99 「政党大会 陰謀のタイムループ」
はいこんにちは。
いやこれね……もう本当に! 観てほしい! 見逃すととてももったいないやつ!
わたくし、たまたま日本公開初日に観に行くことができたわけですが、なにしろタイトルがちょっと硬めな感じやし、「どうやろ、面白いんかな……」って恐る恐る行った感じだったのですよ。
いやまあね、悪役にあのS・J・スーリヤーさんがおられると知ってかなり期待が膨らんではいたのですけどもね!(前回に引き続き悪役がスーリヤーさん……これは期待できるに決まってるじゃないですか!)
そして、観て。
結論。
「みんな行って! 是非いって! これは観ないの絶対にもったいないやつーーー!」
ぜいぜい。
いや大声でいきなりすみません。
まずはデータから参りましょう。
〇「政党大会 陰謀のタイムループ」(原題:「Maanaadu」)
2021年製作(日本公開は2025年)
監督:ヴェンカト・プラブ
脚本:ヴェンカト・プラブ ほか
音楽:ユヴァン・シャンカル・ラージャー
出演:シランバラサン / S・J・スーリヤー / カリヤーニ・プリヤダルシャン / S・A・チャンドラシェーカル / Y・G・マヘーンドラン / アラヴィンド・アーカーシュ / カルナーカラン / プレームジ・アマラン ほか
インド タミル語 147分 R15+
実はわたくし、まだまだインド映画初心者でして、映画を観終わってパンフレットを開いて初めて知ったのですが、今作で意味ありげな役で登場しているS・A・チャンドラシェーカルさんて、なんとあの「タラパティ」ヴィジャイさんの実のお父様であられるんですね! うわあああ、マジかああ! お顔立ちが似ている感じはあまりないのですが、そう思ったらちょっともう一回観にいきたいかも……ってなってしまってます、今(苦笑)。
ということで、ストーリーをちょっとだけ。
もうサブタイトルでおわかりかと思いますが、こちらはいわゆる「タイムループもの」。
監督は往年のタイムループ作品をよくご存じのかたであるらしいことは、作品中のセリフからもよくわかりますが、その「タイムループ」というアイデアだけにとどまらない、非常に完成度の高い作品になっています。
主人公はドバイ在住の裕福な青年・アブドゥル・カーリク。
友人である女性ザリーナが避暑地ウーティで結婚式を挙げるため、それに参列しようとデリーから国内線の航空機でタミルナードゥ州コインバートルに向かいます。
実は彼にはこの結婚式について、とある秘密の目的がありました。
しかし、友人たちと相談してその作戦を決行している途中、突発的な事故が発生し、警察官ダヌシュコディと遭遇することになります。
あれよあれよと思う間に、カーリクはダヌシュコディに歯向かえない状況に追い込まれ、脅されて与党の政治集会でテロ行為をするように仕向けられてしまいます。
結果、その場で射殺されてしまうカーリク。
ところがその瞬間、はっと目覚めるとカーリクはその日の朝、航空機の中で座った状態にもどっていた……!
どうやらこのタイムループが発生するのは、「カーリクが死ぬこと」が発端となるとわかって、彼はどうにかしてダヌシュコディを出し抜き、友達との作戦を決行しようと試行錯誤を始めます。
ところが次第に、この政党大会での暗殺計画を阻止しないことには、過去に起こった凄惨なヒンドゥー教徒とイスラム教徒との間の暴動と殺戮事件が再び起こってしまうということがわかってきます。カーリクはなんとかその事件そのものを阻止しようと動き始めるのでしたが……。
とにかく何度も何度も主人公は死ぬ!
ダヌシュコディもやがてその記憶を持って何度もタイムループすることになり、あんまりにもそれが繰り返されるもんでもう半狂乱になって「現れて 撃って 死んで リピート」と繰り返し絶叫するセリフがあるんですけど「わんだ すった せった リピート!」(ほぼタミル語)これが脳内から離れなくなっちゃった(笑)。
客席、しばしばこのスーリヤーさんのシーンでくすくす笑いが漏れていました。憎々しい悪役には違いないんですが、それでもどこかひょうきんでコメディ調で可愛らしい部分がしっかりあって、もうほんとスーリヤーさんが素晴らしい!
もちろん主役のシランバラサンさんも、わたくし初めて拝見しましたがアクション素晴らしくてカッコよかったです~。
なにしろ本当に見て損はない!
パンフレットを見ると、インドの難しい宗教対立やむごたらしい暴動の過去、それを政治的に利用しようとする人々の存在も少し理解することができます。
エンタメとしてしっかり成立していながら「インドの今」や社会的な問題にまでしっかりと切り込んだ作品。本当に素晴らしい。
というわけで、幸いまだ始まったばかりですし、観に行けるかたは是非どうぞ~。
ではでは、ドスティ!