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生産職と依頼。そして、おちゃめな契約精霊&竜の自由時間

お願いします。


次の日、顔を洗って、歯を磨いた後、洗濯機を動かしている間に、朝ごはんの準備をする。朝ごはんを食べたら、買い物は済ませてあるので、《ダイブイン》するつもりだ。


「朝はホットケーキでいいかな。簡単で美味しいし」


ホットケーキミックスをシャカシャカ混ぜている間に、


「「おはよう(ぅ)」」


妹が起きてきた。


「おう。おはよう。眠そうだな」


「昨日は少し遅くまでやってたからねぇ」「今、次の町へ向けてのボス攻略に忙しい。今日か明日にはボスを見つけて、明後日までには倒す予定だよ」


「そんなに急ぐこともないんじゃないか? てか、話しにあったレイドボスはどうなった?」


トッププレイヤーとか攻略組と呼ばれる人たちは忙しないな。と、思いながら、フライパンにバターをひく。


「ああ、ビッグマウスマウスね。あれは結構楽勝だったよ。それで急いでる理由は、急がないと、初回討伐ボーナスが取れないし、それに次の町からホームを持てるようになるって発表されているんだよ」「そぅなんだよぉ! これでギルドなんかも出来るよぅになるよぉ」


レイドボスよりギルドが大事か。まあ、そうか。それじゃ、僕も流すか。それに、レイドだから人数も多かっただろうしな。

ちなみに、パーティが6人、ユニオンが3パーティで18人、レイドが2ユニオンで36人、ダブルレイドが2レイドで72人、レギオンが3ダブルレイドで216人、フォースが1000人以上。公式サイトより抜粋。


「ギルドねえ。あ、ホットケーキ食べる? 牛乳と卵入れたら嵩は増えすぎた。まえ良く作ってたからって、目分量はいかんな」


バターをひいたフライパンに生地を入れたら、ボウルに結構生地が余った。作りすぎたな。


「「うん。食べる(ぅ)」」


「かけるものは、蜂蜜とバターとメイプルのどれがいい?」


「メイプルの方がいいですぅ」

「蜂蜜がいいな」


瑠璃がメイプルで茜が蜂蜜っと。


「それで、ギルドって言うのは、作ると色々な得点が付くんだよ。たとえばギルド単位のクエストなんかは最たるものだね。ギルドクエストって言うんだけど、レアなアイテムが手に入ったり、経験値が他よりも多かったりするんだよ」


「ちなみにぃ、ホームがギルド設立の必須条件の一つになっているのさぁ」


「ほう。だから、ホームが帰るようになる次の町から、ギルドが出来るようになるのか」


納得したが、あまり自分には今は関係ないように思える。


「でもホームって高いんだよね。ホームの値段は、最低でも1,000,000Dで、最高で1,200,000,000Dらしいよ。それに、ギルド設立の必須条件のホームは、30,000,000D以上のホームらしい。一応、1人からでもギルドは作れるけど、そんな制約もあるから、ギルドは大人数になるんだよね。そっちのほうが経済的に楽だし。あと、基本的には最低金額の1,000,000Dは、店舗やパーティホームに使うものだね。とは言っても、設備の増設や家具などは、また別にお金がかかるから店舗の場合でもパーティホームでも、1,000,000Dで済むことはまずないけどね。パーティホームでも2,000,000Dで、店舗なら3,000,000Dは欲しいかな」


「ふ~ん。ホームの金額は、本当にホームのみの金額なんだ。設備も結構かかるんだな。でも1,200,000,000Dのホームとか気になるな、どうなっているんだろう?」


最低金額の1200倍の金額のホームだ。どんなんなのか気になるよね。


「それがぁ、分からないんだよねぇ。βテスト時にも、だれも購入できなかったからぁ」「それに、公式に次の町からホームが買えるって分かっているだけで、βテストと同じかは分からないからね」


「そうか。まあ、そうだよな。 はい、完成」


妹の前にフォークを添えて出す。ちなみに瑠璃にはメイプル、茜には蜂蜜をかけてある。


「「ありがとう(ぅ)。いただきます(ぅ)」」


黙って、中々の速度で食べだした。


「………瑠璃、茜、お前ら、まさか、また」


「「違うよ! 兄ちゃん(ぃ)! 偶然お腹が空いてただけだよ(ぅ)」


長文が揃うときは、ほとんど図星なんだよな。いつもは揃わないくせに。何も言わず妹を見つめてみた。


「「ごちそうさまでした(ぁ)」


妹は朝ごはんを食べたら、まるで逃げるようにすぐに部屋に向かった。さて、宿題か、E2か。宿題であることを祈ろう。確かまだ終わってないらしいからな。


その後、食べ終わったので、食器を洗い、洗濯物を干して 《ダイブイン》 した。



◇◇◇



ダイブインして広場の中央で町に降り立った。ちなみに妹情報だと、βテスト時は始まりの町はどこでもダイブアウトしても、時間経過でHPとMPが回復できるが、始まりの町以外では宿屋かホームでダイブアウトしないと、回復できなくなったとのこと。


「さて、今日は新しい服と、双剣と、他にサブウェポンでもそろえよう。そのためには、やっぱりプレイヤーに頼むのが一番かな?」


スフィとベルは、なんか別の場所に行っているみたい。呼べばすぐに来てくれそうだが、彼女ら(ベルは性別がないが)にも用事があるだろうから呼ばないでおく。さて、露天の方に行ってみようかな、っと。スタスタと歩いて行った。



「ん? なんだろう?」


露天に行く前に何かのスロットを見つけた。何か書いてあった。

“〔辻スロット〕月に一回どこかの町の、どこかの場所に5分間だけ出現。1回のみプレイ可能。ハズレなし。最低でも1倍になるスロット。勝手にランダムで止まるから、君の運次第。「さあ、これに出会えたラッキーな君、レッツスロット」”


〔掛け金を設定してください〕


やって見るか。なんかレアらしいし。あえて全額ぶち込んでみた。ちなみに最低1倍、最高3000倍だ。ジャックポットだけが破格の倍率だ。まあ、1倍でもプラマイゼロだし。


〔掛け金は“12,135,700D”でよろしいですか。よろしければレバーを引いてください〕


スロットのレバーを引いた。


チャララララララララララ

チャラン

チャラン

チャラン


チャチャチャ、チャチャチャ、チャーン


〔777が揃いました。掛け金が3000倍、“36,407,100,000D”をバックします〕


〔次回の出現は1月後になります。ご利用ありがとうございました〕


そう言い残し。ふっ、っと、煙のように辻スロットが消えた。


……………………………うん。そういえば、Lucが10,000オーバーでしたね


よし。露天に行こう


僕は露天に向かって、歩き出した。



◇◇◇



露天は賑わっていた。とても、賑わっていた。


「ほ~。まともに露天に来たのは初めてだな。いろいろ見てみようかな」


露天を巡って行く。PCもいればNPCもいる。鍛冶や木工、調薬などの生産職は初期スキルに存在するが、料理は趣味要素があるためか、よくわかっていない。空腹がある以上、料理スキルがないことはないので、おそらく行動によって開放されるタイプのスキルらしいと予想されている。


「さて、そろそろ、素材をどこかで売ろうかな」


そう思ったとき、すぐに見つかったPCの露天に言った。下を向いて何か作業をしていた。


「すいません。今大丈夫ですか」


「はい。なんでしょうか」


そういって女性は顔を上げた。そして、止まった。


「え!? ああ、お買い物ですか?」


「え? はい。そうですが」


「えらいねぇ。お母さんかお父さんの手伝いかな?」


「いえ。あの、素材を売りたいのですが、いいですか?」


「え、ええ。いいですよ」


「それじゃあ、これをお願いします」


そう言って、僕はアイテムボックス内のゴブリンと狼素材とバッタ素材をすべて出した。


「な! この素材って!」


「あと、灰狼の素材で服を作って欲しいのですが」


なんか驚いているが、そんなにおかしいか? とりあえず竜と呪狼は抜いてある。


「ちょっと! これどうしたの!? 今のレベルを遥かに越える素材じゃない! しかもこんなに大量に」


彼女は興奮して、小声で叫ぶと言う器用なことをしていた。


「え、そうなんですか? 結構厳しかったですけど、倒せましたよ」


「え? 倒したって!? もしかして、あなたプレイヤー!?」


「そ、そうですけど」


「ごめんなさい。完全にNPCだと思っていたのよ」


「そうなんですか?」


「ええ。PCとNPCの区別方法が、ほとんどないからね。店を持ってたりするのがNPCで、武器を持っているのがPCって、ところかしら。あと服装の違いからわかるけど、あなたみたいに初期服だと分からないわ」


「そうなんですか。確かにそうですね。話していても違和感も何もないですからね。あ、買取はどうですか」


「ええ。…………それにしても、この素材は凄いわね。いったいどうやったのか気になるけど……。まあ、いいわ。これ全部売ってくれるの?」


「ええ、いいですよ。そうだ、もう一種類、狼の素材があるんですけど、なんか使いにくいので、買ってくれます?」


「使い難いんですか?」


「はい。なんか名前が呪われそうで……」


そういいながら、僕は呪狼の素材を渡した。


「これは………」


彼女は唖然としていた。なんで唖然としているかは分からないが。やっぱり使い難いのかな?


「やっぱり、使い難いですよね?」


「こ、」


「こ?」


「こ、この素材はどこで手に入れたの?」


「他の狼と同じ、[黒血狼の森]ってところですよ」


なんかまずったのかな。確かにいきなりで面倒だったけど、ソロじゃなければあんなに苦労しなかった。って、くらいのところだと思うんだけど。


「こんな素材は見たことないわ。βテストの時も聞いたことないよ」


「そうなんですか? 確かに面倒な敵でしたけど」


思い出して、若干げんなりした。対照的に彼女はテンションが上がっていた。


「どんな敵だったの?」


そんな質問をされたので、何があったのか話した。


「セーフティエリア関係なしに戦闘開始か。そんなのがいるなんて聞いたことも見たこともないよ。というか、よく生きて帰って来られたね」


「ええ、まったくです」


しみじみ言われたので、しみじみ返した。


「それで、買い取ってくれますか?」


「ええ、いいわよ。これはやりがいがありそうだもの。でも、装備は灰狼の素材でいいの?」


「はい。お願いします。あ、忘れてました。僕の名前はニズです。よろしくお願いします」


なんだ? 今、僕っ娘はやっぱり最高ぉ~。って、声が聞こえた気が…………。いや。気にしたらダメだな。


「私も忘れていたわ。私の名前はナツキよ。宜しくね。あ、どうせだからフレンド登録しましょうか?」


そう言って、彼女、ナツキさんはフレンド申請と飛ばしてきたので、了承した。

何気に初めてのフレンドだったりする。


「は、はい。宜しくお願いします」


「ふふふ。そういえば武器は揃ってる?」


少し焦った僕をみて、少し笑って言った。


「武器ですか? まだです。これから探そうかと思いまして」


「なら、私が紹介してあげる。と言っても、ここから四軒となりなんだけどね」


そういって、右のほうを指した。


「分かりました。それじゃ行って見ます」


スタスタ。と行こうとしたら、


「ちょっと待った! まだ、買取金を渡してないよ」


と、慌てつつ苦笑しながら呼び止められた。


「ああ、すいません。おいくらでしょうか?」


「う~ん。どうしよう。全部買うと店舗買うために貯めているお金がなくなるし、でも欲しいし」


「お金には困ってないんで、安くてかまいませんよ」


ホントにお金には困ってないので、大丈夫です。


「それはダメよ。やっぱり、お金は適正価格で払わないと、やっぱり」


真剣で真面目な表情で言った。これは曲げそうにないな。


「でしたら、この素材で防具を作って、その防具の売った時の利益の一部を貰うというのは、どうでしょうか? そこから、注文した灰狼の服代を除けばいいですし」


曲げそうにないので、代案と提示してみた。


「う~ん。………わかったわ。それでお願い。それで、利益の何%がいい?」


「そこは良く分からないので、ナツキさんが決めていいですよ」


「それじゃ、30パーセ「多すぎます」そんなこ「そんなことあります。それじゃ、多くても5%でお願いします。これ以上は受け取りません」それじゃ、少なすぎるよ」


「いいですって。お金には本当に困ってないんですよ」


所持金が100億Dを軽くオーバーしていますからね。


「そう? それじゃ、5%ね。武器のほうの代金もこっちから出してあげるね」


「え? いや、う~ん。わかりました。お願いします。それと、いい防具お願いします」


ここで断ったら、無限ループに入りそうな気がしたので。


「まかせなさい。ちなみに、何を強化する」


防具の強化項目を聞いてきた。確か腕のある人は、素材特性以外にも追加できるんだっけ? って、聞くって事は凄腕なのか。さっきチラッとβテスターのようなことも言ってたし。


「それでは、Agiでお願いします」


「了解。Agiにしとくね。いいの作るよ~」


「あははは、お願いします。それじゃ武器屋に行きますね」


「まかせなさい!」


「はい」

と言って四軒となりの武器屋に行った。そういえば、ナツキさんの口調がどんどん砕けていってたな。そんなこと思っているうちに、もう着いた。


「すいません。こちら武器「おお、来たか。まあ、四軒となりだからな」間違いないようですね」


「いらっしゃい。武器が欲しいんだって、なかなか面白い素材を持ってるらしいね。そして、ホントにプレイヤー? 持って帰りたいくらい幼可愛いね」


「はい。この素材で双剣を作って欲しいんですけど。あと、れっきとしたプレイヤーです」


そう言って、橙竜の角と牙と爪、それと橙竜玉を渡した。


「そうか。はははは。それにしても双剣って、また珍し、い………。これって、ドラゴンの素材だよな?」


笑ったあと、ナツキさんと同じように、唖然としながら言った。


「はい。偶然倒しまして、手に入れたんですよ」


「偶然で倒せるのもなのか? だってドラゴンだぞ?」


そういわれても、これはホントに倒す気がなく倒したからなぁ。


「まぁ、簡単に言うと、ドラゴンが寝ているところに、上から尖った巨石が降ってきて刺さったといった感じですね」


「よくそれで大丈夫だったな」


「僕が落とした物だったんで、僕が倒したことになったんだと思います」


まあ、あの状況は、そうとしか考えられないよな。


「それは運がいいな。しかし、この辺にドラゴンなんているんだな。出会ったら壊滅しそうだ」


「なんか本来は山脈の中の方を住処にしているそうです」


そういいながら、[夕霧の森]の方の先にある山脈の方向を指した。


そうしたら、彼女は。そうなのか。と言い考え込んでしまった。


「あ、名乗り忘れてました。僕の名前はニズです。宜しくお願いします」


「ん? ああ、すまん。私はトーカだ。よろしくな」


思考回廊トリップから彼女もといトーカさんが帰ってきた。


「それで、武器はどうでしょうか?」


「まかせておけ。しかし、ドラゴンの素材なんて、こんなに早く触れるとは思わなかったぞ。ただし、加工できなかったら、ごめんな。多分、β時の下級蛇竜レッサースネークドラゴンと同じだと思うんだが」


嬉しそうにも、苦笑しながらトーカさんは言った。


「かまいません。宜しくお願いします」


「おう。最高のものを作るってみせる!」


にかっ、と笑って、まかせろ! といった。


「どのくらい掛かりますか?」


「う~ん、1日くれ。代金についてはナツキから連絡を貰っている。ナツキに貰っておくから気にするな」


「はい。わかりました。それではまた来ますね」


さて、どこに行こうかな。と、歩き出そうとしたときに、


「ニズ。忘れてた。ほれ」


トーカさんから、フレンド申請が飛んできた。僕は承認した。


「完成したら、メッセージ送るからな」


「わかりました。ありがとうございます」


そういうと、トーカさんは手をひらひら振った。



さて、武器と防具の注文もしたし、今日はどうしようかな。




ポーン

〔契約竜[真竜ベルニール]がフィールドボス“森狼王フォリルシル”を討伐しました〕


ベル。いったい今何をしているの?



ポーン

〔契約精霊[神精霊スフィリア]がフィールドボス“海王龍レヴィアトリス”を討伐しました〕


スフィ。お前もか。


二人して、いったい何をしてるんだ。………でも、ユニークボスじゃなくてよかった。




◇◇◇



その後、少したって“新緑の草原”の少し外れにて、


「ただいま」「今、戻ったぞ。主殿」


「おかえり。で、なんか、よく分からないアナウンスがあったんだが」


「途中で邪魔されたから倒した」「散歩中にいきなり掛かってきたのでな。打ち倒したまでだ」


二人とも、それがどうかしたの? とばかりに言った。


「そうか。まあ、そういうこともあるか」


まあ、僕に迷惑が掛かっているわけでなし。別にいいか。と考えなおした。


「私たちが倒した敵のアイテムも、主のアイテムボックスに入っているはずだよ」


スフィがそんなことを言うので、確認してみた。………確認したところ、それぞれのタブが存在した。どうやら、遠くにいるときなんかは、別タブにアイテムが入るようだ。


ちなみに、内容はこんな感じ。


アイテムボックス:スフィリア

長剣 [レヴィアス]

海王龍の藍龍玉

海王龍のひげ×2

海王龍の角×2

海王龍の爪×6

海王龍の牙×5

海王龍の鱗×9

海王龍の肉(20kg)

海王龍の逆鱗


アイテムボックス:ベルニール

曲剣 [フォルシル]

森狼王の碧魔核

森狼王の鉤爪×2

森狼王の爪×6

森狼王の牙×5

森狼王の毛皮×8

森狼王の肉球×2

森狼王の尻尾

森狼王の肉(12kg)



ふむ、ボスのみってことは、近くにいないと、通常のモンスターのドロップは入らないってことか。それはいいが、両方とも“王”って付いているんだが、これは………。



うん。とりあえず、これは褒めないとね。


「さすがだね。ありがとう。凄いよ」


「そう? えへへ♪」「そうか。ふむ。これくらいどうってことはない。ふふふ」


二人とも、上機嫌で笑っていた。すると、スフィがふと、気付いたように。


「そういえば、装備は頼めたの?」


「うん。ばっちりだよ。まだ時間がかかるから、今日はどこか場所を借りて調合でもしているつもりだよ」


「そうなんだ。それじゃ、私たちはもう少し出かけてくるね」「行ってくるぞ。主殿」


「うん。いってらっしゃい。気をつけてね」


「はい」「うむ」


スフィとベルはそういって飛んで行った。

………どこ行ったか気になるけど、まあ、呼べば来るらしいからいいか。


「さて、調合って道具や設備が必要だよな? 研磨セットはあったけど、調合セットは入ってなかったしなぁ。どこに行けばいいんだろう? 道具屋さんで道具を買えばいいのかな?」


スタスタと歩いて道具屋に向かった。


カランコロン、カランコロン


「いらっしゃい」


NPCのショップへ入った。基本的な道具はNPCショップが基本だよね。


「こんにちは。すいませんが、調合するための道具って売ってますか?」


「調合? 調合の何をする道具ですかい?」


調合と言ったら、細かい内容を聞いてきた。


ん?


「調合っていろいろあるんですか?」


「ああ。調合は調薬、調金、調理の総称したものを言うんだ」


「どう違うんですか?」


なんか、結構あるようです。説明をお願いした。


「調薬は文字通り薬を作る技術だ。回復薬や解毒薬、凄いものになると蘇生薬なんかも作れるらしいな。それで、調金は異なる金属や素材を併せて新しい金属を作る技術だ。これは鍛冶師が使い技能でもあるな。最後に調理は食材を扱いって様々なものをつくる技術だな。料理と違って結果でなく、作ったものでなく作る過程で、出来たものの効力が変わるのも特徴だな。他にも調木って言うのがあるらしいんだが、これはよく分かってないんだ。調金は金属を扱うが、金属でなく木材を扱うのが、おそらく調木だと思う」


なかなか奥が深いようです。そして、疑問を聞いてみた。


「調木はなんでよく解ってないんですか?」


「調木は、エルフの上位種族のハイ・エルフの技術なんだ。だから、名前以外の詳細が外に流れてこないんだよ。どうやら秘匿しているようでな」


「そうなんですか。それじゃ、知りようもないですね」


なるほど。納得。しかし、ハイ・エルフなんているんだな。まあ、エルフがいるんだからいるか。


「それで、どうする? 調木以外なら、どの道具もあるぞ」


一通りやってみたいな。よし。


「すべてお願いします。やってみたいので」


「全種類か? なかなか大変だぞ」


「覚悟の上です」


「ははは。わかった。全部買うなら、値引きして25,000Dでいいぜ」


笑いながら、値引きしてくれた。あと、最初のころより少し話し方が崩れてる。これがもともとの話し方かな?


「ありがとうございます。ハイどうぞ」


金額ピッタリを手渡して、調薬セット、調金セット、調理セットをもらった。ちなみにすべて中級セットでした。結構値引きしてない?


「これもおまけだ」


桃色のエプロンをもらった。


「いいんですか? ありがとうございます。また、何かありましたらきますね」


「おう。いつでも来な」


「はい」


気前のよいNPCショップを後にした。ホントにNPC疑わしい感じだったが。……中に人が入ってないよね?


「よし。これでいろいろできるな」


どこでやろうか考え中。やっぱり綺麗な水があるようなところのほうがいいかな。ならば[朝霧の森]でも行ってみようかな。なんかいい水がありそうだし、ついでに薬草なんかも採れるし。


スタスタ

と歩いて向かった。




ポーン

〔契約精霊[神精霊スフィリア]がフィールドボス“一角龍モノレリス”を討伐しました〕


スフィ。………またか、



ポーン

〔契約竜[真竜ベルニール]がフィールドボス“甲王魚カドレルウス”を討伐しました〕


ベルも、本当に今何をしているの?



二人とも何して、って、なんで同時なの?



………ふう、しかし、今回もユニークボスじゃなくてよかった。



気にせず、[朝霧の森]に行く為、北門を目指し再度歩き出した。



所持金36,407,075,000D


ありがとうございます。

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