始まりの始まり
プロローグ
2038年、ある一つの会社が仮想現実、バーチャルリアリティ技術の開発に成功した。
その技術は数年であっという間に医療や軍事の分野に波及した。しかし、始めは大掛かりで高価な装置が必要であったため、政府や研究機関しか所有・使用ができなかった。
2043年、しかし、始めにバーチャルリアリティ技術を開発した、ある一つの会社が、小型で安価な端末の開発に成功した。それにより、一般の家庭でも仮想現実の体験が可能になり、数々のゲームが開発された。
2046年、仮想現実の五感と呼べるものを、ほぼ完全に再現できる技術が生まれ、現実と仮想現実はほとんど区別がつかないほど鮮明に、かつ色鮮やかに変わっていった。そして、最新のゲームの中には、第六感や気力、魔力などと呼ばれるようなものも、体感・操作出来るようになった。しかし、仮想現実は情報量の関係で、クローズドゲームにのみでしか使い物にならなかった。
それからさらに数年後、
2052年、情報量の大小に関わらず、タイムラグゼロでの通信方法が確立・開発された。机上の空論と言われたこの技術の開発を、世界は驚愕をもって受け入れた。一部のものは疑ったが、実際にあるのだから認めざるを得なかった。そして、その技術は爆発的に世界中へと普及した。
そして、
2054年、とある日本の大手企業と、とある一つの会社が手を組み、バーチャルリアリティを利用したネットゲームの開発を発表した。その発表は世界中を駆け巡り、その名前もまだ無いゲームは世界中で話題となった。その開発に、国の内外問わず多くの企業が資金の出資に協力し、さらに数多の研究機関が技術提供を申し出た。
2056年春、クローズドテストが行われた。
2056年冬、実際に世界中のサーバーと繋ぎ、αテストが行われた。その時、情報伝達速度が現実を超えていることが判明。仮想現実の中と外で動きに誤差が生じる危険があったが、一度見送られβテスト時のアンケートの項目に入れることになった。
そして、
2057年夏、一般の参加者を募りβテストが行われることになった。応募は世界中で行われ、募集定員が1万人のところに1000万人を超える応募があった。そのため、募集定員を急遽10倍に増やし10万人として行った。
2057年末、βテストは無事に終了した。αテスト時の懸念は、一般のユーザーには許容範囲内で、むしろ好まれる傾向が強かった。それでも、始めに少し違和感を持つものも多かったので、始めは現実と同じ設定をし、ステータスの上昇によって徐々に反応速度の上昇するようにした。これはテスト組と正規版参入組の差を、出来るだけ無くす狙いもあった。
そして、
2058年夏、正規版の完成が告知され、また、全世界同時発売も発表された。
2058年7月20日、全世界同時発売。
2058年7月27日、現地時間12時、サービス開始。
全ての人が主人公になれる世界。
それぞれの大陸より始まる物語。
そして、世界の人々が出会う世界の幕が揚がる。
その世界の名は……………。