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78 「アニーディ 赤いチョコレート」

 

 はいこんにちは。

 いやあ、今週は本当にインド映画の話題が盛りだくさんでどうしよう(苦笑)。

 ともあれ、本職(?)である小説のほうもありますんで、小出しで参りますね。すみません!


 さてさて、今回ご紹介する作品はこちら。

 今回もまた、シネ・リーブル神戸さまによる「インド大映画祭」の中からの作品です。

 こちらもほとんどそれらしい前情報を入れずに観に行きました。いや主役があの「囚人ディリ」や「マスター 先生が来る!」でご出演されていてとても印象的だった素晴らしいバリトン声をお持ちのアルジュン・ダースさんであることだけは知っておりましたが。

 ということで、まずはデータのご紹介から。


 〇「アニーディ 赤いチョコレート」(原題:「Aneethi」)

 2023年製作

 監督:ヴァサンタバラン

 出演:アルジュン・ダース / ドゥシャラ・ヴィジャヤン / ほか

 インド タミル語 143分


 これはね……正直、ものすごく「刺さる」映画だと思いました。板チョコを見るたびに、今後この映画を思い出すのではないかと思うほどです。

 いわゆるエンタメ作品というよりも、リアル寄りな文学作品という印象が強い映画です。


 ということで、いつものように少しだけストーリーをご紹介。

 主人公ティルは、身よりもなく、都会でフードデリバリーの配達員をして暮らしている青年です。これがアルジュン・ダースさんですね。

 友人たちと小さなアパートに同居して暮らしているのですが、ティルはちょっとしたことにも精神が不安定になりがちで、そのたびに暴力的な行動をとり、同居人に心配されています。

 ある日、ティルはテレビでチョコレートのCMが流れるのを見て、非常に気持ちがたかぶってしまい、テレビを壊してしまいます。なんとそれが三台目。同居人の男はカンカンで、ティルに「もう出ていけ」と叫びます。


 実はティル、デリバリーの仕事のときにも不愉快な態度をとる客を殺害する妄想をしばしば抱きながら、その暴力衝動をどうにかこうにか抑え込んでいる状態でした。

 自分でもそんな自分自身のことが不安になり、ティルは精神科に通って薬をもらうことに。

 そんな中、とある大きな屋敷にデリバリーに行ったことをきっかけに、ある若い女性に心惹かれていくティルでしたが……。


「囚人ディリ」や「マスター」ではヴィラン側にいる役だったので、厳しく憎たらしい表情が多かったダースさんですが、今回は恋仲になる女性もいる主役ということで、不安な表情ながらもそっと微笑んだり、幸せそうな表情をうかべたり……と、胸を撃ち抜かれる演技がたくさんみられてとてもよかったです。

 いや、お話の内容はさきほども申したとおり、とてもつらくてやるせなくて、悲しくなる部分が多いのですが。


 ティルの過去に起こったできごとがすべての原因になっており、そこにチョコレートが大きく関係していることも、次第にわかってきます。

 だからこそ「板チョコを見るたび一生思い出しそう」という感想にもなるわけで……。


 この作品の中で、インドの田舎の地方ではチョコレートはかなりの贅沢品として描かれています。板チョコ一枚が「五十ルピー」だそうで、そのときティルのお父さんの月収は五百ルピー、借金を返済したあとは三百ルピーしか残らない。なるほど、すごい贅沢品ですよね……。

 これがのちのすべての悲劇につながっていくかと思うとつらいです。


 貧富の差や、富んだ者による貧しい者への蔑視やひどい虐げ、差別など、インド社会のつらく目をそむけにくい側面がしっかりと逃げずに描かれていました。

 ちょっと重たい気持ちになるかもしれませんが、本当にアルジュン・ダースさんが血まみれになりながら頑張っていたので、ぜひ見てあげてほしいなと思います。


 もし機会がありましたらこちらもどうぞ。

 ではでは、ドスティ!


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