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ネイチュの詩(詩)・その1  作者: ネイチュ
39/101

39.「すれ違い」、「灰皿」

「すれ違い」


 あなたと私は

 同じ世界にいてもすれ違うばかり

 あなたを想っても追いつけなくて

 悲しんだり気を取り直したり

 そのくせあなたが現れると

 恥ずかしくて逃げてしまう

「お姫さま、いつか恋が叶いますよ」

 と 明星はいつも味方でいてくれる


 ーーー


「灰皿」


 岩山の中腹にあるアジトの洞窟から顔を出す

 連なった峰の頂きを月明かりが照らしていた


 おれは仲間たちが囲む炎から離れて

 外へ出ると岩陰に腰を下ろす

 懐から煙草を一本取り出し咥えて火をつけた


 吐き出した紫煙の中にお前の面影が浮かぶ

 おれの後悔がお前を生かし続けている

 なぜ あのとき側を離れたのか

 なぜ お前の病気に気づいてやれなかったのか


 お前は足を洗わずにいたおれを

 責めることはなかった


 左手の薬指に残った金の指輪


 今夜もまたほとんど吸わぬまま

 燃やした煙草を黒い土に押しつけて消す

 お前が用意したいびつな灰皿を使った

 平和な日々は二度と戻らない

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