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67. 140字小説・その四(「雨」、「スカート」)
「雨」
窓辺に立つと冷たい雨が降ってきた
お前が住む町も同じ雨に濡れているのだろうか
届いた手紙の行間は「寂しい」という言葉で
埋まっている
だが父から譲られたこの指輪を外すつもりはない
便箋も入れず、宛名だけを記した空の封筒を
机の引き出しにしまった
ーーー
「スカート」
なぜ家族に私を紹介したの
そういう事だと期待していいの
素朴な綿のドレスを渡されて
頭がぼうっとなる
スカート姿を見せるのは初めて
あなたは頬を緩めるから
つられて微笑んだ
ふたりの間にあった張り詰めた空気は
稲穂をなびかせる優しい風になる




