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85 「ピンク」

 

 はいこんにちは。

 今回ご紹介するインド映画はこちら。


 このたびこの映画を観ようと思ったのには、大きく分けてふたつの理由がございます。

 ひとつは、日本国内・大阪で最近おこなわれた、複数男性による女性へ性犯罪の裁判結果に疑問をもったこと。もうひとつは、たまたまですがAm〇zonプライムで今だけお安くなっていたこと、です。

 この裁判に関連してSNSで紹介してくださったかたがあり、「それは是非みなければ」と思ったわけです。


 でもまあ、理由を見てくださればわかるとおり、内容はリアルな性犯罪という社会問題を扱った重いものですし、ほぼエンタメ的な部分はありませんので……そこはどうぞご理解いただいて、先へおすすみくださいね。


 〇「ピンク」(原題:「Pink」)

 2016年製作

 監督:アニルッド・ロイ・チョウドリー

 出演:アミターブ・バッチャン / タープシー・パンヌ / キールティ・クルハーリー / アンドレア・ターリング / ピーユーシュ・ミシュラ / アンガダ・ペディ ほか

 インド ヒンディー語 130分


 ヒンディー語とは書きましたが、アニルッド・ロイ・チョウドリー監督はそもそもベンガル映画の監督さんだったそうで、こちら「ピンク」がヒンディー語映画として最初の作品なのだそうです。


 ではストーリーを少しだけご紹介。

 冒頭は、とある若い女性3人が何かに追われるように怯えながら車で逃走しているシーンから始まります。一方、離れた場所にいる若い男性のうちの一人、ラジヴィールは頭部に酷い傷を負って、友人たちに病院へ連れていかれます。

 なんとなく起こったことは察せられるような感じなのですが、実際、具体的にどんな出来事が起こったのかは、話が進むうちに次第に明らかになっていきます。

 逃げた3人の女性の名は、ミナール、ファラク、アンドレア。3人は出身地方こそ違いますが、ニューデリー南部の集合住宅でシェアハウスをして暮らしている女性たちでした。彼女たちは事件に怯え、慌てて自宅のアパートへ逃げかえります。


 この大けがをしたラジヴィールは、実は政治家の甥。それゆれに調子に乗っているところがあり、悪い友人と付き合っていました。

 ラジヴィールは女性たちを殺人未遂等の罪で訴えたうえ、仲間を使って彼女たちやその周囲の人々にまで様々な嫌がらせや誹謗中傷をし、権力をかさにきて圧力を加えはじめます。


 女性たちのすぐ近所に住んでいる老弁護士ディーパク(アミターブ・バッチャン)は、たまたま一連の流れを目撃してしまうわけなのですが、やがて傍観していられなくなり、遂に立ちあがって彼女たちの弁護を引き受けることを決意するのでした……。


 と、文字でこのように起こすだけでも相当胸クソな気持ちになる展開。いやほんま、男たちが女性たちに嫌がらせをするやり方がめちゃめちゃ汚くて執拗で性格悪くて卑怯モンでひどすぎる。

 でも、これがインド社会のリアルをある程度映しているものだともいえるのでしょう。

 はあ、胸クソ……。


 この映画が公開されたことで、「No means No.」という言葉が女性の権利を謳う人々のあいだで駆け巡ったようですね。つまり「『いや』は『いや』を意味する」、女性が「やめろ」と言ったらそれは「やめろ」ということだ、と、そんな意味です。


 日本でもいまだに根強くある「いやよいやよも好きのうち」的な、主に男性にとって(というか性的な加害者たちにとって)都合のいい勝手な解釈を許さない、ということ。


 この映画の中で、アミール・バッチャン扮する弁護士ディーパクは最初のうち、一見頼りなく見えるのですが、実は弱い人たちの持つ権利について、何があっても守らねばならぬというものすごい信念を抱く人として描かれています。

 もちろん原語はヒンディー語ですから「No means No.」と言っているわけではないんですが、裁判中に彼が語るこの言葉は胸に響きました。


 社会問題を考えるうえで欠かせない重要な映画だなと感じました。

 お気持ちがしんどいときにはちょっとお勧めしにくいですが、そうでないときには是非、ご覧になってみられては……と思います。

 ではでは、ドスティ!


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