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90 「コムライヤ爺さんのお葬式」

 

 はいこんにちは。

 今回ご紹介する映画はこちら!

   先日の「カルキ」に続いてまた南インド・テルグ語の映画です。


 〇「コムライヤ爺さんのお葬式」(原題:「Balagam」)

 2023年製作

 監督・脚本:ベーヌ・イェルダンディ

 音楽監督:ビームス・シシローリヨー

 出演:プリヤダルシ / カービヤ・カリヤーンラーム / コータ・ジャヤラーム / アイレーニ・ダル・ガウド / ルーパ・ラクシュミ  ほか

 インド テルグ語 129分


 こちらもまた兵庫県尼崎市の老舗映画館、塚口サンサン劇場さまで。こちらは(インド映画に限らずですが)少し前の映画でも、良いものであればよくリバイバル上映を企画してくださる、信頼できる映画館さまなので、今回も楽しみに足を運びました。

「RRR」のような派手なアクション映画ではないので、好みは分かれるかもしれないな……とは思っていたのですが、そこは「さすが塚口サンサン劇場さま!」でした。


 冒頭は「どうなるのこれ……」と思わなくもない出だしなのですが、もうラストは涙、涙。まぎれもない感動作です。


 舞台は南インド・テランガーナ州の小さな農村。詳しくはラージャンナ・シリシッラ県コーナラーウペータ村、という村らしいです。

 お話は、その素晴らしくきれいな緑の農村地帯の映像から始まります。


 そこに住む老人・コムライヤはちょっと変わり者の風変りなおじいさん。小さな村なので、みんなが顔見知りです。

 コムライヤの孫である青年・サーイルは、あれこれと怪しい事業に手を出しては失敗し、今は借金まみれ。コワモテの借金取りに睨まれていますが、そのことを家族には秘密にしています。

 それで、最近好きになったとある女性との結婚で、多額の持参金が入ることを見込んで、それを使ってなんとか借金を返そうともくろんでいました。


 ところがコムライヤ爺さんが突然に急死したとの報せが入り、サーイルは呆然。

 なぜなら葬式などの忌みごとになると、しばらく結婚式はできなくなるからです。

 怖い借金取りに追われているサーイルは、葬式にやってきてもずっと不満げなふくれっ面。「なんでこんなタイミングで死ぬんだよ!」と不満いっぱいでした。

 さらに、せっかく葬式に来てくれた婚約者の女性とは、そこでケンカ別れに……。


 実はこの家族は、コムライヤの弟や妹まで含めたかなりの大家族。息子もふたり、娘がひとりで、それぞれに子どもつまり孫もいます。

 このうち娘は裕福な男と結婚して遠方に暮らしていますが、長年こちらの息子たちとその婿との折り合いが悪く、なんと二十年ものあいだ疎遠だったらしく……。


 それぞれが自分勝手で争いごとが絶えない家族の様子を描きつつ、何日もかけて行われるインド南部のお葬式の流れが丁寧に描かれていくのですが、そのお葬式の終盤、いよいよお供え物をカラスに食べてもらう儀式に。

 どうやらこれは、故人の魂がカラスに乗ってやってくる、という信仰に基づいたもののよう。それでようやく安堵した魂があの世へ旅立つ……ということのようなんですが、なんとそのカラス、近くには来るのですがどうしてもお供え物を食べません。

 日をおいてもう一度トライするも空振り。

 それでようやく、家族たちは「もしかしてコムライヤお爺さんにはこの世に心残りがあるのでは?」と考え始めるのでした……。


 先ほど申しましたが、本当にね、冒頭は「どうすんのこれ」とつまらなく感じてしまったりもするのですよ。家族も村人も自分のことしか考えてないですしね。

 でも……というのが、この映画の最大のキモ。


 それから、前述もしましたがインド南部のお葬式の流れが本当にこまかく丁寧に描かれていてよく理解できるのもよかったです。

 亡骸を荼毘に付したあと、家に帰ってきた家族が家の中に入るとき、どちらの足から入るかなんてことまで描かれていましたし。


 ラストはもう号泣。

 亡くなった方の心を歌うかのような歌い手さんの曲が入るのですが、そこがもう胸アツです。

 本当によい映画ですし「家族は大事にしよう」と心から思える映画でした。

 あたたかい気持ちになりたい人には特におすすめです!

 よろしかったらどうぞ~。


 ではでは、ドスティ!


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