第2話 制服はブレザー、セーター論争
金曜日の夜、それも翌日に特に用事がない日に行われる論争がある。
「第16回、冬服論争を始める」
「いや、多分今回17回目やぞ」
「そこ、うるさいよ。そこは雰囲気っていうのがあるやん、雰囲気ぶち壊しや。あーあ」
「はいはい、すまんすまん。話進めて議長さん」
「了解!では改めて第17回、冬服論争を始める」
「いぇーい!」
空元気の俺の声が響き渡る。
これまで16回もやってるくだらない会話だが以外に面白い。最初は寒くなってきて女子のセーター姿がいいよねと呟いたのが初めだった。
「セーター着ている時の萌え袖がかわいいんだろうが」
「よく考えてみろ、スーツを夢見てブレザーを着こなそうとしてる方がかわいいだろうが」
なんとも不毛な論争である。よく考えてみれば女性とはみんな可愛いしかっこいい。男性だってみんな可愛いしかっこいい。極論かもしれないが俺はそう思ってる。
「おいおい、よく考え直せよ。制服ってのは自由度が低く私服姿が想像しにくいだろ。だけどな、セーターは私服でも着るから想像しやすいからいいのでないか」
バン。電話の音声には入らない程度に叩く。
「おいおい、ならブレザーの姿は私服が想像出来ないってことは私服姿といい意味でギャップがあるってことだろ」
「うっ、たしかに。でも待てよ。いつも学校ではセーター姿なのに私服だったらパンク系だったらギャップ萌えだろうが」
「うん、それはとても思う。だが眼鏡が似合うのはやっぱりブレザーだろ」
何を言おう、この論争を行っている二人は眼鏡キャラが大好物なのである。
「それはずるくないか。俺たちの共通認識として眼鏡は最高なのだから」
「なら今回の論争の結論はブレザーの方が良いでいいな」
「いや、ちょっと待て」
眼鏡、うん眼鏡はブレザーの方がいい。正直セーターには眼鏡は想像ができにくい。でも眼鏡セーターでもかわいい。しかしだ、こやつは元々スーツ好きだぞ。なら、論破は諦めて相打ちを狙うしかないな。
「おいおい反論がないならブレザーの方が良いだろ」
「うむ、眼鏡ブレザーもいい。しかーし眼鏡セーターもいい。だから相打ちでどうだ」
「は?何言ってんだ」
「だから、引き分けにしようってことよ」
「もしかして負けるのが嫌なのか」
声だけなのにニヤついた顔がみえる。
「いや、そうじゃない。普通にどちらもいいから白黒つけるのをバカらしくなっただけだ」
「ふーん、なんか丸め込まれた気がするけど何となく納得」
「ということで第17回の論争を終わろか」
「了解、今宵もありがとうございました」
「こちらこそありがとうございました」
こんなバカな論争はこいつにしか出来ないんだろうな。でも絶対こいつが彼女とかありえない。だってどんなに考えても同級生なのだから。
「おーい、聞こえてますかー」
「はいはい」
「もう11時をすぎてもうすぐで明日になるけどまだ電話する?」
「そやね、明日は何もないしちょっと雑談するか」
「おっけー、でも12時半には寝たいかな」
「ん、了解」
あー、たぶんそれ以降もやっているんだろうな
「で、なんか話題ある?」
「何にもないなぁ。あ、そういや」……
金曜日の夜だけの論争とその後少しの雑談。毎週こんなことが出来るわけではないからなんとなく贅沢感がある。問題は喋りすぎて空が明るくなる前に寝ることを忘れないだけ。




