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夢道の世界  作者: ジニー
第2章 別れ道
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2ー7 「慎二とロマリア・アリア」

「ロマリア先生、ロマリア先生。」

「………ぅん………っ?」

自分を呼ぶ声が聞こえたロマリアは、眠たいながらもゆっくりと目を開く。目の前にいたのは、ジャミルこと慎二だった。

「おはようございます、先生。」

「お、おはようございま……………っ?」

ロマリアは喋る途中で、何かに口を塞がれた。ロマリアは驚きで目を見開く。それは、慎二の口唇だった。

しばらくして慎二の口が離れると、ロマリアはきょとんとした目で慎二を見つめる。

「ジャミル?い、今……何を…………?」

「何って……?分からないんですか〜?」

慎二はそのままベッドに飛び乗り仰向けで眠るロマリアの上に跨ると、彼女の腕をベッドに押し付け、抵抗出来ないようにした。

「ちょ、ちょっと………!?」

ロマリアは必死に動くが、朝だからか力が入らず、逃げる事が出来なかった。

「分からないなら分からせてあげますよ?「ロ・マ・リ・ア!」

「だ、駄目……っ!こんな………っ!?…………ん……………っ!!」

ロマリアは再び、慎二と口唇を合わせた。




「………マリア先生、ロマリア先生…………っ!」

慎二はベッドで眠るロマリアを遠くから呼ぶ。

するとやっと起きたのか、ロマリアはゆっくりと目を開いた。

「ぅん…………っ?…………………んっ!?」

ロマリアは上半身を起こして辺りを見回した後、目の前にいた慎二の顔を慎二の顔を見つめる。

「お、おはようございます………!?」

見つめられている慎二は、首を傾げながら、朝の挨拶をした。

「きゃあああっ!?」

その挨拶を聞いたロマリアは、悲鳴をあげて慎二から距離を取るとベッドの端っこで体育座りをして、布団をくるんでビクビクと震え出した。

「あぁっ!驚かせてしまってすみませんっ!!いきなり入って来たらビックリしますよね…………?」

「つ、次からはノックをしてください!」

「ご、ごめんなさい………!(ノックしたんだけどなー…………)」

慎二は申し訳なさそうに縮こまる。

そんな慎二を見たロマリアは、顔を赤くさせながら、目だけを慎二に向けた。

「な、何か御用ですか………?」

「あ、その、昨日使ったルームって今使えますか?」

「つ、使えますが…………。」

「良かった。……そうだ!良かったらこれ食べて下さい!それでは、失礼します!」

慎二は部屋のテーブルに1つの箱を置くと、嬉しそうにロマリアの部屋を出ていった。

「………………。」

震えていたロマリアは、恐る恐るベッドから出ると、慎二が置いていった木箱の蓋をあけた。

「あ…………!」

すると中には、色とりどりの具材が挟まったサンドイッチが数枚入っていた。



その頃慎二は自分の部屋に戻って運動できる服装に着替えると、自分用のサンドイッチを持って、昨日の訓練ルームへと向かった。


慎二は重い扉をガシャリと開いて、訓練ルームに入った。

「よーし!まずは準備運動から始めようかな!?」

慎二がガッツポーズをして意気込んでいると、再びルームのドアが開いた。

「ん?」

「え?」

慎二は後ろを振り向く。そこに立っていたのはアリアだった。

「あ、アリア先輩……!おはようございます!」

「………………。」

アリアは慎二を見やった後、何も言わずに慎二をすれ違い、ルームの真ん中へと歩いていき、普通に準備運動を始めた。

「む……………。」

慎二は頰を膨らましてアリアを見ると、すぐに自分の準備運動を始めた。



準備運動の終わった慎二とアリアは、それぞれの武器を持って練習を始めていた。

アリアは、自ら設置した的に目掛けて、連続で弓を射る。

3的目までは的に当たっていたが、最後の2つは惜しくも的から外れてしまった。

「く……………っ!」

アリアは上手くいかなかった事が悔しいのか、弓を握る力が強くなった様に見えた。

その様子を見ていた慎二は、アリアの動きを見て、感動していた。

(す、すごい………あんな一瞬で3的連続当てるなんて……………っ!……でも、もうちょっと楽にやればいいのにな………。)

「………………。」

しかし、アリアが鋭い目で慎二こちらを睨んだため、素早く目を逸らした。

それに比べて慎二の練習はフォームを確認して、自分なりに訓練用の剣を使いながら素振りをしていた。

その様子を、自分の練習をしながら、アリアは慎二の練習をチラリと覗いた。

一瞬見るはずだったアリアだが、視点を戻した後、再びすぐに慎二へといった。

(なんて無駄の多い動き…………あれで誰かと戦おうとしているのかしら………?)

「…………っ!?」

その視線に気づいたのか。慎二がこちらを向いている事に気づくと、アリアは咄嗟に目を逸らして練習を続けた。


しばらく経ったが、お互いは見て見ぬフリをしながらも、相手よ動きが気になって仕方なくなっていた。

ついに2人は好奇心に勝てなくなり、気付いたら相手に声を掛けていた。

「ねえ?」・「あの?」

それが偶然、2人共同じタイミングだった。

「な、何………?」

「え?あ、いや、先輩、本当に弓が上手いなって思って…………」

「……それだけ……………?」

「…………あ、それと、1つ良いですか?」

「何?」

「4的目から体のバランスが悪くなってきているので、もう少し足の間隔を空けて、肩の力を抜いてやってみたらどうですか?」

「え…………っ?」

アリアは慎二からの突然のアドバイスを聞くと、目を丸くさせた。

「す、すいません!出過ぎた事言って………。」

「……………。」

アリアは慎二に言われた事を頭の中で整理する。

(確かに……。私はいつも3的目から4的目に行くまでに足がもつれてしまう。それに比べて足の間隔に気をつかって、落ち着いてやれば、足がもつれてバランスが崩れる事は少なくなるかも…………。)

アリアは目を細めて慎二を直視する。慎二は何を言われるのか気になり、ドキドキして待つ。

「………貴方の言う通りかもしれない。的確なアドバイスをありがとう。」

「………っ!?………は、はい。どうも………。」

慎二はお礼を言われた事に驚き、戸惑い気味に頭を下げる。

「じゃあ、次は私からも言わせて。」

「は、はい………?」

「剣を振りかぶる時の動作が長い。だから、もう少し構える時は脇を締めてから、上半身と下半身を捻るように剣を振ること。」

「わ、分かりました……!」

「それにそもそも貴方、体力と筋力無さすぎよ?」

「う…………!」

「剣の重さに身体がついていってない。……今のままじゃ、攻撃を躱されたり、カウンターが来た時に何も対応出来ない。………まだまだ言いたい事は沢山あるけど、まずはそれを意識しながら練習すること。それから………」

アリアは練習道具が収納されている倉庫に入ると、何やら乾燥した藁の様な物で出来た人型の柱を持って来た。

「素振りだけじゃ手応えないし、これを相手に練習しなさい。」

「了解です………っ!あ、ありがとうございます!」

「分かってくれたのならそれで良い…………。」

アリアはそう言うと、自分の練習を再開する。

「よし、僕も頑張ろう!」

慎二は早速その柱を使っての練習を始めた。



約2時間後、慎二は疲れ切ってその場に倒れ込んだ。

「ふー!結構やったな〜!」

「……ふう…………。」

アリアも疲労が溜まったらしく、息を切らしていた。

慎二はふとアリアの使っていた5つの的に目をやる。先程とは違い、4的目と5的目にも数本の矢が刺さっていた。


慎二とアリアは道具を片付け終えると、倉庫の鍵を閉めた。

その時気まぐれか、慎二はアリアに話しかけた。

「アリア先輩は、毎朝いつもこうやって練習してるんですか?」

「………………。」

慎二からの質問に、アリアは慎二の顔をチラリと覗く。

(ま、まあ、先輩達でも返事が返ってこないのに、こんな質問、アリア先輩が返すわけ無いよね………。)

慎二は会話を諦める様に、部屋を出ようと手をかける。

すると、アリアも横について来て、口を開いた。

「本当は夜もやりたいんだけど、私、朝型だから………。」

「え……?あ、そうなんですか?実は僕も朝は良いんですけど夜は弱いんです。一緒ですね。」

慎二はドアを開けて、訓練ルームを出る。

「確かに。…………私と貴方には、何か同じモノを感じるわ………。それが何なのかは知らないけど。」

アリアは言葉を返すと同時に自分の寮に戻ろうと、慎二から背を向けた。

「あ、そうだ。アリア先輩!」

「何………?」

慎二はアリアの前に木箱を出す。

「良かったらこれ、食べて下さい。」

「え?」

「それじゃあ。」

慎二はアリアに木箱を渡すと、早足で自分の部屋へと歩き出した。

(そうだ。少しずつだけど、自分に出来る事をややっていこう…………!)

そう心に決めた慎二だった。

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