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37. 「枷(かせ)」、「散歩道」
「枷」
お前はふいに石畳にしゃがみこみ
両手で顔をおおった
おれはかける言葉をなくしている
震える肩に手を置いて
まだやつに拒まれたわけじゃないと
慰めたのなら
自分に嘘をつくことになる
好きだ 好きだ 好きだ
お前はおれを姉弟よりも固い絆で
結ばれていると信じているから
その気持ちを裏切りたくない
そう おれはお前を裏切りたくない
だから お前の肩に手を置く
ーーー
「散歩道」
真夏の日差しをさえぎる
森の中の散歩道
ふたりを導いて
アゲハチョウが飛ぶ
ねえ 夢中で追いかけた
あの頃の気持ちに戻っても
この手を離さないで




