プロローグ
天体歴1947年、クロレア帝国航空隊初の女性戦闘機パイロットになったナスカ・ルルー。数々の戦果を挙げた事で有名であり後の女性パイロットらの憧れの女英雄である。
プロローグ
天体暦1931年秋、彼女は帝国領の最南端に位置するファンクションという街の領主である名門貴族ルルー家に長女として生まれる。母親によく似て美しい容姿をしていた。ナスカは娘を愛してやまない父、厳しいが美人な母、そして心優しい兄と共にとても幸せな子供時代を過ごした。5歳の時には妹も誕生し、恵まれた環境の中でナスカはすくすくと育っていった。
後に当主になるであろう兄・ヴェルナーとナスカらは母親が違った。しかしヴェルナーは、そんな事は気にしない優しく常にポジティブな青年だった。彼はかつて戦闘機乗りになりたかった。だが訓練中の事故で足を痛めて夢を諦めた。眠れない夜にはいつも昔の話を語り聞かせてくれる、素敵なお兄さんだった。
そんな事もありナスカは幼い頃から戦闘機に興味に持っていたが、特別その関係の仕事になりたいと思った事はなかった。戦闘機など自分の生活とは無縁のものだと当たり前に考えていた。一度父に戦闘機の話をした時、「物騒な事を教えるな!」とヴェルナーが怒られたので、ナスカはそれ以来誰にも話さなくなった。兄と妹だけの秘密の話題になったのである。
そして時は転機の1945年へ。