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4. 猫は芝居を続けない
猫は、見栄を張らない。
背を丸め、毛をふくらませて、
自分を大きく見せることはある。
だが、あれは一瞬の芝居。
長くは続けない。
疲れることを知っている。
人は芝居を続ける。
光の当たる角度を探し、
言葉を加工し、
映える人生を、盛り続ける。
そして、降りる機会を失う。
人は演じ続ける。
猫は一度で済ませる。
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腹を見せることもある。
だが、それは降伏ではない。
敵意をほどく、高度な仕草。
親しみは盾。
本音は腹の下。
天下無双の
ボディランゲージ。
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叱られても、
柳のごとく受け流す。
細めた瞼は、
許しにも見えるし、
ただの眠気かもしれない。
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猫は言い訳をしない。
ただ丸くなる。
そして、目で語る。
「世界は少しだけ
関わらない方がよく見える」




