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82.「感情」、「黙秘」、「赤い観覧車」
「感情」
「コントロールしたいのに
抑えられない
感情は、まるで暴れ馬だ
乗りこなすのに
一生かかるかもしれない
けれど何度落馬しても
傷だらけになっても
必ず乗りこなして
コントロールしてみせる」
なんて
自分を追い込むから
人生が楽しくなくなるんだ
それよりコーヒーを一杯飲もう
暴れ馬なんてどうでも良くなるさ
ーーー
「黙秘」
肝心なことになると
黙って目をそらす
そんな空気を作って悪かったよ
話題を別のものにすり替えるから
許してくれ
お前はおれの気持ちなんて
微塵も考えなくていいんだ
ーーー
「赤い観覧車」
同じ秋の空だけれど
タワービルばかりになった
JRの駅と私鉄の駅を結ぶ陸橋なんて
以前はなかった
それでも
よく乗っていた
ワインカラーの電車は変わらない
15年前に住んでいた懐かしい大都会
古書店巡りばかりしていたあの頃
けれど戻りたいとは思わなくなった
当時住んでいたハイツが
更地になったのを見たからには
ここへ来るときは
その他大勢の旅行客だ
だからランドマークとして
眺めるばかりだった
赤い観覧車に乗ってから帰ろう




