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ネイチュの詩(詩)・その1  作者: ネイチュ
51/101

51.「美しい世界」、「絶叫」

「美しい世界」


 ここは大陸のど真ん中の乾燥地帯で

 最も近い海からは2500kmほど離れている

 海は空よりも遠いところにあるまぼろしだ


 たまに誰かが何かから逃れるために

 そこへ行きたいとボヤく

 そのたびに行ったことのあるやつは

 興奮して教えた


 海は陽を受けてきらめいている

 波が絶えず押し寄せてその音はとても心地が良い

 湿った塩の香りがする風が吹いている

 そして なんと言っても

 海は地平線までもが海なんだ――


 海か


 おれは水すら乏しい平原の生まれだけれど

 一度は行って 

 そのキテレツで美しそうな世界を

 体で感じてもいい気がした


 兄は言う


「お前のことだからムズムズして

 そこから船に乗って

 旅に出たくなるんじゃないか」 


 おれは海に出て船に乗り

 世界を回ったところで

 目指すのはここだと分かっている


 ここには大切なものばかりがあるから


 ホームシックになる


 見抜いた兄はニヤニヤして

 おれの頭をぐしゃぐしゃと撫でてきた

 おれは抵抗せず淹れたてのコーヒーを口に運んだ


 早く子供から卒業したい


 ーーー


「絶叫」


「君が幸せならそれがいい」

 いつものように軽く言葉を口にすると

 君はサッと顔色を変えた

 僕はこぶしを握りこんだ

 呼吸が荒くなり 視線が落ち着かなくなる


 いつまで自分の心に嘘をつき続けるのだろう

 君の幸せはこの両腕の中にしかない信じているのに


 平気な顔をして 物分りのいい振りをして

 君なんか眼中にないといった素振りで

 冷たくして からかって

 泣き虫だと呆れて ため息をついてきた


 全部 全部 嘘なんだ


 僕ほど君を愛している男はいない

 君の幸せは僕以外にはありえないんだ

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