身分証とリアルと母方の実家と…………。
お願いします。
何事もなく、町に着きました。
うん。双剣は封印かな。全て一撃じゃ、ゲームしてる意味がないよ。まあ、それも後回しかな。
「さて、《ダイブアウト》して、寝ようかな」
《ダイブアウト》しようとしたところ。
「ニズ嬢ちゃん!」
エドさんがこちらに小走りで寄ってきた。
「あ。エドさん!」
「よかった、まだいたか。【エレスト】で合流するにしても、待ち合わせ場所なんか決めてないこと、すっかり忘れてたぜ。これを持って行け、これがあれば大丈夫だ。身分証としても使えるから、無くすなよ」
「わかりました。ありがとうございます」
エドさんから、大きさは直径7cmくらいの、銀色のメダルを渡された。
「ストレアシルバー、っていう金属で出来た特注品だ。血を1滴たらしてみろ」
そう言って、エドさんはナイフを渡してきた。
これは、断れる雰囲気じゃないな。断る気はないけど。
指の先を軽く切り、メダルに血をたらした。
すると、メダルが淡く光り、透き通った白銀色に変わった。
「これは!?」
「これで、大丈夫だ。ニズ嬢ちゃん以外使えなくなった。しかし、不思議な色に変わったな」
驚いた様子で、こちらを見た。
「え? みんな、この色になるのではないのですか?」
「普通は色がほんの少し変わる程度だ。こんなにしっかり変わることは今まで聞いたこともないな」
「そうなんですか!」
そうなのか!? なんでだろう? 一応、異世界人だからかな?
「ああ。………やっぱり、ニズ嬢ちゃんは只者じゃないな。まあ、普通に森や沼地に入れる段階で、只者じゃないのは確定してるがな」
「それは、ありがとうございます?」
「まあ、そんなことはおいといて。これも渡しておく。人が多くて、待ち合わせは困難だろうから。その[友への手紙]を使ってくれ。魔法道具の中でも、安価で一般的なものだから、遠慮する必要はない。本当は、[携帯魔導通信機]を渡したかったのだが、予備がなくてな」
申し訳なさそうに、エドさんは言った。
「いえいえ。十分です。[友への手紙]でも、すぐに届くのでしょう?」
「勿論だ」
「でしたら、問題ないですよ。手紙してから動かなければ合流できますから」
「まあ、そうなんだが」
まだ、申し訳なさそうに言うので、
「それに、僕は人を待つのは嫌いじゃないですよ」
「………わかった。それじゃ着いたら手紙を送ってくれ。無理だったら手紙で返答するから」
「わかりました」
「それじゃ、またな」
「はい。またお会いしましょう」
そう言って別れた。
さて、《ダイブアウト》しますか。
◇◇◇
《ダイブアウト》後、トイレに行って直ぐに寝た。
そして、翌朝。
「お~い。そろそろ行くぞ~」
僕は瑠璃に呼びかけた。ちなみに茜は準備済み。
「まってよぅ」
「待ってるよ」
バタバタと音を立てながら、小走りでやってきた。
「走らなくても、大丈夫だから。ほら、行くぞ」
「「は~い」」
荷物を持ち、扉を開けた。あれ? なんで僕、妹どもの荷物まで持ってるの?
「はい。荷物」
「兄ちゃん」
「兄ぃ」
「「そこは男が持つところでしょ(ぉ)」」
「兄妹じゃなければな」
僕はそう言って、渡した。
「「え~」」
ガチャ、と鍵を閉めながら(昔使われていた2次元鍵でなく、今は3次元鍵と生体データ認証の二重ロック)下に置いていた自分の荷物を持った。
「ほら、行くぞ」
「「は~い」」
駅に向かって歩き出した。
◇◇◇
電車内にて
「兄ぃ。ゴーレムを倒せなかった」
「ん? ゴーレムって、あのゴーレムか?」
「そぅだよぉ。他のルートでも倒せてないみたぃ」「実際にどこのルートでも【エレスト】を見た者はいないんだよ。ホントにどうすれば倒せるのか」
ふぅ、と二人してため息をついていた。
「そんなに手強いのか?」
「無理ゲーだね」
「無理げ~だよぅ」
そんなに強いのか?しかし、そんなバランス崩すようなことするかな? と、いうか他のルート? ああ。そういえば、他のサーバーからスタートの場合は、違う町からで、【エレスト】で合流するんだっけ?
…………ん?
「なあ、他のルートでもって、第2の町にいくためのボスは別だったのか?」
「? うん。そうだよ」
「なら今回も、普通なら別のボスになるはずじゃないか?」
!
二人とも驚いたように、固まった。
「「確かに(ぃ)!」」
周りに見られて、周りに頭を下げた。
「それは盲点だった」「そのとぅりだよぅ。確かにおかしいよぅ」
興奮したように、うんうん、頷いている。
そして、携帯端末と取り出して操作しだした。
「どうした?」
「この情報がないか調べてるの」
「情報は、大事だからねぇ」
情報は大事なのはわかるが、ここ一応電車内なのだが。まあ、みんな使ってるし、今更か。良い子は真似しないように。
そんな、意味のわからない考えをしていると、
「やっぱりない」
「だれも、考察してなぃですぅ」
「そうか。このタイミングで言うのも変だが、瑠璃はこのしゃべり方のままで、お祖母ちゃんやお爺ちゃんに会うのか?」
瑠璃のしゃべり方は、本来はゆっくりしゃべるだけで、あまり語尾を延ばすことはない。
「ロールでしてたのがぁ、治らなくてぇ」
「そうなのよね。前のゲームでのロールがこんな弊害を生むとはね」
「まあ、なんにせよ。治らないならしょうがないな」
そのうち治るだろう。治らないかもしれないが。
「それで、その考察は流すのか?」
「う~ん。このままって言うのもあれだけど」「私たちがいない内にクリアされるのもなぁ」
「まあ、その考察が当たりかも分からないし、一応パーティメンバーにだけでも、自分の考えを言っておくのも手じゃないか?」
「うん。そうだね」「そうするぅ」
さて、どうなることやら。
◇◇◇
鎌倉に着きました。
ここから江ノ電で七里ガ浜まで行って、そこから坂をゆっくりゆっくり登って行く。そうそう、祖父母宅へ行く途中にある、お魚亭の寿司は美味しいよ。値段表記なくて怖いけど。
歩いて30分ほどで、祖父母(母方)の家に到着。
「こんにちは」
「こんにちは!」
「こんにちはぁ」
祖父母の家の玄関を開けて言った。ちなみに隣りは従姉妹ん家です。
「いらっしゃい。よく来たね。さあ、中に入って」
おばあちゃんが出てきてくれた。
「「「お邪魔します(ぅ)」」」
おばあちゃんに、促されて家の中に入った。
◇◇◇
何事もなく、美味しいもの食べて、両親と合流して、帰る日になりました。
その間は、従姉妹と遊んだりした。ちなみに、従姉妹も例のゲームをしているらしく、正規版組らしい。開始サーバーが異なるので、まだゲーム内では会えていないらしい。
まあ、【エレスト】からが、本番みたいな感じだからな。補足だが、僕は話しに入れないので、祖父母と話しているか、テレビを見ているくらいでした。
「みんな~、もうそろそろ出発するわよ~」
「「「はーい」」」
母親掛け声に、茜、瑠璃、父親が返事した。相変わらず、乗りがいいな。
道路に従姉妹が見送りに来ていた。
「茜、またね。次は【エレスト】で」
「今入った情報だと、精霊祭って言うのがあるらしいから、一緒に回ろうよ。その時にパーティメンバーを紹介するね」
と、裕美と奏美が言った。(ちなみに、裕美が姉で、奏美が妹です。ゲーム内の名前はヒロとカナらしい。)
「うん! モチロン! お互いとっととマジックゴーレム倒して、【エレスト】で会おう」
「けっこぅ調査や検証も進んでるしぃ、倒すのも時間の問題だよぉ」
妹は何か凄くやる気の様だ。
ってか、まだマジックゴーレム倒せてなかったのか!? どんだけ強いんだよ! しかも、お互いってことは、他のルートも同じかい!?
「それでは、お邪魔しました」
「また、来ます」
父親と僕は挨拶をした。
「また、何時でもいらっしゃい」
「老後は趣味以外は暇だからな」
「その趣味で、私を置いて旅行してるのは誰かしらね」
「今度温泉に一緒に行く予定だろう。それで、許して」
何か言い合いを始めた。ちなみに、祖父母と言うが、おばあちゃんの見た目が異様に若い。見た目年齢は三十代前半だ。実年齢は、…………ハッ! 殺気!
「とーさん。かーさん。それじゃ、帰るわね」
「「「お邪魔しました」」」
「それじゃ、またね」
「「またねぇ」」
「気を付けてねぇ」
そんな、こんなで、帰路に着いた。
ちなみに途中、倒木で電車が止まったが、ギリギリセーフで捕まりませんでした。
ありがとうございます。




