表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ネイチュの詩(詩)・その1  作者: ネイチュ
71/101

71.「さよなら、夏」、「心」、「二重」

「さよなら、夏」


 夏の終わりに鳴くセミは

 夏に死ぬ運命を知っており

 少しでも長く生きるため

 あえて遅く地上に出るのだと信じていた


 だが、最近になって

 彼には「遅生まれのセミの一族」のような

 宿命があり

 夏の終わりを告げる

 使命があるのではないかと

 考えるようになった


 晩夏に一匹で鳴き続けるのは

 彼の使命であり、宿命であり、運命なのだ


 私は椅子から立ち上がり

 ガラス窓に額を押しつけ

 どこかで鳴く

 これが最後かもしれない

 その声に耳を澄ませた


 震えていた空気が静まりかえる


 さよなら、夏


 ーーー


「心」


 重い病にかかってからは

 あきらめることが

 生きることになった


 心の下半身はただの棒になり

 歩こうとすれば何度でも折れた


 弱い心の持ち主がどうかは関係ない

 ただ心の下半身がくじけてしまい

 自力で歩くことが

 難しくなってしまったのだ


 歩けないあまり

 実際に寝込んでしまう場合もある

 心と体は繋がっているからだ


 けれど そのような状態にあっても

 その状態を他者に理解されなくとも


 歯を食いしばって

 生きている


 出口の見えない闇の中で

 一日一日を生きている


 生き残っている


 とてつもなく強い心の持ち主にしか

 できない事だ


 我々 心の怪我人は

 真の勇者だと 

 私は思っている


 ーーー


「二重」


 生まれも育ちも違うのに

 気づけば ふたり

 二枚重ねのティッシュのように

 心がぴったり合わさって

 柔らかな気持ちで

 穏やかに暮らす

 幸せ


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ