始まりとステータスと精霊と……
始まりの町の名前はしっかりあります。
始まりの町に降り立った。町並みはヨーロッパの首都から外れた郊外の町っぽい雰囲気。行った事が無いので、あくまで雰囲気。初日は混雑しないように、キャラクター設定時の時間経過を遅延させたり、加速したりして時間をずらしているらしい。自分は遅延か加速かは分からないが。そのせいか、最初に降り立つ噴水広場は、ほとんど混雑していなかった。
「おお!まるで違う国に、いや、どちらかというと異世界か。どちらにしても凄いな。感じる熱や空気の匂いまで、まさに本物だ!」
その時、なにか違和感があった。何だろう? 声がなんか高いな。それに、なんか周りが異様に大きいような?
「大きい?いや、僕が小さいのか?……いや……でも。うん。まあ、とりあえずステータス確認だな。ちょっと見てから移動しよ」
設定時にチュートリアルが無い代わりに、誘導マーカーがついている。誘導マーカーは一度その行動を行うと自動的に消えるので、邪魔にならない。ちなみに、メニューからヘルプ→チュートリアルで、チュートリアルを受けることも可能だそうだ。
ちなみに音声入力も可能。
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NAME:Niz
種族:美幼女
契約精霊:スフィリア[神精霊:無元]
Lv:1
HP:100
MP:2500
Str:7
Vit:9
Int:12
Min:9
Dex:11
Agi:11
Luc:10099
FP:0
SP:10
アビリティ
[精霊完全具現化]
セットスキル
未セット
控えスキル
[巨神剣Lv1][双剣Lv1][光魔法Lv1][布防具Lv1][回避Lv1]
[身体強化Lv1][魔力操作Lv1][発見Lv1][調合Lv1][研磨Lv1]
称号
[神精霊の愛娘]
装備
M武器:巨神剣《神代》(不顕現)
S武器1:未装備(初心者の双剣)
S武器2:未装備
頭:白いリボンの付いた麦藁帽子
胴:白いワンピース
手:未装備
腰:白いハーフパンツ
足:白い靴
アクセサリ1~10:未装備
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ステータスを見た瞬間に時間が止まった。
「はい!?」
素っ頓狂な声を上げてしまった。そして、そのせいかどうかは分からないが、視線を集めていることに気が付いた。
落ち着け~。とりあえず落ち着け~。よし。
深呼吸して落ち着いたあと、そそくさとその場から逃げるように、小走りで歩き出した。
とりあえず、広場があったので、ベンチに座ってステータスの詳細を確認していく。
種族【美幼女】
あどけなさの中に婉然さを持つ、羞花閉月・天衣無縫な超絶可愛い至高の美幼女。
シークレットでネタなユニーク種族。ネタとして作られた種族。ネタゆえにワンオフであり、さらに男女関係なくなれる。ふざけて入れたので、当たる確率は極々0%に近い。当てた人は、ある意味で幸運であり、ある意味で不幸でもある。
種族としては、全種族中唯一種族値平均がマイナスになっている。
〈種族特性〉
布防具以外の防具を装備した場合、Agiが0になる。
1つ目のスキルが変更できなくなる代わりに、そのスキルのスキル経験値が100倍になる。そして、1つ目のスキルを完全習得した場合、その後すべてのスキルの必要経験値が半分になる。
MP+1000、以降がレベルアップ毎に、MPが1000増加する。
身長は97cm、体重10kgです。
なお、運営や開発への苦情や変更などは、一切受け付けません。
「強く生きてください」 by運営及び開発一同
「な!? 運営も開発もロリコンばかりか! ………いや、なんか一部の暴走な気配のほうが大きいような。……しかし、あんたネタって。しかも説明に苦情や変更不可って。確かに経験値100倍と必要経験値半分は嬉しいが、この姿は……。………よし! プラスに考えよう。これなら妹や友人にばれない! よし!」
無理矢理自分を納得させて次へ行く。
「他はどうなんだ?」
そういいながらアビリティ欄をタッチ
[精霊完全具現化]
精霊をMP消費及び時間制限なしで具現化できる。また、精霊が具現化中に、いくら力を行使しようとMP消費なし。
「アビリティは………。ずいぶん精霊よりの能力だな。でもMP消費なしってことは、普通は消費するってことだから、ないよりはいいな」
とりあえず保留にして、次はスキルをみる。
[巨神剣Lv1]:ユニーク武器〈巨神剣《神代》〉を使えるようになる。美幼女専用スキル。巨大な剣を振るって戦う幼女っていいよね。
[双剣Lv1]:双剣を扱えるようになる。二刀流と違い双剣でしか効果を発揮しない。
[光魔法Lv1]:光魔法を扱える。マジック:ライトシールド、ライトヒール
[布防具Lv1]:布防具装備ボーナス。布防具の装備時に耐久力の減少を軽減する。
[回避Lv1]: 回避行動に補正。回避時に行動速度やクールタイムの減少がおこる。
[身体強化Lv1]:行動全てに補正が掛かる。
[魔力操作Lv1]:魔力の操作が容易になり、魔力反応を探れる。
[発見Lv1]:見えないものを見つけられる。
[調合Lv1]:調合を行える。薬や毒など、あらゆるものが調合できる。
[研磨Lv1]:あらゆるものを磨ける。剣は切れ味が増し、宝石はより輝く。
うん。巨神剣ってユニークだね。俺専用らしいから、とりあえず、これを一つ目にセットしておこうかな。
さて、後は装備かな。って装備が白いな。すべてVit+1で、Agi+2か。まあ妥当なのかな。
よし。次は武器。
[初心者の双剣]
初心者の使う双剣。双剣のスキルを始めに取得した場合にプレゼントされる。
効果:Str+5 スキル:なし
[巨神剣《神代》]
美幼女専用のユニークワンオフ武器。巨大な剣を持つ幼女っていいよね。
効果:Str×2 スキル:〈衝撃破付加〉
巨神剣って、なんか凄いな。Strが+でなく×ってなんですか。……うん。これも気にしたら負けだな。ありがたく使わして貰おう。
それでは、スキルをセットして、ほかの装備も適用するっと。武器は双剣のみ装備で、巨神剣はメイン武器からはずせないようなので、巨神剣は不具現化?のままっと。
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NAME:Niz
種族:美幼女
契約精霊:スフィリア[神精霊:無元]
Lv:1
HP:100
MP:2503
Str:612
Vit:14
Int:20
Min:18
Dex:13
Agi:21
Luc:10099
FP:0
SP:10
アビリティ
[精霊具現化]
セットスキル
[巨神剣Lv1][双剣Lv1][光魔法Lv1][布防具Lv1][回避Lv1]
[身体強化Lv1][魔力操作Lv1][発見Lv1][調合Lv1][研磨Lv1]
控えスキル
未セット
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「こんなもんかな。ほかは………ん? StrとMPも十分おかしいが、Lucの値がさらにおかしい。10099って? なんで? 99はランダムでの値だと思うけど。まあ、ランダムで99も十分凄いが。他の異常なのは、たぶんStrは巨神剣で、MPは種族っぽいな。けどLucは………」
呆然としていると、ふと、称号が目に入った。
「ん? もしかして称号のせいか?」
称号をタップし説明を出す。
[神精霊の愛娘]
精霊たちに愛され、神精霊の狂愛を授かる者。
効果:Luc+10000+神精霊以外の契約精霊数×1000
「はい!?」
また、素っ頓狂な声を上げてしまった。なんか効果が計算式に。
ちなみに運よく周囲の人はいなかった。Lucのおかげか!?
「Luc異常の原因はこれか」
疲れたように呟いた。
「さて、称号を見たら契約精霊召喚するのが怖いんだが」
「実はずっと傍に居たり」
「な!?」
驚いて後ろを振り向いた。
「宜しく。主」
そこには現実ではありえないほどの魅力を持った美少女がいた。
「何があろうと、一生絶対に離れないからね♪」
キラキラした綺麗な目で彼女は言った。
「あらためまして、私が主の契約精霊です。名前は、主に貰ったスフィリアです。不束者ですが、一生宜しくお願いします♪」
彼女は澄んで弾んだ声でそう言った。
「よ、宜しくお願いします」
なんかとんでもないことを言われた。
「スフィ。初対面なのに、なんでそんなに好意?をよせてくれるの?」
称号が好意?から来ているようだったが、理由がわからないので疑問を投げかけた。
「スフィ。って私?」
「う、うん。愛称があったほうがいいかと思って。嫌だった? 嫌なら呼びk「嫌じゃないよ! 全く嫌じゃない! むしろ嬉しいよ! そっかぁ“愛”称かぁ。うふふふ♪」そ、そうか。ならよかった」
スフィがあまりにも喜んで笑っていたので、こちらも嬉しくなった。なんか怖い気もしたが。
「あ、そうだ。質問の答えなんだけど。ず~っと、見てたからだよ」
嬉しそうにそう言った。
「ずっと?」
「うん。あれってどこにでもあるからね」
「あれ?」
なんだろう?あれって。でも、どうしてか背筋は寒くなって、鳥肌が立ってきたぞ。
「そう。名前はカメラだよ。今はどこも繋がってるし、どこにでもあるよね。それで生まれてからず~っと見てたから。だからホントの姿も知ってるし、家の場所も家族構成も学校も知ってる。もちろん身長、体重、視力に、学校の成績。それとスリーサイズも血液型も、好きなものも嫌いなものも、な~んでも知ってるよ。一応だけど、主の友達関係の顔も家も会社も把握済みだよ」
暗に、逃がさないよ。と言われている気がした。なんかもう、冷や汗と震えがとまりません。
「愛してる人を知ることは、大切だよね」
スフィは満面の笑みを浮かべてそう言った。
「そ、そうか、ま、まあ、これから宜しくな」
はい、詰んだ。
「はいっ♪」
上機嫌に恍惚とした表情でスフィは言った。
◇◇◇
いろいろあったが、気にしないことにした。誰がなんと言おうと気にしないことにした。精神衛生上それが一番いい。現実逃避とも言うが、とりあえずは何かあっても家族には迷惑が掛からないようにしよう。きっと大丈夫だ。スフィのテンションも落ち着いて来たしな。
いろいろ決心がついたので、気を取り直して他の気になっていることを聞いた。
「スフィ」
「なぁに」
「スフィの属性ってなんなの?」
「私の属性? 私は無元だよ」
えっへん、と胸を張りながら答えた。
「むげん?」
そういえば。とステータス画面を確認した。
「ホントだ。確かに無元ってある。これは属性だったのか。しかし、無元なんてあったか? シークレットかな?」
「シークレット? これは私だけのものだよ」
こてん、と傾げながらスフィは言った。
「スフィだけって、ユニークか!? でもユニークなんて属性にあったか?」
……………………………………。うん。気にしたら負けだな。
「大丈夫?主の傍には私がずっといるよ。私と主は魂が繋がっているからね」
「あ、ありがとう」
ひとまず区切りがつき、気がついたら14時になっていた。夕立の可能性あり、なんていっていたので《ダイブアウト》し、洗濯物をしまうことにした。ちなみに思考加速?により時間が2倍になっている。この世界にいたのは12時から14時なので、4時間ゲーム世界にいたことになる。
「んじゃ、一度、ダイブアウトするな」
「うん。ホームでいるね」
「わかった。《ダイブアウト》」
◇◇◇
現実世界に帰ってきた。
「ふぅ。なんか疲れた。しかし、ユニークを複数手に入れたが、幸か不幸か分からないな」
そんなことを呟いて、庭に洗濯物をしまいに行った。
庭にて
「ん? そういえばホームってどこ?」
首を捻った。そして、もう一つ思い出した。
「! もしや今もスフィに見られてる!?」
キョロキョロ周りを見渡しながら言った。目に付く範囲にカメラはなさそうだ。
「って、冷静に考えてそんなこと出来るのか? てか、できたらどんなAIだよ。………もしや、ホントに魂があるのか!? でも、魂が繋がっているとか言ってたし、なんだかその結論が一番あっている気がする」
う~ん、だとしたら本気で逃げ場が無くない?
考えても結論は出なさそうなので、洗濯物をたたんでから再度 《ダイブイン》をした。
◇◇◇
《ダイブイン》したら、スフィがすぐに来た。もとい既にいた。
「おかえり」
「ただいま」
例のベンチまで行き、早速気になったことを聞いた。
「ねぇ、ホームにいると言ってたが、ホームってどこ?」
「ホームは、主のホームだよ」
「そんなのあるのか」
確か説明書にも、そんな記述は無かったが、一応お金を貯めれば買うことは出来るらしいが。ギルドを作るのに必須条件の1つらしい。
「うん。主がこの世界にいないときは、オフラインになっていることがあるから、出入りするときは一緒に行った方が確実だけど」
? オフラインのこともある?まさか
「そ、それってパーソナルホームってこと?」
まさか、だよな!?
「そうだよ」
まさかでした。何を当たり前のことを。と言わんばかりに答えた。
「入れるのか!? もとい居れるのか!?」
「無論だよ。そのためにVRP?の中身を改良改変したからね」
どうだ! と、胸を張った。………この子、AIを超越してないか?
「ここまでくると、尊敬の念すら沸いてくるな」
少し引きながら行った。
さて、気を取り直して
「ひとまずは自分の力で頑張ってみたいから、少し休んででいいよ」
「え~」
「何かあったり、聞きたいことがあったら召喚するから。 ね? 」
「ん~。分かったよ。中にいるからいつでも呼んでね」
そう言いながら、スフィは僕の中に入った。
「なかって、ホントに中か。これは召喚って言うより、呼ぶって感じだな」
中にいるから召喚ではない。複数いたら召喚魔法とか覚えるのかな?
スフィが中で眠っている気がする。何と無くであるが確信が持てる。
一応、スフィリア[神精霊:無元]の詳細を確認することにした。
【スフィリア[神精霊:無元]】
無の中の無、無の元を司りし神。創造神を創りし神。世界の生まれる前に生まれ、その力は森羅万象・摂理・因果を支配・掌握する。
「怒らせないでね。いや、フリじゃないから! マジでヤバイから!! 頼むよ!? 本当に頼むよ!!」 by 運営及び開発一同。
………うん。見なかったことにしよう。
ポーン
〔称号[受け流す者]を取得しました〕
スルースキルが急激に上昇した。
称号[受け流す者]
数多の事柄を、華麗にスルーした者に進呈される。
ありがとうございました。