道具屋と友達と室長(ロリコン)と…………、一部テンプレ?
お願いします。
《ダイブアウト》をした。
「ん~」
体の伸びをした。
さて、洗濯物をしまうか。時間は3時だから、ちょうどいいかな。
庭に出て洗濯物を触る。
「うん。乾いてるな。生乾きでもないし、やっぱり夏はすぐ乾くな」
洗濯物をしまい、たたみ終わったころ。
ドタドタドタ、と姦しい音か聞こえてきた。
ん? 妹かな?
「兄ぃ。いるぅ?」
「お腹が少しすいた」
まあ、妹だよな。両親は今は海外で、姉(大学生)は一人暮らしだし。
「なんだいきなり。昼ごはんは食べてないのか?」
「うん。朝ごはん食べたあと、すぐ潜ったから」「第2陣には負けないよぅ」
「そうか。あれからってことは、ダイブ時間ぎりぎりまでやってたのか」
制限時間があってよかった。なかったら廃人になってるな。
まあ、僕も小腹が空いたからちょうどいいかな。
「わかったよ。晩御飯も7時前後には作るから、軽くだぞ。コンフレークなら、買ってきてるから、それでいいか?」
「「は~い」」
台所に向かい、コンフレークを取り出した。ちなみにプレーンです。ってか、最近はプレーンしか売ってない。昔は甘いのも売っていたらしいが。
「牛乳、豆乳、ヨーグルト。どれがいい?」
「牛乳」「よぅぐるとぉ」
茜が牛乳、瑠璃がヨーグルトか。さすがに豆乳はないか。まずくはないのだが。
「甘味は、苺ジャム、蜂蜜、メイプル。どれがいい?」
「「全部 (ぅ)」」
そうきたか。まあ、全部持っていって、好きな分量の方がいいか。フレークはこちらで決めるがな。
「おまたせ。持ってきたから、好きな量でかけな」
「「ありがとう(ぅ)。いただきます(ぅ)」」
瑠璃はだら~。茜はべた~。と掛けた。
なんか甘味のかける量が多くないか? どちらが多いかは不明だが。まあ、いいか。僕も食べよう。
「そういえば、兄ちゃん。今は第2の町を拠点にしてるんだけど、その周りのフィールドに、次の町に続いてそうな洞窟を見つけたんだよ」
「そぅそぅ。そこを超えれば、チューリアルも終わりぃ。ギルドも多分作れるし、他にもクエスト、イベントが盛り沢山だよぅ」
おおう。そうなのか。でも、そんな簡単に行くのかな? う~ん。2週間っていう時間が鍵だと思ったが、時間は関係ないのか?
「そうなのか。ってことは、今回もボスがいるのか」
「うん。そうだよぉ。今回も一番乗りだぁ」
「他の人には、負けないよ」
「ははは、頑張れ」
意気込んでる妹に押され気味に、笑いながら言った。
「「うん! ごちそうさま!」」
そう言うと、部屋に戻っていった。
タタタタトトトトタタ、と明らかに走っている音が聞こえてきたが、まあ、いいだろう。でも、時間的にはまだ入れないんじゃないか? まあ、リアルで打ち合わせかもね。
もぐもぐもぐもぐ
くちゃくちゃ音を立ててはいけません。
「ごちそうさまでした」
自分と妹の分の食器を洗い。水を飲んで、トイレに行ってから、《ダイブイン》した。
◇◇◇
ファストの広場に降り立った。
さて、う~ん。
調合でもしようかな。ファノに貰った水も結構あるし、全部使って試行錯誤しようかな。
前回お世話になった、道具屋さんのところで、いい作業場はないか聞くことにした。多分大丈夫だろう。
「こんにちは」
「いらっしゃい。おう。あの時の嬢ちゃんか。今日はどうした?」
相変わらず、中に人が入ってるんじゃ。いや、もしかしたらプレイヤーか? でも、プレイヤーは店舗をまだ持てないしな。
「どこかで調合をやるのにいいところを、知らないか聞こうと思いまして」
「う~ん。…………なら、うちの作業場を貸してやろうか?」
「いいんですか!?」
道具屋さんの部屋なんか借りること出来るの!?
「ああ、嬢ちゃんならかまわないぞ。なかなか、腕も良さそうだからな」
「それでは、お借りします。あ、僕の名前はニズといいます」
「おう。ニズか。んじゃ、ニズ嬢ちゃん。俺の名前はエドワードだ。エドって呼んでくれ。よろしくな。作業場はそこのドアから入ってくれ、中に人がいるが俺が許可したといえば納得するだろうよ」
「わかりました。ありがとうございます」
僕はドアから中に入っていった。
ポーン
〔称号[レニクス王に認められた者]を取得しました〕
王!?王様ってこと。なんでここに! いや、なんかあるんだろうな。その前に知りたくなかったが。これってならないように設定できないのかな?
あとで確認してみよう。そんなことを考えた。
コンコン。ドアをノックした。
「失礼します」
「あなたは?」
中には女の子がいた。
「エドさんに、作業場を貸してもらう許可をいただきました」
「祖父にですか。わかりました。でしたら問題ないです」
この人、今、王様を祖父って言ったよね!? てことは!
気にしたらダメだな。きっと何か理由があるのだろう。
「ありがとうございます。一応、道具持っていますので、場所を貸して頂くだけでかまいません」
「わかりました。ですが、祖父が許可したのです。必要とあらば、道具も自由にお使いください」
「はい、わかりました。ありがとうございます」
優しい人のようだ。
「あ、僕の名前はニズと申します」
「これはご丁寧に、私の名前は、シルフィーナと申します。祖父が認めたかたです。シルフィとお呼びください」
「わかりました。シルフィさん」
「はい。作業場はあちらのドアです。どうぞごゆっくり」
ドアに向かった。ドアノブに手を掛けたところで呼び止められた。
「あ、あの、ニズさん」
「はい。なんでしょう?」
「あ、あの、その、あの、う~~」
?
「お、お友達になって頂けませんか?」
おおう。そういうことか。エドさんの孫らしいから悪い子ではないんだろう。しかし、王族と、……………う~ん。ん?
涙目でこちらを見ていた。
んなっ!
「わ、わかりました。僕で宜しければ」
にこっ、と笑って答えた。少し苦笑ぎみになっていたのは、許してもらいたい。
「あ、ありがとうございます。そ、それで、ですね。私のこと、シルフィを呼び捨てで呼んでいただけませんか? ニズさんのことも、ニズと呼びたいので。あと、言葉使いも…………」
もじもじ、しながらそんなことを言われた。
「わかったよ。シルフィ。これでいい」
「はい。ニズ♪」
にこにこ、しながらシルフィは言った。喜んでますね。
ポーン
〔称号[レニクス王の孫娘のお友達]を取得しました〕
そこから、エドさんの仕事が終わって、部屋に入ってくるまで、ずっとお話しすることになった。エドさんが来たら、ご飯の支度を手伝ってくるとかで、部屋を出て行った。
シルフィの話しが止まらなかった。途中、なんか聞いてはいけないことも混じっていたような気がするが、気にしないでおこう。
「ニズ嬢ちゃん。お疲れ様。すまなかったな」
「いえ。お話しが楽しかったですよ」
エドさんから労いの言葉をもらった。
「シルフィは友達ができない環境にいたから、友達ができて嬉しかったんだろう」
「そうなんですか。僕も楽しかったので、かまいませんよ」
「ありがとう」
「いえいえ」
「実はな。うちの家系のものは視る力が強く精霊に好かれやすいんだ」
なにか唐突に、話し出した。家系ってことは王族の話かな。
「視る力ですか?」
「ああ、シルフィはそれが特に強い。その力はうちの家系では、重要視されるものなんだ。そのせいで、シルフィは権力争いの道具にされかけたんだ」
「…………そんなことが、あったんですか」
この話は僕が聞いていいのか?
「それで、このまま道具にされ続けたら壊されてしまうと思い、シルフィをつれてこの町にきたんだ。本来なら父や母のそばに居たいだろう。…………精霊冠の戴冠が終わりさえすれば、シルフィを家族の下に帰すことができるのだが」
「………………………………………………………」
「精霊冠は少し特殊で、いつでも簡単に戴冠できるものではない。大いなる精霊様から認められる必要があり、戴冠式の時期が決まっている。ほとんどの場合は王位継承が済んでから行うものなんだ。さすがに4年に1回しかできないとなるとな。だから、王位継承と精霊冠の継承は別なのだ。そのため、戴冠前に王位を継承したのだが、その王位継承が引き金になってしまった。あるとき、自分が王になりたい一心で、シルフィを取り込もうとする者が現れたんだ。精霊冠の継承は大いなる精霊様が決めるから、シルフィは精霊に愛されているという事が、精霊冠の継承に有利だと思ったのだろう。実際に王位継承を終えてから、王以外のものが精霊冠を継承して王になった記録もある。それほど、精霊冠とは重要なものなのだ。そのため、まだシルフィは狙われている。まったく、王位は既にアルに継承したのだから、ヒューズは諦めればいいものを、私が甘やかし過ぎたか?」
ふう、とため息を吐いた。
「まあ、私が傍にいるから、そう簡単には手を出せないだろうけどな。それに約1ヶ月後に、【エレスト】で戴冠式が行われる。戴冠式は精霊祭で行うと決まっている。それが済めば、問題は解決だ」
明らかに王家の話だよね。途中から、ぶっちゃけてたよね!? シルフィを取り込もうとしてるのって、多分ヒューズって人か、その一派だよね!?
それに約1ヶ月後か。う~ん。そういえば、この世界って、1日が何時間なんだろう? 広場の時計塔の文字盤は、一応12分されてるが、本当のところは分からないな。その前に暦が分からない。
「【エレスト】というと、【精霊使帝都市エレスト】ですよね」
「そうだ。他の町や国からも人が来るぞ。【エレスト】の精霊祭は4年に1回行われ、一週間に亘って開催される。王都では毎年あるが、【エレスト】では4年に1回なんだ。今回、戴冠式は、そのメインイベントとして行なわれる。一般への発表はまだしてないけどな。まあ、戴冠式があるときは、1ヶ月前から【エレスト】内部に入ることができなくなるから、バレバレといえばバレバレなんだけれどな。と言っても、その前に一般人は戴冠式に出席できなしな。」
「町の中に入れないんですか?」
物資は不足しないのだろうか?
「ああ、そうだ。まあ、一応、商人なんかは例外で入れるが、基本的に都市外の者は入ることはできない。入れるようになるのは、精霊祭が開催される3日前からだな。そして、祭りは1週間行われる」
「1ヶ月前からですか。何かあるのですか?」
「大いなる精霊様を召喚する準備のためだ。召喚には地脈と気脈が関係していて、人が多く流れると気脈のほうが乱れやすいんだ。その乱れを沈静化するために、1ヶ月かかるんだ。と、言っても、大いなる精霊様は一般の人では会えず、地位の高いものしか御目通り出来ないが」
「地位が高いですか。貴族とかですか」
「そうだ。しかし、貴族以外にも高位の精霊と契約していれば、話しは別だ。あそこは【レニクス王国】ではなく。精霊使帝が統べている場所だからな」
「【エレスト】は王都とは違うのですね」
「王都は【アイレリーフ】という名前だ。まあ、【エレスト】も大きい都市だから、間違えるもの無理はないな。特に異世界【ティエラ】から来たものにはな」
そうなのか。確かに名前も精霊使帝都市であって、王都ではないな。………ん? 異世界?
「この【〔レ・フォスリトス〕】には7つの大陸がある。名前は【ウァリエテラ】【アクアヴィテ】【カリブンクルス】【ウェントクラルス】【ミッラルシオラ】【ノックスニゲル】【メトゥス】で、そのうち6つの大陸1つ1つに、精霊使帝都市がある。その都市を統べているのが、精霊使帝だ。ちなみにこの大陸【ウェントクラルス】の精霊使帝は、大精霊エレストと契約している者が継ぐんだ。契約する家系は決まっていてな、契約した者が当主となる。今の精霊使帝はアルベルト・A・エレストという人で、温和で寛大な人柄で、とても民人に好かれているよ。」
他にも大陸があるのか。っていうか。この世界広いな! ん? 6つ?
「なんで、7つではないのですか?」
「1つの大陸には人の町がないんだ」
「町がない?」
「そうだ。大陸の名前は【メトゥス】。その大陸は、邪呪霊が加護を与える邪王の支配領域なんだ。だから、人が足を踏み入れれば命は無い」
「そんな存在がいるんですか?」
魔王じゃないのか!? ってことは、魔族は敵ではないのか。
「ああ、いる。まあ、邪王は人類の敵と言っても、間違いではない。今までの歴史の中で何度も侵略を受けたからな。こちら攻めたことは一度も無いのだが、資源があまりないのか、それとも他の理由があるのか分からないが。ちなみに勘違いさせないように言っておくが、魔王と邪王はまったくの別だ。魔王は魔族の王であって、邪悪な存在ではないからな」
「そうなのですか。それでは、呼び方を変えたほうが良い気がしますね」
「確かにな。語感と言うか、感覚が近いから、昔から魔族を邪王の配下と勘違いするものは、多いからな」
ふ~ん
………………………………ん!?
「その話を僕にしてよかったのですか? 結構重要そうな話が混ざっていたのですが」
「ああ。かまわない。ニズ嬢ちゃんなら話しを広めたりしないだろうからな。第一、後半は子供でも知っているような事だしな。それに、この短時間で、あそこまでシルフィが懐いたんだ。そして、私たちには視る力がある。私でもお前は無条件に信用しても平気だと思ったんだ。なんというか、勘というか、本能というか、まあ、それで確信できたんだ。今までこんなことなかったからな。…………いったい何者なんだ?」
一人称が変わっているな。こっちが地かな?
しかし、何者か。う~ん。 ん!? もしやアレのせいか。
「もしかしたら、私が精霊に近しい者だから、かもしれませんね」
「精霊に近しいもの?」
「はい、そうなんです。思い当たることはそれぐらいです。ハイ・エルフの長が言っておりました。僕の力は人とは異なると。精霊の影響を受けてるそうです」
少し言い回しは違うが、まあ、似たようなものだろう。
「ハイ・エルフの長と知り合いなのか。それに、精霊か。そうか、だからか」
?
頭を傾げた。
「いや、初めて会った時に、違和感があるほど、違和感がなかったんだ。そうか、そこに居ることが当たり前の存在と近しい存在だからか」
うんうんと、なにか納得しているようだった。まあ、納得できたのなら、いいか。
「ご飯できたよ。ニズも食べていって」
パタパタパタパタ、むぎゅ、っと
シルフィが小走りでこちらにきて、抱きつきながら言った。
話しの途中から良く抱きつくようになったが、これは?
「ははは。ずいぶん懐かれたようだ。そうだな。ニズ嬢ちゃんも食べていきな」
エドさんも笑いながら、そう言って誘ってきた。
リアル時間的には食べてからでも、なんとか大丈夫だな。そして、抱きつくのは友情の証のようだ。
「わかりました。ごちそうになります」
その後、女性店員兼侍女らしいアンジェリカ、アンジェさんも交えてご飯をいただいた。ご飯の味は絶品でした。レシピを貰ったので、あえて現実で作ってみようと思います。
「ごちそうさまでした」
「おう。また来い。と、いうか作業できてないだろう」
「うう。ごめんなさい。つい楽しくて」
「僕も楽しかったよ、シルフィ。それじゃエドさん。また来ます」
「おう、気をつけてな」「またね。ニズ」
「はい。お邪魔しました」
ポーン
〔称号[レニクス王に認められた者]は、称号[レニクス王から信頼を得た者]に進化しました〕
ポーン
〔称号[レニクス王の孫娘のお友達]は、称号[レニクスの孫娘の親友]に進化しました〕
目の前で《ダイブアウト》するのもあれなので、少し歩く。
あ! そういえば、異世界【ティエラ】って、プレイヤーの住んでる世界。現実世界のことだよな。タイミング逃して聞き忘れてた。機会があって、覚えていたら聞こうかな。
ピロリーン
ん?メール? え!? 運営から!?
開いてみる。
〈あなたはプレイヤーで始めて、この世界におけるプレイヤーを理解しました。また、始めて、世界および7つ大陸の名前、精霊使帝の意味、邪帝の存在、それらを知りました。よって、アイテムと称号が送られます。〉
うん? こんなこともあるのか? まあ、貰えるものは貰っときますか。って、言うか、正式名称は、邪王でなく、邪帝なのか。
そんなことを思いながら、メールを閉じた。
ポーン
〔称号[世界を始めに知った者]取得しました。特殊特典アイテムを入手しました〕
……………うん。時間もないし、確認は後でいいかな。
ピロリーン
ん? また、メール? え!? 室長って。…………やつか!
とりあえず、開いてみる。
〈あなたとシルフィーナがいちゃいちゃしているのが、とても目の保養になりました。よって、私的ボーナスをあげよう。是非とも使ってみてね〉
いちゃいちゃしてないよ! っていうか。これって自動メールなのか? いつから見てた!途中から言葉使いが崩れてるし。
ポーン
〔称号 [存在は正義]取得しました。幼女専用初期装備が進化しました。特殊消費アイテム[早着替宝珠]、固有専用武器アイテム白傘[高貴なる純白]を入手しました。〕
……………………、
…………………………………………、
…………………………………………………………うん。
「室長おぉぉ! いくら開発トップだからって、これはいいのかぁあぁぁああぁぁぁ!!」
ピロリーン
ん? またメール? 室長からだ。
〈大丈夫だ! 問題ない!! 可愛いは正義! ロリこそがジャスティス!! そして、いちゃいちゃムービーは録画済さ!!!〉
「見てんのかぁあぁぁああぁぁぁ!!」
はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、………………ふぅ
「うん。そうだったね。しつちょうってこういうひとだったね」
なぜか言葉使いが若干幼児化してしまった。
その後、俺は少し歩き、《ダイブアウト》した。
ありがとうございました。




