32 「サイラー ナラシムハー・レッディ 偉大なる反逆者」
こんにちは。
今回のインド映画のご紹介はこちら。
このところ、全国各地の映画館で「熱風!! 南インド映画の世界」というイベントが開催されておりましてね。
南インドの「これは!」と思う映画を4作品、しばらく公開してくださっているのですよ。
うれしいですねえ、インド映画の波が来てますね! このままドンドン行ってほしいものです。
イベントの作品内容としては、すでにご紹介したチャランさん主演の「マガディーラ 勇者転生〈完全版〉」、タラクさん主演の「ヤマドンガ」、さらに「プシュパ覚醒」と今回の「サイラー ナラシムハー・レッディ 偉大なる反逆者」の4本となっています。
これはアツい!
「マガディーラ」と「ヤマドンガ」が入ってる時点でもう信頼しかないっ! いやそりゃ、「RRR」からのお二人の人気沸騰にかんがみて、だというのはわかっておりますけどもね。それでもうれしいじゃないですか。
「サイラー」と「プシュパ」については未見のため、どこかの機会にぜひ行きたいっ!
と思っておりましたら、ちょうどこの三連休でしょ? しかも文化の日でしょ?
それで、まずはSNSでの評判などを参考に、「サイラー」の方からお邪魔したような次第です。
なぜ「サイラー」を先に観たかというと、まず、こちらをプロデュースしたのがほかならぬラーム・チャランさんだから!
最初に知ったときは心底びっくりしました。俳優さん、ダンサーとしてのほかに映画のプロデューサーまでなさるんですかチャランさんっ! 才能が半端ない!
しかもこちらの作品の主人公は、チャランさんの実のお父様であるチランジーヴィさん。
チャランさんをご紹介したときに、芸能一家だということはお話しましたが、チランジーヴィさん(通称チル様)はインド映画界、特にトリウッドにおいて「メガスター」と呼ばれるすごい俳優さんです。
……とはいえ、「マガディーラ」でチャランさんのパパとしてちらっとご出演したこと以外、ちゃんと拝見したことがなく。
その程度の知識しかなかったので、いやもう「サイラー」では度肝を抜かれまくりでした。
本当にすごい、チル様すごい。すごいしかない。
まずその存在感。目力。この作品を撮影した時点でもう60歳になられているそうなんですが、とても還暦の人とは思えない! お肌キレイだしパワフルだしカッコいいし野性味バッキバキだし!(語彙力が……)
ということで、ちょっと落ち着いて作品の概要を。
「サイラー ナラシムハー・レッディ 偉大なる反逆者」
2019年制作、167分。テルグ語作品。
スレーンダル・レッディ監督、ラーム・チャラン制作。
チル様のほか、あの「バーフバリ」でご出演の多数の俳優さんたちがご出演。
さらに「アラヴィンダトとヴィーラ」や「ランガスタラム」で悪役をなさったジャガパティ・バーブさん、「マッキー」の悪役だったスディープさん、「マスター 先生がくる!」のヴィジャイ・セードゥパティさんなどなど、まことに錚々たる出演者が次から次へと出てきてもうおなか一杯になっちゃう。
お話の舞台は1840年代の南インド。
当時、そこには61の領主国家があったそうなんですが、そこへやってきた英国東インド会社が征服をはじめ、ひどい圧制で民衆を搾取していました。ありえない税率で人々から農作物や綿を吸い上げ、虐げていたのです。
ウイヤーラワーダ地方の領主となったナラシムハー・レッディは、反目しあっていた領主たちの意見をまとめ、増税に苦しみ怒りを抱いている民衆の支持を大いに得て反逆ののろしを上げるのでしたが……。
実は20歳になるまでにナラシムハーには愛する女性ラクシュミができていたのですが(「バーフバリ」に出演したタマンナーさんが演じる、神に踊りを奉納する踊り子)、実は彼には幼いころに婚約した女性があったことが分かって混乱。
当時、神のお告げがあったとかで成人するまでは彼女と会ってはならないことになっており、本人には婚約したという事実も告げられていなかったのです。彼女に会えば恐ろしい災厄があるだろう、というお告げだったらしい。
苦悩するナラシムハー。
この恋人ラクシュミと、奥方となる女性との関係も、下衆な感じにならず高潔で本当によかったです。
後半になるにしたがってハンカチで涙をおさえずにいられない展開も増えていくのですが、まあとにかくすごいアクション、そして熱さ! そして愛! 信義! にずっと胸が熱くなりっぱなしでした。
素晴らしかったのひとことです。
この反逆から、100年にわたるインド独立解放運動が続くわけで、言ってみればこれは「RRR」へもつづいていくテーマなんだなとしみじみ思うなどしました。
とにかく、観て損はしない映画だと思います。
まだ機会がのこされているかた、ぜひぜひ一度ごらんくださいませ。
ドスティ!