1ー21 「動き出す道」
翌日、慎二と桜、マリスタ達は村の門の前で、長老達の見送りを受けていた。
「この村に軍の応援を手配しておきます。」
「どうも。村一同精進致しますので、是非またお越し下さい。」
「では近いうちに。」
マリスタと長老は握手をする。
「ではこれで。………慎二君、桜君。行こうか?」
マリスタは慎二とマリスタにひと声かけて馬に乗る。
その慎二と桜は、健二と真琴と話をしていた。
「真琴さんと健二君は私達と別方向に行くんですよね。………しばらくお別れです。」
「うん、じゃあね!」
「か、軽い…………!」
桜が真琴の素っ気なさに驚いていると、真琴に両肩をがっしりと掴まれる。
「頑張れ、桜!」
「っ!?はい!!」
「よし!」
桜の元気な返事を聞いて、真琴はニカッと笑い桜から離れ、慎二の方を向き、悪戯げに笑う。
「良かったね、慎ちゃん!」
「うん、良かった。」
「へ?」
真琴はつい、唖然とした。いつもの慎二なら「何が?」とか、「え?」とか、どこか曖昧で素っ頓狂な返事が返ってくるからである。
「そっか…………!」
桜と同じで、慎ちゃんも成長しているのだ。真琴はどこか嬉しげに頷く。
「それじゃあね!」
真琴は慎二にとびきりの笑顔を送って、別れを終えた。
「ほらほら〜健二も!」
「お、おい!」
真琴は健二を2人の前に押し出した。
「……………。」
健二は不満気に2人の前に立つ。
桜は健二の前に手を差し出した。
「健二君もお元気で。」
「お………おう……………桜も元気でな?」
健二は桜の手を取り、軽く上下に振って離した。
「はい!」
桜はまた元気に返事をして、微笑んだ。
次に。健二は慎二の方に体を向け、キリッと睨む。
「健二、じゃあね。」
「…………………。」
慎二が挨拶するも、健二は睨み続ける。
慎二は諦めて離れようとした時、健二はスッと、慎二の前に拳を向けた。
「……………。」
「健二………!」
慎二は少し力強く、自分の拳を健二に合わせた。
「………また、会おうな?」
「うん、約束する。」
「約束、破ったら承知しないからな?」
この言葉の直後、健二の顔が緩み、微笑んだ様に慎二は見えた。
慎二と健二は拳を離したと同時に別れは終わり、慎二と桜はマリスタの方に歩いて行く。
その途中、ティアを腕に抱えながら暖かく見守るミラや、ダクの両親と、その新しい「子」も見えた。
慎二と桜は、この村が、また少しずつ新しい時代に歩みだしているのだと悟った。
「あの「2人」、仲良くなるといいですね。」
「そうだね。」
慎二と桜は互いに見合ったクスっと笑う。
慎二と桜は、それぞれの馬に乗る。
「もう、いいのかい?」
マリスタが2人に問うと、2人共こくりと頷いた。
「では、まずは【ヨルダム士官学校】を目指して、出発だ。」
マリスタが出発の合図を出したと同時に、後ろから真琴の声が聞こえた。
「2人とも〜お幸せに〜〜!」
「なっ!?」
それを聞いた途端、桜は顔を赤く染めて体を震わせ始める。
周りの人も、あの2人がそういう関係性なのだと分かり、笑顔で手を振りだした。
よく分からないまま、慎二も手を振り返す。
「それじゃあ、桜。行くよ?」
「あ、ああっはい!」
2頭の馬は、この始まりの村を出て、さらに東へと進み出した。
これから待ち受ける困難の数々を、2人はまだ知らない。
これで第1章が終わりです。第2章も頑張ります!よろしくお願いします!!




