表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/40

始まりのキッカケ

お願いします。



7月20日土曜日、月曜日に終業式を行ったら、夏休み(夏季休暇とも言う)という日の朝。

(土日と繋げて、今日から夏休みでもいいと思う今日この頃。)


ガチャ、乱暴にドアを開け


「兄ぃ! おはよぅ」


「うおう、………おはよう。どうした?いきなり」


妹が勢いよく部屋に入ってきた。


「ついに、ついに届いたんだよ!」


「何が?」


「E2だよぅ。ついにきたんだよぉ」


「E2?」


テンション爆上げな妹とは対照的に、疑問を呈した。もといE2なるものに見に覚えがない。


「《Element Earth On-line》の略で“E2”。今、唯一つのバーチャルリアリティを利用したネットーゲームよ。俗にいうVRMMOってやつ。βテストに参加していて、やっと正規版が出たんだ。今年は長かったよ~。」


「βテスト?ああ、そういえば去年の後半、なんか毎日夜遅くまでやってたな」


思い出して納得した。確か、なんか国まで手を貸してるって噂のゲームだっけ?


「そぅ!ついにその正規版が完成して届いたの、βテスターは特別プレゼントだよぅ」


「お、おう」


朝からさらにテンション爆発していた。


「じゃあ、友達に話してくる。友達もβテスターなんだ」


バタバタバタバタ、と妹は走って部屋から出て行った。ドアが掛けっぱなしなのは、妹のでデフォで何回言っても直る気配なし。そういえば、この町は何故かβテストの当選者が多いらしい。なんか奴の気配を感じるな。


その後、土曜日曜と、妹はテンションが常時高かった。



◇◇◇



そして月曜日。


「おはよう」


「おはよう!来たか来たか、やっと来たか!」


そこにはテンションの高い馬鹿がいた。


「朝からテンションが高いな。明日から休みだからって、暑苦しいわ」


手団扇で顔を扇ぎながら言った。


「んで、どうした?」


「E2がついに始まるぜ!」


なんか妹を思い出した。ってか、お前もか。いや、お前らもか。周囲のみんなもテンション高い。


「ああ、そういえば妹も土曜届いたとかで、始終ハイテンションだったな。月曜にはある程度落ち着いていたが。というか、お前らも買ったのか?」


ハイテンションなクラスメイトたちに聞いた。


「俺らはβテスターだぜ。土曜日に届いてるよ。ちなみに、お前の妹たちともパーティ組んだこともあるぜ。しかも、俺はトッププレイヤーで攻略組だ。知らなかったのか?」


攻略ってことはRPG形式のゲームなのかな。


「知らんよ。ってまさか、去年の中盤ごろ冬休み頃まで遅刻が多かったのは……」


「もちっ!」


親指を立ててそう宣った。周りの奴らも、一緒に親指を立てていたり、逆に目を逸らしていた。


「もちってお前は……。ってか、反応から見てβテスター多くね?」


少なくとも反応した人はクラスの半数はいかないまでも3分の1くらい。詳しく言うと10人くらいって感じ。


「ああ、うちの会社は資金を出資している中でも筆頭にはいるからな。このくらいの融通は利くぜ。っといっても、この地域の当選確率上げてもらっただけだから、ここまでクラスにそろうのは想定外だな」


想定外以前によくそんなことできたな。ちなみにこの学校は3年間クラスがえがない。選択科目で一応分かれるが、移動教室なのでクラスは不動。


「想定外って、………そんなことしてたのか。いいのか?」


「みんなで楽しみたいじゃん」


卓巳はいい笑顔で言った。確かにそちらのほうが楽しいだろうな。気にしたら負けかなと思い、話しを変えた。


「まあ、それは置いておこう。でも、俺はソフトもハードも持ってないからなぁ」


「なん……、だと……!」


驚愕したように卓巳(金持ち)は言った。


「なぜ持っていないと言わなかった!」


「聞かれて無いことを言えるか!第一に妹どもがやっていることも、土曜まで忘れてたんだぞ」


「そうか。結構ニュースでも特集をやっていたんだが。しかし、俺が持ってる分は、他のクラスメイトに売ったしな」


卓巳はそう悔しそうに言った。周りの確認してみたら、確かにみんなゲームの話しをしているようだった。


「まあ、いいよ。気にすんな?」


「なんで疑問?しかし、今からじゃ2次販売も予約分のみで完売してるし、3次もキャンセル待ちらしいからな」


「まあ、やりたかくなったら、4次や5次にでも望みを託すよ。それに今すぐ、ソフトとハードであわせて5万はきついしな」


そんなに人気があったことに驚きつつ、無難な答えを出した。


「そうか。………それじゃ、そういう訳で、夏休みの宿題を頼んだ!」


「おう。ってなんでだよ。出来るんだから自分でやってよ」


もう少しでスルーしてしまうところだった。そして卓巳に文句を言った。去年もこんな感じだったなと思い出しながら。


「トッププレイヤーへの道はすでに始まっているんだ!」


「βテスターだから、別にいいだろう」


「甘い、甘すぎる、甘甘だ!βテストの時と同じなわけがない。と、いうか、すでに大幅に違うを情報が来ている。なんでもβテストのときのフィールドは、βテスト用のものらしい。正規版では、接続する国ごとに出る大陸が違い、そしてモンスターやフィールドも完全に違うらしい。だいたいβテストには、一つの町から全員で始まったしな。日本国内でも、地方ごとに複数の町から開始で、町同士を繋げないと出会うこともできない。大陸間をつなげる場合は、専用クエストをクリアする必要があるんだと。それに、外国の人とでも言語翻訳が付いているから、βテスト時代でも問題なく話せたぜ」


「そ、そうか。まあ、頑張れ」


マシンガントークに気圧されながら答えた


「という訳で、任せた」


「はぁ~。少しは自分でやろうと気合を見せろ」


ため息をついて、そう言った。


ガラガラ

「みなさん。席についてくださーい」


そのタイミングで先生が入ってきた。



◇◇◇



大掃除中


「頼むよ。夏休みの宿題をさぁ。E2が俺を待っているんだよ」


「まったく。わかったよ。手伝ってはやる」


「シャー。サンキュー」


中学時代からこんな感じだ。



◇◇◇



終業式終了後


「よし。おれは行くぜ」


そういって卓巳たちは駆け出した。


「まてい」


ビタタタタンッ!

僕は卓巳と、それと一緒に駆け出した奴らを止めた。というより、一番前の卓巳に足かけしたら、みんなを巻き込んだ。


「痛ッ。何すんじゃい!」


なぜか憤慨しながら卓巳は言った。ほかのみんなは卓巳に少し憤慨中。意味分からんな。


「もう少しで終わるんだから待て」


「少しならいいじゃん。俺らβのトップ争いはすでに始まってんだ」


うんうんと頷くβテスターの中に、なぜかβテスターで無い人もいた。てか何混ざってんの?


「確か開始は27日だろう?」


「しかし、戦いは始まっている。今日、公式サイトに正式な情報が公開されるんだ。だから見逃してくれ」


なんか目がキラキラしていた。


「そうか。だが待て。それに卓巳は今日から26日までに宿題を粗方終わらせるんだろう?」


「うぐッ、それは」


卓巳は目を逸らした。こいつ忘れていたな。


「分かった。その代わり宿題を頼んだぞ」


「はいはい。それに5日間もあったら、宿題はほとんど終わるだろ」


手をひらひらさせながら言った。


「よっしゃ。みんな!言質取ったぜ」


他の奴らも写す気のようだ。まあ、いいが、危なくない?


ガラガラ

そんなことを思っていると、先生が入ってきた。


「席についてぇ~」


みんなが席についたのを確認して、


「みんな居ますね。ではここにプリントと通知表を置いておきますので、各自とってください。みなさん、夏休み気をつけてくださいね。ではこれで終わりです」


よし。とばかりに先生は頷き、教室から出て行こうとする。


………………ん?



「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「 ちょっと待て! 」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」


クラス一同が一瞬唖然とし、我に帰って叫んだ。


「とめないでください。トップへの戦いは既に始まっているんです!」


卓巳たちと同じようなことを言って駆け出した。みんな完全にとまっていた。


「さっきはごめん。これないわ。とめてくれて助かった」


「気にすんな。わかってくれればそれでいいよ」


自身の行動を客観的にみた卓巳が、さっきの事を謝ってきた。


その後、先生は半泣きで戻ってきて、無事に夏休み前のHRは終了した。



余談であるが、後日聞いた話によると、先生はその後、校長、教頭、学年主任に酷く叱られて、マジ泣きしたらしい。ご愁傷様です。



◇◇◇



26日、卓巳の家にて


「終わったー」


世界史を終わらせ、卓巳はぐったりしながら言った。


「あと現代文の読書感想文(?)と数学が残ってるけどね」


「しっかーし、明日からゲーム三昧だぜ。んじゃ、早速情報集めだ」


「現代文と数学はいいのかよ。だいいちお前はβテスターだから、ネットに乗ってるような情報は収集済みだろ」


すこし呆れながら卓巳に言った。実際操作性はそんなに変更はないだろう。


「甘いな。新要素はたっぷりあるようだし、テスターという有利はほとんどない。第一、舞台が違うらしい。お金とと成長させた精霊1体は引き継げるらしいが。そして、現代文は意図が難しすぎるて意味不明だ」


「現代文に関しては納得できるな。それで精霊って?」


「プレイヤーは始めに精霊と契約を交わすんだ。始めの段階で選択できるのは属性のみで、容姿や階位はランダム。他にも契約はできるから、最初のものを育て続ける人もいれば、複数育てたり、後から仲間になった精霊を重点的に育てる人もいたな」


「ふ~ん。そうか。いろいろあるんだな」


「まあ、そんなに多くの精霊と契約はできないけどな。レベル依存で契約可能数は増えるから、どうしても上限はあるからな。しかし、楽しみだぜー!早く明日にならないかな!!」


卓巳がいきなりテンションを爆上げした。


「そ、そうか。それじゃ、俺は帰るな。途中買い物しないといけないし」


僕は(物理的および精神的に)少し引きながら言った。

「おう、サンキュー。数学は28日にみんなでやろうぜ」


「ん?ゲーム三昧じゃないの?」


「連続プレイ時間に限界があるんだよ。それに昨日連絡があって、頼まれてな」


「直に来ないんだな。良いのか悪いのか、微妙だな」


「ははは。まあ、腹ぁ括れや」


笑いながら卓巳はなんか違うことを言いながら、嫌に似合うウインクをしてきた。


「それはなにか違うだろ。ったく。わかったよ。じゃあ、またな」


そう言い、帰路に着いた。



◇◇◇



帰り道の商店街にて、


「カレー粉に豆腐って、何を作るつもりだ!?」


母に驚愕しながら、頼まれた買い物をした。


「こちら福引券です。外で引けますのでよろしかったらどうぞ」


そう言って定員さんは福引券を渡された。


母があまり福引とかに興味が無いので、全て貰っている。今回で前に貰った分も含めて、ちょうど2回分になった。


せっかくなので、福引を引くことにした。


「2回お願いします」


福引券を10枚渡した。


「はい。どうぞ、2回回してください」


ガラガラガラガラガラぽん

白い玉がでた。

「参加賞のティッシュです。どうぞ、もう一回お願いします」


ガラガラガラガラガラぽん

透明な玉がでた。

カランカラン

「おめでとうございます。特賞の《Element Earth On-line》のソフトとハードのセットが当たりました。どうぞ、お持ち帰りください」


「えっ!? そんな簡単に当たるものなのか」


なんとなく、作為的なものを感じたが、それでも嬉しかった。



◇◇◇



家に帰った。また親は帰ってなかった。買ったものを冷蔵庫に入れ、部屋に入った。


「まさか、当たるとは、………なんか今年分の運をすべて使った気がする」


ちなみに妹は家にはいるようだが、明日の準備をしているのか、部屋から出てこない。


「せっかく当たったんだから、やってみるか」


なんか少しワクワクしはじめた。


「しかし、卓巳や妹どもには知らせないほうがいいかな。あんなに興味なさそうにしていて、やっていると知られたら、何を言われるか分からないからな」


特に双子な妹のステレオの文句は頭に響くからな。




こうして、世界で始めてのバーチャルリアリティを使用したネットゲーム、


《Element Earth On-line》


を始めることになった。


ありがとうございました。


一人称変更しました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ