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9.「いとし子よ」
ひとりきりになると
さぐる内ポケット
開いた布に一房の髪
生きていればまた会える
そう信じて
そっと頬を寄せる
残酷な運命のめぐり合わせ
敵味方に分かれて
交わす言葉はなくとも
視線は嘘をつけない
懐かしい春
愛を求める幼子の
体を抱き上げれば
こころの傷は癒やされて
笑顔とともに
その髪をなでた
今 見つめる星に願う
健やかな体と強いこころを持てと
苦難をあたえるあらゆるものに立ち向かう
勇気を持てと
敵味方に分かれて
理想を求める道は違ってみえても
同じ夜明けを待ってる
突然の再会で
思わず手をつかんだ
小さな頃と変わらぬ温もり
今は泣かないでくれ
同じ涙を そう
流す日は遠くない
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(甥のイシュリンを想うラセン。髪の毛を持っていたのですね。考えて、初めてわかりました。こんなに大切な甥っ子なのに、嘘をついたり、殺そうとしたり、ドームを燃やしたり、騙したり。ハピエンで本当によかったです)。