51 「ジガルタンダ・ダブルX」
こんにちは。
今回は、たまたまSNSで「いまあそこの映画館でやってる!」という情報を得て、いきなり観に行ってしまったインド映画のご紹介~。
ということで、バックボーンとかあまりよくわかっておらず、知っている俳優さんが出ているわけでもなくて「いきなり観に行って大丈夫なんかなあ……」と、ちょっと不安になりつつ、地元の映画館へお邪魔してまいりました~。
なんか、このタイトルの「ダブルX」(というか作品タイトルのあとに「XX」と書いてある)って要するに「パート2」みたいな意味らしいというのを知って、余計に「いきなりこれ観てわかるんかいな……??」と不安に。
でもでも! 結論から申せば「大丈夫でした!」。
もともとの「ジガルタンダ」というタイトルの映画がどういったものかはまだ存じ上げないのですが、そちらを観ていなくても十分楽しめる内容となっています。
ただし「ジガルタンダ」を観ていた方が、「ここはあのシーンのオマージュだな」みたいなコメントをされていて、そういう部分があちこちにあるらしいので、本当はパート1から観るほうがええんかもしれません。
塚口サンサン劇場さんで上映予定があるようなので、これはぜひ観たい!
〇「ジガルタンダ・ダブルX」(原題「Jigarthanda DoubleX」)
2023年製作
監督:カールティク・スッバラージ
主演:ラーガバー・ローレンス / S・J・スーリヤー
インド・タミル語 170分 PG12作品
ということで、ストーリーをちょびっとご紹介。
まず最初に「偉大なクリント・イーストウッドさんへ深い敬愛を」みたいなテロップがでてきて「ん???」となる。
でもすぐに理由がわかります!
他人の血を見るとすぐに気分が悪くなり気を失ってしまう、気弱な新人警官キルバイ。
ある日、身に覚えのない殺人事件の犯人として捕らえられてしまいます。
悪徳警視ラトナクマールは彼に「マドゥライ地方のギャングの親分、シーザーを暗殺してこい。そうしたら助けてやる」と脅してくるのでした。
仕方なく、仲間とともに「自分は映像作家なんだぞ」と身分を偽ってシーザーの村へやってくるキルバイ。
シーザーは情け容赦のないギャングのボスではありましたが、一方で大変なクリント・イーストウッドのファン。自分で映画の小屋を建て、そこでいつも「荒野の用心棒」などを流してイーストウッドの西部劇映画を堪能しています(映画のシーンに合わせて、自分の敵対者を撃ち殺したりもしてます……・苦笑)。
PG12なだけあって、アクションシーンはかなり残酷でもあるのですが、その一方で、身分を偽ってやってきたキルバイとのシーンはコメディ調。
映画が大好きなシーザーは自分でも映画を作ろうと計画していたのですが、そのためには優秀な監督、素晴らしい脚本が重要。ということで、村じゅうの人々に「なにかいい脚本のアイデアはないか」とお触れをだしていました。
報酬を求めて、大量の村人が列をなしているところへ、おそるおそるやってきたキルバイたち。「やっぱりやめとこうか」「もう逃げようぜ……」とやっているところを、シーザーに引き戻されて、結局彼を主人公にしたニセの映画を作るはめに……。
それでもなんとか、彼を暗殺できないかと狙っていたキルバイでしたが、次第にシーザーの人柄と根本にある精神を知って彼に惹かれていきます。
最初のうちこそテンポのよいコメディが挟まるのですが、実は後半になるにしたがってお話はどんどんシリアスに残酷に、悲惨に、そして悲しみと怒りに満ちた展開にかわっていきます。
この部分が本当に秀逸。
インド社会の闇を抉り出す手法はスッバラージ監督の得意とされているところらしいのですが、本当に衝撃的ですし、涙なしには観られません。
やはり根底にあるのは民衆の怒りであり、反骨だなあとしみじみ思いました。
あ、あと象牙の密猟がでてきて、象さんがたくさんでてくるのも印象的。森の民にとっては恐れ敬う対象である象が、ときに悲しく、また神々しく表現されていました。
今回は地元の映画館である神戸シネ・リーブルさんで拝見したのですが、私が見に行ったのは平日の昼間だったにもかかわらず、かなり席が埋まっていたうえ、最後には拍手が起こっていました。
すばらしい!
すでに「XXX(たぶんトリプルX)」の制作もされているようなので、ますます楽しみです。
ではでは、今回はこのあたりで~!
ドスティ!




