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40.140字小説「夏」2作品
ぼくはアンドロイド。17歳の妹のために姉夫婦が買い与えたものだ。部屋へ行くと、彼女はまたソファに座って遠くを見つめている。ぼくはストローを二本さしたコーラを持ち彼女の隣に座って、ふたりでそれをくわえた。「なんか青春っぽいね」。彼女は剥製で、ぼくらは何十年も青春を繰り返していた。
#言葉の行方 「夏」
お題「なんか青春っぽいね」
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妹は体温が70度もある“高体温症”だった。両親は“高体温症”を敵視する“低体温症”教団に奪われぬよう密かに彼女を育てていたが、発見され、ぼくは妹と共に教団の来られぬ高温地まで逃れてきた。ぼくの意識が遠のく。「お兄ちゃん、暑さでおかしくなったの?」「これでいいんだよ」ぼくは“低体温症”だった。
#言葉の行方 「夏」
お題「暑さでおかしくなったの?」




