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ネイチュの詩(詩)・その1  作者: ネイチュ
81/101

81.「記憶」、「薄」、「生きていく」

「記憶」


 辛い記憶が多いなかで

 必死に楽しい記憶を

 思い出そうとしている


 悲しい記憶が多いなかで

 必死に嬉しい記憶を

 思い出そうとしている


 記憶は私を

 必死にさせる


 一歩進むごとに

 記憶なんてなくなればいい


 草をはむ

 牛のように


 ーーー


「ススキ」


 夏に

 群れて輝く薄


 晩夏に

 群れて褪せる薄


 秋に

 群れて枯れる薄


 冬に

 群れて枯れはてる薄


 ああ

 群れている薄よ

 薄よ

 寂しくはなかろう


 ひとりぼっちで

 生きる哀しさよ


 ーーー

「生きていく」


 家にこもっている

 閉じ込められている

 見えないピアノ線で

 ぐるぐる巻にされて


 机の上の梨が見える

 くるくるときれいに皮を剥きたい

 みずみずしい果実をしゃくりと食べたい


 掃除機をかけたい

 新しく軽いヘッドは

 自ら走ってゴミを吸い取るはず


 本を読みたい

 震えない指て頁をめくって

 一行ごとに傷ついたりせず


 生きていたい

 空も星も月も見えない家でも

 雨音はする





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