたいだ。なにやら護符の製作をしていた。
「ん、おはよう。朝ご飯はもう作っているから、目がしっかり覚めたらたら食べてね。」
「手際がいいこと。」
朝日に向かって一つ、デカイあくびと伸びをした。
「よし。目も覚めたしそろそろ朝飯食べるとするかな。」
ご飯はいたってシンプル。昨日の夜のうちに作っておいたおにぎりだ。
朝ごはんを食べ、野営設備をたたみ出発した。
「あの・・・さ。」
「なに?」
「村への立ち寄りとかは一応禁止されてるけど、遠くからちょっと見ない?」
「確かに。気になるわね。」
「いいと思うよ。」
桜春も麗蘭も賛成してくれたので遠目から見ることにした。するとその惨状に俺は息をのんだ。
「なぜこんなことに・・・」
農民はやせ細り田畑も荒れ、もはや死が決まったような村だった。
「多分だけど、ここの人はもう呪いにかかってるんだよ。それで、奪ったり奪われたりが連鎖して、ロクに田畑も耕さなくなりあんなことになってるんだ。」
桜春の言う通りだろう。ああなってしまえばもう救いようがない。だが麗蘭は見捨てれないようだ。
「行こう、麗蘭。」
「でも・・・」
「行こう。」
村から目を離し、俺たちはそこから立ち去った。
その後、道中特になにも起こらず、ようやく此隅山城城下町にたどり着いた。そこから山の上を見上げると、一つの城が建っていた。
「あれが此隅山城だよ。私が知ってるものとは大分と違う様子だけど。」
此隅山城は禍々しい姿をしていた。
カレーとの遭遇・・・。可愛です。そういう風に描きましたから。次回もよろしくお願いします。もうミスりません。