81 「叔父」
はいこんにちは。
今回もまた、シネ・リーブル神戸さまによる「インド大映画祭」の中からのご紹介となります。これにて、私自身はシネ・リーブル神戸さまによる今回の映画祭の7本をコンプリートした形になりました。
シネ・リーブル神戸さま、素晴らしいラインナップの映画たちを本当にありがとうございました! SNSをみていると、ほかの地方でも同じ映画祭が行われており、それぞれに少しずつ違うラインナップで上映されていた模様。そちらの作品も観てみたかったなあ……!
さてさて。前回と同様、こちらもほぼ前情報などは入れずに観に行きました。
いやしかし……これは、刺さりまくる映画でした、個人的に。
先に申し上げておきますけれども、子どもに対する性犯罪について赤裸々に容赦なく表現されている作品ですので、人によってはフラッシュバックを起こす恐れも。被害に遭われたご経験のあるかたは、どうか鑑賞するか否かは慎重にご判断くださいませ。
ということで、まずはデータのご紹介から。
〇「叔父」(原題:「Chittha」)
2023年製作
監督:SU・アルン・クマール
出演:シッダールト / ニミーシャ・サジャヤン ほか
インド タミル語 140分
それでは、ストーリーの冒頭を少しだけご紹介。
イシュワーランは、姉の生んだ子、姪のスンダリを生まれたときから心から可愛がって、姉とともに一生懸命に育ててきた叔父の青年。
8歳になったスンダリを、毎日バイクに乗せて学校の送り迎えするほどの可愛がりようです。
スンダリはとても活発で、口数が多くてちょっと生意気な女の子。ときどき渡される叔父のスマホでゲームをするのが大好きです。
ところでこの地域では、少し前から幼い少女を狙っての性犯罪がつづけて起こっており、地域の警察はずっと目を光らせて犯人を追っていたのですが、なかなか正体がつかめず、犯人はつかまっていません。
ある日、スンダリの親友で、イシュワーランとも家族ぐるみで深いつきあいのある家の娘が性犯罪者の毒牙にかかってしまいます(なお、その家の青年でイシュワーランの親友である人は警官です)。
様子のおかしいその少女を心配して、スンダリを学校で待たせ、少女をバイクに乗せて送っていったイシュワーラン。でもそのことが原因でレイプの犯人と疑われ、一時警察に拘留されてしまうのでした……。
つぎに狙われたのは、なんとスンダリ。
行方不明になってしまったスンダリを探そうと、イシュワーランと家族、そして近所の人たちも血眼になって彼女を探して走り回ります。
私自身もひとりの娘の母親です。そのためもあって、連れ去られたスンダリの安否がイシュワーランと同様に心配でならず、もう本当に胸が痛むシーンの連続でした……。怯えて泣き震えるスンダリちゃんが不憫でならず。もう、ほんとうにひどい……。
本気で泣き震える演技をするスンダリ役のニミーシャちゃんが、本当に素晴らしい演技をなさっていましたが、もう本気だとしか思えない震えようで、可哀想でならないのです。
これ以上は本当にネタバレになってしまうので書けないのですが、
少し「事前注意」はしたくなるものの、素晴らしい作品であることはまちがいなく。
あ、それから。インドはこの地域だけのことかどうかわからないのですが、こうした女性を狙った犯罪を扱うのに、警察官や弁護士、裁判官などほとんど女性が扱ってくださるという様子が描かれているのですが、これが本当ならとても羨ましいなと思いました。日本でも同様になるといいなと思います。
周囲のインドの男性たちも、事件に直接関係のない街の老人などまで、性犯罪者を「本当に悪いことをしたヤツ」としてまっすぐ糾弾し、つかまえようと頑張ってくれるのも、観ていて嬉しかったです。日本ではなぜか、犯罪者を擁護しようとする男性が多いように感じるので(逆に女性側を責める人すらいますよね)。
あと、これは蛇足なのですが主役イシュワーランを演じたシッダールトさんが、どうかするとお若いころの真田広之さんによく似ている気がして、しょっちゅう「え、真田さん……??」ってなっていました、わたくし(苦笑)。いやまあ、これはどうでもええんですが。
ということで、心の準備は必要な作品ではありますけれども、非常によい作品なのは間違いないので、もし機会がありましたらこちらもどうぞ。
ではでは、ドスティ!




