43/101
43.「花と雲」、「きみのバラ」
「花と雲」
きみが思っていたよりも
上り坂はきつくて
まだ頂上も見えなくて
不安になるけれど
どうせ歩いていくのなら
鼻歌でも歌いながら
急ぎ足じゃ見えない
景色を楽しもう
ゆっくりでいい
ゆっくりでいい
ときどき泣いたりしても
焦らなくていい
足元には可愛い花が咲いているよ
ゆっくりでいい
ゆっくりでいい
ときどき微笑んでごらん
焦らなくていい
青い空に飛行機雲が残っているよ
ーーー
「きみのバラ」
きみに会えるのは
夢の中だけになってしまった
きみは自分の温室でバラの手入れをする
見事に咲かせたところで誰にも
分けないと言っていた
すべてのバラを心でわたしに贈っていた
けれど きみに恋することはできなかった
どんなに大切に思っていても
ごめんなさいと唇が告げる
きみは呆れて笑っている
差し出された一本の赤いバラには
きみの優しさがあふれている
受け取ろうとしても
受け取れなくて目覚める
花瓶に飾っていたバラが散って
枕元に花びらをまいていた
きみに会いたい
きみを抱きしめたい




