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36.「似た者同士」、「根無し草の夢」
「似た者同士」
ねえ 山の陰から満月が顔を出したわ
ねえ 聞いているの
もっと優しく抱き寄せてよ
私 壊れ物よ
ああ あなたとめぐりあってからも
寂しい思いは変わらなかった
ひとりぼっちずつ 似た者同士
恋してなんかいない
勘違いしないで
ただの暇つぶし
ーーー
「根無し草の夢」
歌手になりたいという夢を
あきらめきれないと
知っていたから
おれから別れを切りだした
裏切られたと思ったほうが
未練が残らなくていい
もともとおれは根無し草だから
ひとところにとどまるのは苦手なのさ
お前は夢を叶えてくれる
男のところへ行き歌手になった
お前の夢がおれの夢だから
一度だけ大勢の観客の後ろから
お前の歌う姿を見に行く
もし気づいたとしても
見なかったことにしてくれ
もう涙を拭いてやることはできない




