表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ネイチュの詩(詩)・その1  作者: ネイチュ
52/101

52. 「豊川稲荷」(エッセイ)

 名鉄豊川駅を降りたすぐに豊川稲荷がある。

 名前を聞くたびに、子供の頃の初詣の縁日が思い出される。


 おじさんにお金を渡すと、籠の中の小鳥がおみくじを咥えてくるものがあり、とても珍しく可愛かった。その場で玄関名札を彫刻刀で掘って作る職人もいた。


 だが、私をドキリとさせたのは稲荷の入り口に立つ三人の傷痍軍人だった。


 ぼろぼろの古い軍服を来て、埴生の宿や軍歌などを、ハーモニカやアコーディオンなどで演奏していた。片足が膝下からなくて松葉杖だったり、目の見えない人もいた。


 足元に缶を置いており、小銭や紙幣を入れて拝む人、「もう戦争が終わって何十年も経っているのに、まだ戦争を商売にしている」と避ける人もいた。


 幼い私はジッと見つめるのも失礼な気がして見ないふりをした。本当のところは、彼らを亡霊のように感じており、前を通るのが恐ろしかった。


 今となっては、正月に浮かれる人々の前に立った彼らの真意は計れないが、それでも、どんな言葉よりも強烈に戦争の恐ろしさを体現してくれたことに感謝の念を抱くのである。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ