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今後とポーションとアップデートと…………。

お願いします。




さてと、


居間に入ると涼しい風が吹いた。


みんなはまだ戻ってないか。シルフィくらいは戻ってきてると思ったんだが…………そんなに家の庭って広いのか?


…………うん。まあ、それは後で聞こう。

今のうちにポーションの確認をしよう。多分まだ売ってないよね。店を持ってから売りたいっていってたし。


え~と、ポーションは結構な量を作ってるな。


〔神眼〕を使えば分かるかな。これで分からなかったら鑑定だかのスキルを取らないとな。



[カンカンポーションⅣ]((秘薬・劣))

HPが80%回復する。その後、継続的に5分の間、HPが毎分6%回復、MPが毎分1%回復する。薬草と聖水が魔力とマナにより反応を起こし活性化した回復薬。六宝柑の味がして飲みやすい、六宝柑ジュース。

((多くの魔素が含まれているため、連続して摂取すると魔素中毒になる可能性が極めて高い。魔素中毒が起きている時に摂取すると、個人差はあるが絶命する))



うん。これは駄目だな。事情の説明しないとな。売っても使用制限しないとクレームが来そうだ。それに、絶命するってのは嫌だな。

他のポーションも全部同じ様な感じだ。

もしくは、正規のものをつくって渡すかだな。それなら売れるかな、作ったことないが。やっぱり、これからは力業じゃ駄目だな。調薬の本もあるから正規の手順でやりますかな。



あとは、…………あ、ジャムとかはどうなんだろうか。



[ライフアルプジャム]

アルプのジャム。甘酸っぱくて、中に残ったアルプの果肉がよい歯ごたえ。HPが32%回復。

((ジャム状にしたことにより余分な魔素が加わらず、連続して摂取しても魔素中毒になりにくい。その代わり、連続して摂取すると効果がなくなる))


これなら、悪くはないな。複数食べると効果がなくなることを言っておけばクレームにはならないかな。いや、その前に食品だから関係ないかな?


しかし、“魔素中毒”ってなんだろうか。中毒って時点でいいことじゃないのは分かるが。調薬のススメに載ってたかな?


あ、あった。どれどれ、



〔魔素中毒〕

体に魔素が溜まることにより起こる中毒。軽度の場合は船酔いの様な症状が起き、重度の場合は死に至る。魔力多過症と症状が似ているが、原因が異なり特効薬は存在せず、自然治癒に任せる他ない。極稀に高位のヒールなどの魔法でも起こることがある。



ふむ。特効薬がないのか。これは気を付けないといけないな。ヒールなどの魔法でも起こる、ってことは自身以外の魔力が関係しているんだろうな。

…………“魔力多過症”ってなんだろうか。


え~と。あった。



〔魔力多過症〕

高い魔力を有している子供がなりやすい。未熟な身体が高い魔力によって軽度の免疫不全に陥っている状態。魔力を封じ込める魔法具か、魔力の抑える薬を服用することにより症状を緩和できる。身体が大きくなれば次第に落ち着いていき、大人になる頃には完治する。死に至ることはない。高い魔法の才能を持った証でもある。



ふむ。才能の証か、才能の証か!

この本は本当に凄いな。調薬関係のことなら何でも載ってるな。まあ、これが調薬の基礎なのかもしれないが。


ん? 魔力は何と無く分かるけれども、魔素は…………魔素とマナは違うものなのかな。

どこかに魔素の説明はないのかな?


ペラペラとページを捲っていく。


ページが多過ぎてどこにあるか見付からないな。って、目次があるじゃん。

え~と。あった、これか。



〔魔素〕

魔気の一種。魔法を使用した際に極僅かに発生するが、低濃度では不安定なため瞬く間に分解されてマナとなる。精霊や樹木などが生み出すマナと異なり、濃度が高いと人体に悪影響(頭痛や酩酊など)が起こる。濃度が高くなると強力な魔物や魔獣など産み出すことがある。

特記:魔素が多量に発生する場所が存在し、その場所を魔泉という。密林の奥地やダンジョンの最下層に存在し、貴重な薬草などが自生していることが多い。



ふむふむ。魔素は魔気の一種なのか。

…………魔気を知らんがな。まあ、でも、定番からは外れてないようだな。それに、高濃度の魔素でも死にはしないようだな。

これから考えると、ポーションがヤバイのは魔素が極めて多量に入っているからだと思われる。

う~む。何とか魔素を分解出来ないものか。いっそ[生命之根源(マナ)操作]で魔素を無理矢理にでも何とか出来ないかねぇ。


とりあえず、カンカンポーションを出してじっと見つめて観察。


所謂、魔素は不純物なわけだよな。この不純物を取り除けば良いわけだ。


でも、そんな方法はないよな。魔素中毒は自然治癒しかないようだしなぁ。


考えて、というか悩んでいると


「ただいま」


エドさんが帰ってきた。


「おかえりなさい」


足音が近付いてきて、部屋に入ってきた。


「おう。ただいま。………何してるんだ?」


僕はポーションをじっと見ていたからか、不思議な顔をして聞いてきた。


「おかえりなさい。ちょっと考え事を」


「そうか。シルフィはどうした?」

少し周りを見渡してから、エドさんは聞いてきた。


「庭の散歩に行って、まだ戻ってないです」


「そうか、そんなに広いのか?」


「どうなんでしょうか。え~と」


メニューから確認してみた。うん、シルフィたちは庭にいるな。ってか、分かるようになってるのか。あっと、広さは………これでいいのかな? え~と…………60km²……って!? ………広過ぎないか!



「………60km²。って言えば分かりますか?」


「60キロヘイホウメートル? 面積の単位か?」


あ、やっぱり分からないか。まあ、だよなぁ。お金の単位も違うんだから、そりゃ、違うよな。


「はい、そうです。ん~、他の言い方だと…………この国の単位って、いや、わかっても変換がすぐにはできないか。どうしよう」


「大体でいいぞ」


「そうですね。おそらく、ファストの町の5~6倍くらいでしょうか」


「………広いな」


「……やっぱりですか」


「庭なのに町が何個も入る時点で広いだろう」


「確かにそうですね」


少し変な雰囲気になった。


「ま、まあ、そんなこともある。そういえば何をしていたんだ?」


「え? あ、はい、魔素を取り除く方法はないかな、と思いまして、考えていたんです」


「魔素? ん~、そうだな、魔素か。無くはないが………」


「あるんですか!?」


「ああ。共鳴氷晶という鉱石で魔素を分解することができる。ただな、稀少な鉱石でな」


「共鳴氷晶……どのくらい稀少なんですか?」


「そうだな。魔宝石と呼ばれるものの中でも、特に稀少なものだ。市場に出回ることが滅多にないから、お金で買えたら運が良いな」


「そうですか。なら、自力で何とかするしかないかな」


そう言いながら立ち上がり、冷蔵庫(っぽい魔法具)からオレンジジュース(っぽい柑橘系)を取り出した。

コップを4つ持ってもとの位置に戻った。


「はい、どうぞ」

と、エドさんにコップに注いで渡した。


スフィとレンにも渡した。

エドさんとスフィはゴクゴクと、レンがチビチビと飲んでいるのを見てから、僕も飲んだ。


その後再度、ポーションをじっと見つめる。


「どうするかな」


「主」


スフィに呼ばれた。


「何?」


「共鳴氷晶は有りませんが、共鳴天晶は有りますよ」


「共鳴天晶?」

僕は小首を傾げた。


「共鳴天晶だと!?」

なんかエドさんが驚いていた。


いきなり大声を出されたからビクッとしましたよ。

んで、共鳴天晶ってなんでしょう?


「主、共鳴天晶は簡単に言うと、共鳴氷晶と同じ様なものだよ」


なるほど。ならば使えば魔素を取り除けるのかな。


「いやいやいやいや、確かに似てるが別物だ!」


「スフィ。エドさんはこう言ってますが」


「主。性質は同じです。但し、共鳴氷晶は効果が少し低くて使い捨てで、共鳴天晶は効果が大きくて半永久的に再利用可能と言うだけです」


「なるほど。なら、同じ様なものだね」


納得、納得。


「いや、ニズ嬢ちゃん。納得せんでくれ。その違いだけで色々と桁が違う!」


ふむ。どれだけ桁が違うか分からないが、


「確かに再利用できる方が便利ですね」


隣でスフィとレンも頷いている。


「まあ、そうなんだが…………はぁ、まあ、そうだな」


エドさんがなんか疲れてる。今晩は栄養があるものにしよう。いや、してもらおう。と、いうことにしておこう。



「スフィ。それで、その共鳴天晶はどこにあるんだ?」


「倉庫の中です」


倉庫か。よし、メニューから。どれどれ、どこどこ。


……………あ、あった。これか。


倉庫(ストレージ)から取り出した。



[共鳴天晶]

魔素を分解する力を持った鉱石。効果が強力なため魔物や魔獣と呼ばれる存在はこれを避ける。そのため魔除けにも使うことが可能である。同系統の力を持つ共鳴氷晶よりも稀少で、同じ大きさの金剛石よりも桁違いに高価である。



これだな。

外見は水晶に近いが、中に様々な色の波紋が踊っている。少し白色と青色の波紋が多いかな。


取り出して机に置くと、エドさんが、ほほぅ、と感動した様な雰囲気を醸し出した。


「これを近付ければいいのか」


なんか、「国宝よりも遥かに大きいな」とか言っているエドさんはスルーして、ポーションに近付けた。

すると、ポーションがぼんやりと発光した。


これでいいのかな? どれどれ、変化したかな?



[カンカンポーションⅣ](品質6)

HPが800回復、MPが50回復する。薬草と聖水が魔力とマナにより反応を起こし活性化した回復薬。六宝柑の味がして飲みやすい、六宝柑ジュース。

((魔素を取り除いたポーション。秘薬としての効果はなくなったが、連続して摂取しても魔素中毒にならなくなった。ただし、多量に摂取するとポーション中毒にはなる。))



ふむ。これが普通のポーションか。回復量は固定なんだな。


ってことは、何%と言うのは秘薬の特性なのかな。

確認のために正規の手順で秘薬を作りたいけど、調薬のススメに載ってるなものの名前がヤバイんだよな。

エリクシール、ネクタル、アムリタ、ソーマ、仙丹せんたん変若水をちみづ、一部知らないが。

それに、素材が知らないものばかりだ。


「全部あるよ」


全部あるらしいが……………え?


振り替えるとスフィが本を覗き込んでいた。


「あるのか?」


「もち」

スフィは満面の笑みで頷いた。


「そうか。あるのか。…………とりあえず作成は、もとい、調薬は保留だな」


「そう? 好御期待だね」とワクワクした様に言っていた。

試しに作ってもいいが、とりあえずポーションで様子見だな。


「ニズ嬢ちゃん」


一人で納得しているとエドさんに話しかけられた。


「そのポーションはニズ嬢ちゃんが作ったのか?」


「そうですよ」


「そうか。その高位(ハイ)ポーション作ったのか。凄いな」


高位(ハイ)ポーションになるのですか? 使った素材は通常の回復薬と同じですよ」


「そうなのか? 特殊な調合でもしたのか?」


特殊? 特殊と言えば特殊かな。


「まあ、色んな調合方法はあるからな、独自なものもあるのだろうな」


僕の場合は独自と言うか適当だったなぁ。


「そうですね」

笑顔でスルーしました。



「ただいま」

話しが一区切りした時、ちょうどのタイミングでシルフィが帰ってきた。


「おう、おかえり」


「おかえり。どうだった? なんか面白いものはあった?」


入ってきたシルフィに庭の感想を聞いた。

ちなみにメイドさんとティナは「すぐに晩御飯の仕度を」と言ってキッチンに一直線だった。下拵えはしてあるからバッチリなんだろう。栄養あるものにしてもらうのは明日でいいか。


「そうですね。泉や花畑なんかがあって凄く綺麗で幻想的でした。精霊さんもたくさんいて、なんでも聖域になっているそうです。ただ、一人なら遭難するくらいの広さでした」


「そうか。今度、散策してみようかな。………しかし、そんなに広いのか」


恐るべし60km²、どのくらいか想像がつかないが。


「やはり、町が何個も入る広さは庭とは言えないだろう」


「みたいですね」


エドさんの言葉に同意していると、シルフィが思い出したかの様に言った。


「あ、でも、精霊さんに頼めばこの家の場所を教えてくれるそうです」


「そ、そうなのか」


「はい!」


エドさんの相槌にシルフィは元気に応えた。

何か良いことあったかな?



そのあと、シルフィによるお散歩の話が延々と続いた。ご飯になっても続き、シルフィがお風呂に入るまで続いた。



「エドさん。シルフィ、喋りましたね」


「ああ、そうだな。こんなに喋るシルフィは久しぶりだ」


僕はエドさんと二人してぐったりしていた。そして、精霊(竜込み)は餌食にならずのんびりしていた。


「まあ、元気なことは良いことですね」


「だな」


ちなみに、シルフィの話しを要約すると、凄く清浄な空気に包まれた場所で、特に泉と花畑は素晴らしく、是非みんなで行きたいところだそうです。

ファノに聞いたところ、聖樹があるらしく聖獣も住んでいる(気配があったので、間違いない)らしい。


家の庭はどうなってるんだ?

メニューを開いて再度確認してみた。総面積2300km²(境界未確定部分有り、建築可能最大敷地面積60km²は除く)


うん? なにこれ?


「ニズ嬢ちゃん。どうかしたか?」

僕が固まっているのを不思議に思ったか、心配そうな視線を向けてきた。


「あ、は、はい。大丈夫です」


まあ、こんなに広い土地がどこにあったのかはスルーしよう。何てったってファンタジーだからな。

大は小を兼ねるとも言うし、問題無しだな。


あ、そうだ。

「エドさん。多分、精霊祭まで留守にすると思いますが、この家を使っていいですからね」


「ん? そうなのか? ああ、そう言えばそんな話も有ったな」


「え? そんな話というと?」


「いやな、精霊祭の前日準備は基本住人や信徒なので行うのが通例でな。その間は町に異世界人は来ないと聞いたからな」


「そうなんですか、大変そうですね」


「まあ、前日以外の大規模なものは例外だがな」


「精霊祭自体が大規模な祭りなんですね」


町を挙げての祭りだから、そりゃ規模も大きくなるか。


僕が「今から楽しみです」と言うと、エドさんは「そうだな」と言ったあと、小さな声で少し疲れたように「終わったら肩の荷も降りるしな」と呟いた。


聞こえたが、踏み込むのはいけないな。



その後、シルフィにも精霊祭まで留守にすることを言って、遊んでから寝床についた。


エドさんも疲れていたのか、昨日よりも早く寝た。



「みんな」


「「「「「はい」」」」」


「僕のいない間、何かあったら頼んだよ」


「任せて」

「うむ」

「わかりました」

「承知しました」

「わかった」

みんなそれぞれの返事で応えた。


「ありがとう」

僕はみんなを見回して感謝した。



その後、僕は現実世界、この世界で言うと異世界ティエラかな。

「ダイブアウト」

帰った。



ありがとうございました。


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