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68.「ありのままで」、「生き甲斐」、「兄弟」
「ありのままで」
無理して善人にならなくていい
矢面に立つ勇気がないことを誰も責めたりしない
恐れていい、怯えていい
全て身を守るための本能だから
できる誰かがそれを行う
だから待てばいい、それに甘えればいい
それでも、彼とあなたは平等だ
ーーー
「生き甲斐」
手をつかむだけで告白になった
ふたりとも傷つくとわかっていたから
できなかった
繕うための短い会話
声を聞くという生き甲斐があることを知った
負け犬でもいい
ーーー
「兄弟」
おれは15歳で兄は17歳
血のつながりはない
それでも兄弟だ
兄はなんで
砂漠でくたばりかけていたおれを
拾ったんだろう
兄が寂しかったんじゃない
そうか おれが寂しかったからだ




