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55.140 字小説・その三(無題)
あなたの唇はいつも冷たい。私よりも彼を愛していると思い知らせる。私の出自を抱いて白々と夜は明ける。あなたの望みどおりの道具になることで彼よりも優位に立つ虚しさ。あなたは愛の裏側の数え切れない感情を私に教えた。耐えてみせる。それが私に残された唯一のプライドだから。
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夏も終わるね
カフェでふたりはパソコンを開いて
互いのレポートを読んで直すのさ
そのうちきみの話題は彼に変わる
ぼくは黙って聞いているよ
焼きもちをやきながら
でも敵わない
彼ほど格好良くはなれないから
きみの心をつかんで放さない彼
クールで優しいイケメンは沖田総司




