実里の ロマンス小説な日々
本編「ココロの宥め方」において、飲み屋で実里が「公私混同して~っ!」と吠えていた実情
あらやだ、私がロマンス小説の主人公みたいな生活を送っているだなんて誤解してないでしょうね。
ロマンス小説真っ青の生活を送っているのは、
ボス、こと 桜井 誠常務です。
「誠」だなんて、誠って漢字に失礼なんじゃないかしらね?
つまり、そういう私生活を送っているってことです。
「実里、花」
「花がどうしたんですか、常務。
それから、名前で呼ばないで下さいって何回も言ってますよね、変な誤解をされますので」
「花をこの間会った弁護士の、なんだっけ、ほら例のあの女に贈っておいてくれ。
誤解ってなんの?」
「名前も覚えてないような女性に花を贈るなんて、流石常務です、先行投資ですか?
誤解っていうのは、電話口で、『この泥棒猫っ!』とか叫ばれちゃうような誤解です」
「先行投資?まぁ、これから始まるかもしれない短くも楽しいお付き合いへのお誘いって事だな。
何だ、『泥棒猫』って」
「短いって最初から決定事項なのが、常務らしいですね。
そういう大人の事情を、10歳も年下のうら若き乙女に明かしちゃうなんて、何て悪人ですか。
しかも、その諸々の後始末の一端を担がせたり、まさしく鬼畜です。
そんな鬼畜に靡くはずがないのに、私の知性を疑う輩がいっぱいいるんですよ」
「20代も半ばになって、うら若き乙女はないだろう。
そういう厚顔なところが、変に勘繰られるんじゃないのか」
「失礼な。それに、直前の私の発言で最も重要なのは『鬼畜には靡かない』ってところです。
勝手に飛ばさないで下さい。
泥棒したいような魚がどこにあるっていうんですか」
「魚か、俺は・・・」
こんな舌戦を ここへ来る車中で行っていたと知ったら、
今迎えに出ている商談相手のシャチョウさんはどんな顔するでしょう?
アグレッシブに仕事をこなしていく、常務・桜井 誠は、確かに有能ではありますが、
この男の私生活に、誠と言う文字は、見当たりません。
・・・私自身が主役になることは、まず!ありませんが、
花を贈ったり、
誕生日のプレゼントを見繕ったり、
ディナーをセッティングしたり、
お別れの(!)ジュエリーを選んだり、私が担う秘書業務は
某有名ロマンス小説のギリシャ人富豪やロシア人富豪の秘書設定とある意味かぶるわね。。。
主人公じゃありませんから!
そこんとこ、よろしく。
「実里、いくぞ」
だからっ!名前で呼ぶな~~~っ!