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94.「ひとりは悪いことじゃない」、「泣く」、「闇」
「ひとりは悪いことじゃない」
仲間がいたらいいけど
ひとりは悪いことじゃない
ーーー
「泣く」
肩を震わせ、
小さく鼻をすすりながら
指の内側で何度も目元を拭った。
懸命に笑顔を見せようとする。
だが瞬くたびにまつげが濡れ
頬を清らかな雫が伝った。
ーーー
「闇」
知りたいことはもう分かったんだろう?
後悔するっておれは止めたけど
ここにウンザリしたからといって
お前の気持ちを利用したんじゃない
きれいな生き方ができる者なんて
この世にはいないから安心していい
長い旅になるけれど
お前のことを見放したりしない
底なしの闇に落ちても
お前は無実だってそれだけのことさ




