69 「花嫁はどこへ?」
はいこんにちは。
今回ご紹介するのはこちらの映画になります!
〇「花嫁はどこへ?」(原題または英題「Laapataa Ladies)
2023年製作(日本公開は2024)
監督:キラン・ラオ
製作:アーミル・カーン / ジョーティー・デーシュパーンデー / キラン・ラオ
出演:ニターンシー・ゴーエル / プラティバー・ランター / スパルシュ・シュリーワースタウ / ラヴィ・キシャン / チャヤ・カダム ほか
インド ヒンディー語 124分 G
まずこれ、大きな注目点がありますよね?
プロデューサーの欄にあの「きっと、うまくいく」のアーミル・カーン氏のお名前があることっっ! 俳優としてすでに圧倒的な人気を持っているわけですが、さらにプロデュースの才能まであるとは……!
ということで、物語のさわりをいつものように少しだけご紹介。
インドの大安吉日には、大勢のカップルが結婚式を挙げるようです。
結婚式用の同じ赤いベールをかぶった二人の花嫁が、満員電車で花婿の故郷へ向かう長い旅の間に、ひょんなことから取り違えられてしまった……! というところから物語はスタート。
「は? なんで?? そんなことある???」って思うじゃないですか。ふつうはそうですよね。私もそう思いましたよ。日本でならありえないし。
でも、そこは人口の多いインド。本当に込み合った列車の中、みんなしてギュウギュウ詰めで座っているという状況。花婿の一人が途中トイレに行った間に駅に到着して、ほかのお客が乗ってきてどんどん座る場所が変わり……などなど、いろんな不運な要因が絡まりあってしまい……。
結局花婿はベールをかぶったままの間違った方の花嫁をつれて、とうとう自分の村まで到着してしまいます。家族はびっくり仰天。
列車の中に取り残された花嫁プールは、そのとき夜だったこともあって眠っており、気が付いたら花婿の姿が消えていて大混乱。
素朴で純真な彼女は、愛する夫に会えなくなって大変な不安に駆られます。しかも「花婿に捨てられた花嫁」として悪い評判が立つことを恐れて、もとの村に戻ることもできない。
それを助けてくれるのが、その駅で仕事をしている少年や青年、そして小さな屋台を経営している女性マンジュでした。
親から「結婚するために必要な知識」しか授けられていないプールは、学校の勉強などもしたことがないらしく、そもそも自分の村の名前も花婿の村の名前もうろ覚え。料理など家庭内での生活の技術はあっても、ひとりで生きていくための知識が非常に乏しいのでした。
女一人でたくましく生きてきた中年女性マンジュはそれを厳しくたしなめます。「そんなことでは生きていけないよ」と。最初は反発するプールでしたが、次第に自分の力で自分の食い扶持を稼ぐことに前向きになっていき……。
一方、村に連れていかれた花嫁ジャヤは、いろいろと怪しいところの多い女性。驚いた花婿やその家族や仲間たちに警察に連れていかれるも、名前を偽ってみたり、持っていたお金をこっそりととある場所に送金してみたりと、不審な行動が多いのでした。
ジャヤはプールとは違って、非常に聡明なイメージの女性。農業のことにも詳しくて、畑の作業で困っていた花婿の家族たちに助言をしてくれたりします。
この理由が明らかになるにつれ、はっきりと「これは女性問題」を扱ったお話なのだな」と、作品のテーマがわかるようになってきます。
ジャヤの本当の花婿は後ろ暗いところの多い男らしく、ジャヤを取り戻すための執念に燃えていますが、前の妻が焼け死んでいるらしく、こいつもどうも怪しい……! ずっとハラハラしていて、「どうなるの、どうなるの」と目が離せませんでした。
ラストあたりはもう、涙、涙……。
本当に真摯な流れでハートフルですし、後半は心からふたりの女性を応援したくなっていました。
また冒頭では「なんやこの男……」とジト目になっちゃう「袖の下大好き」な警察官が出てくるんですが、最終的にその評価が大きく変わる! これは驚きました。そんな魅力的な人物像も多く、見ていて深みがありましたよ~!
あ、そうそう。
わたくし基本的に「よい」と思った作品のパンフレットは購入する派なのですが、今回この「花嫁はどこに?」のパンフレットは色々と親切でよかったですよ~。インドの豆知識や結婚事情などもわりと詳しく説明が入っていて、物語の背景が理解できます。オススメ!
よろしかったらぜひご覧ください。
ではでは、ドスティ!