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116 「アハーン」

 

 はいこんにちは。

 今回はこちらの映画。


 ○「アハーン」(原題または英題:「Ahaan」)

 2019年製作

 監督・脚本:ニキル・ペールワーニー

 出演:アブリ・ママジ / アリフ・ザカーリア / ニハリカ・シン / プラビータ・ボルタックール / シルバ・メータ / カザード・コトワル / ハレシュ・ラウト / ラジット・カプール  ほか

 インド ヒンディー語 81分 G


 まずびっくりしたのが、この短さ。

 インド映画でこの短さは私個人としては初めての体験でして……劇場の情報欄が間違ってるんじゃないかと疑ったぐらいで(苦笑)。「え? 181分の間違いじゃなくて……?」と思ってしまいまして。

 でも本当でした。実際みてみると短さは感じなかったのですが、本当にちょうどいい感じ。


 主演のアブリ・ママジさんはダウン症の当事者でもいらっしゃる方で、こちらの映画がデビュー作だそうです。

 そう、こちらはダウン症をテーマにしている作品なのです。


 ではストーリーをいつものように少しだけご紹介。

 インドの大都市ムンバイに住むアハーンは、ダウン症をもつ25歳の青年。愛情のある両親とともに、母親の仕事であるケーキ販売の仕事を手伝いながら何不自由なく暮らしていました。

 けれども両親は彼を心配するあまり、彼の自立を阻んでいます。自分たちの暮らす家に縛り付けるようにして共に暮らしているのですが、それがアハーンにとっては窮屈に思えるのです。

 彼には夢が。「自分の仕事を持ちたい」「それでお金を稼ぎ、大きな家を買いたい」「ステキな女性と結婚して家族になり、子どもも欲しい」……。けれども彼がその望みを口にしても周囲の人たちは困ったように苦笑するだけ。


 一方、中年男性のオジーはあまりにも神経質で厳格な性格、さらに病的なほどの潔癖症が災いして妻アヌに匙を投げられ、家を出ていかれてしまいます。アヌはしばしばアハーンの母親のケーキを注文してくれるお客様で、アハーンのことも友人として仲良くしてくれていた人でした。彼女は手製のビリヤニなどをしょっちゅうアハーンに食べさせてくれる優しい人です。


 さて一人暮らしになってしまったオジー。しばらくは耐えていたのですが、缶詰ばかりの味気ない食事にとうとう耐えられなくなり、アハーンを利用して彼が実家にいるアヌからもらってくる料理のお相伴にあずかるように……。もちろんアヌには内緒でです。


 最初のうちこそ、自宅のソファを食べ物で汚したりなどするアハーンのことが気に入らなかったオジーでしたが、付き合ううちに次第にふたりは心を通わせるようになり。やがてアハーンの将来の夢を聞いて、オジーも行動を起こすのでした……。


 本当にね、嘘がなくて真摯でまっすぐで心温まるすてきな映画です。

 ダウン症や潔癖症などの難しい問題を扱っているのに、そうした重さがさほどないのも見やすいポイント。


 ダウン症の少年の映画としては、比較的最近みたアメリカ映画の「チョコレートドーナツ」を思い出すわけですが、あのように悲しい結末ではなくてほっとしました……途中、ドキドキしてしまうシーンはあったんですけどもね。


 心あたたまる良作です。よろしかったらどうぞ。

 ではでは、ドスティ!


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