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ネイチュの詩(詩)・その1  作者: ネイチュ
46/101

46.「線香花火」、「迷宮のお姫さま」

「線香花火」


 自分のライバルは自分だ

 火花を散らすような相手なんて

 いないと思っていた


 ひとつ年下の14歳の泣き虫は

 相変わらず 星がきれいだの

 岩場でヤギが死んでいただの

 どうでもいいことで泣いてばかりいる


 この軟弱なガキが盗賊の一味だとは

 夢にも思われないため

 やつはときどき町へ行き雑貨を買う

 役をやらされている


 先日は火薬を買いに行ったところで

 店主から線香花火をたくさん

 おまけにもらったらしい


 線香花火


 おれも大人たちも吹いたが

 なんとなく 

 それで遊ぼうということになった


 始めてみると

 みんな飛び散る繊細な火花に喜んで

 子供に戻っている


 おれも本当のガキだった頃を

 思い出してすこししんみりした


 我にかえって 線香花火になんかに

 そう思わされたことで

 なぜか泣き虫に負けたような

 気持ちになった


 だが 火花が散っている間は

 認めるしかない


 ーーー


「迷宮のお姫さま」


 電車の時刻にあわせて

 あなたを迎えに駅に来た

 やっぱりひとりは無謀だった

 方向音痴ですぐ迷子になる


 到着時刻はとっくに過ぎている

 恋人たちが待ち合わせをする

 鐘の大時計すら見当たない

 途方にくれていると


 構内放送から

 突然あなたの声が響いた


 “迎えにいくから”

 “そこで動かずに待っていて”

 “迎えにいくから”


 あなたと再会して

 抱きしめるつもりでいたのに

 抱きしめられた私は

 迷宮に迷いこんだお姫さま

 迷惑なお姫さま


 あなたは気の毒な勇者

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