表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/3

らしさ



優花と愛花を引き取る事に決まった俺だが、フライパンも焦げたため買い直さないといけないので面倒だからファミレスに来た。


「3名様のご来店ですね、席に案内致します」


「すいません、俺だけ喫煙席でお願いします」


いきなり俺と一緒に飯なんて食っても気まずいだろうから俺なりの気遣いだ。


「食える範囲なら好きなもんどんだけでも頼んでいいぞ、食べ終わるのは俺の方が早いだろうし適当に時間潰すから、満足したら呼びにきてくれ」


「はい、ありがとうございます」


少し不思議そうな顔をしながらも店員はその通りに動いてくれた。


喉にひっかかったファミリーの文字が取れたかのように少し楽になった気分で食べたというのにファミレスのハンバーグはあまり美味くなくてやってられない気分だった。

友人とSNSでやりとりをしている時がここ最近で一番の癒しだ、なんて事を考えていると割と時間が経っていたようで2人が俺を呼びにきた。


「満足したか?」


俺の問いかけに2人は頷く、気まずい空気が払拭される事はなくて、何となく本当に俺が引き取って良かったのかなんて考えが浮かぶが今更だ、俺がやると決めたんだ。


あの後大して話す時間もとらないでシャンプーやボディソープの説明をしてから風呂に入らせて寝かせた、服はこっちにくる時に運んでやったでかい荷物に大量に入っていたし問題なかった。


SNSでずっとやりとりしていたヒロから電話しないか?なんてメッセージが来たものだからベランダに出る。


「よお、どうしたんだよ急に電話なんて」


『どうしたもこうしたも心配して電話してやってんだから感謝しろよな』


俺が言えた義理でも無いが厚かましい奴だ、逆に遠慮されても困るが。


「心配ってーとやっぱり俺に子育てなんてらしくないってか?」


ハハッと軽く笑いながら言う、分かっているさそんな事はと。


『いや、どっちかって言うとお前らしいよ。お前は自分の事優しくないなんて言うけどさ、実際結構優しいからな』


「んだよ急に、やめろよ照れるだろ」


『照れんなよ、俺が心配だったのは両親がいなくなったことだよ。

でも思ってたよりは良かったみたいだわ、やる事があるからか?』


ああ…たしかにそれは気にしていなかったな…でも涙すら出てきていないのだから今更だ。


「そっちは元々平気だ、涙すら出てねーよ、それよか明日からガキらに飯作ってやるのが面倒でならん」


『そうか…早く泣けるといいな…やっぱりその子ら引き取って良かったな』


前半の小声の部分は聞こえなかったがそんなのはどうでもいい、あいつらを引き取って良かったなってどこをどう捉えたらそうなるんだ。


「お前それ嫌味か?どこをどう捉えたらそうなるんだよ」


『わかってないのか?お前いま自然に飯作るって言ってたんだよ、1人だったらカップ麺に野菜ジュースとかで済ませてたろ絶対、それが飯作るって言ってるんだ。

自炊してちゃんとしたもの食べるって、結構幸せな事なんだって大学入って一人暮らし経験させてもらってやっとわかったんだけどな』


「そういうもんか…」


俺にはまだわからない、それでもそんな物なのかもしれないなんて思わせるだけの何かがヒロの言葉にはあった。


『じゃあ今日は元気なのわかってよかったわ、また遊びに行くからよろしく』


「来るなよ、ただでさえ俺に慣れてないのに男に囲まれたらガキがビビるだろ」


『やっぱそういうとこだよ、ちゃんと女子も呼ぶって、そっちは知識的に必要だろ?』


たしかに自分は女子特有の事などは何もしらない。


「しゃーなしな、頼むわ」


プツリと電話を切る、何となく黄昏たくなってそのまま煙草を吸う、20歳になったばかりで何をカッコつけてるんだと自分でも思うが別に煙草が好きなわけではない。


ただ何と無く父親が残したそれを…肺にまでいれずにふかすだけだが、どこか悪くないと感じる。それだけだ…



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ