105 「オレンジ」
はいこんにちは。
今回はこちらの映画~。
あああ、遂にやっと日本で日本語字幕つきで観ることができてうれしかったです。あの「RRR」でラーム・チャランさんを知って以降、本当に「いつかは私にも観られるのかな?」って一日千秋の思いで待っていた映画のひとつです!
で、遂にこのほどまたもやあの塚口サンサン劇場さまでの上映(しかも1週間のみ)が発表されて、めちゃめちゃ楽しみにしていたのですが……。
実はわたくし、その直前にまたもや発熱して(例の「レオ ブラッディ・スウィート」マサラ上映の前にも発熱しており)仕事を休んだりしてましてね(涙)。
もうほんと、観に行けるタイミングってその日しか残されていなかったのに、前日にまだ少し熱があったので「もうダメかも……(涙)」って内心かなりヘコんでたんです。
けれども幸い(喉はまだ痛かったり、色々不調ではあったんですが)当日の早朝にはどうにか平熱になり。
平日でしたのでお客様も少なめだし(サンサン劇場さますみません!)、なんとか少し離れたお席をとって鑑賞することが叶いました……ありがとう、インド映画の神様。ありがとう!
っていう前置きはどーでもええですね(苦笑)すみません!
ということでいつものように作品のデータのご紹介から。
○「オレンジ」(原題または英題:「Orange」)
2010年製作
監督:バースカル
撮影:キラン・レッディ / B・ラージャシェーカル
音楽:ハーリス・ジェヤラージ
出演:ラーム・チャラン / ジェネリヤ / シャーザーン・パドマシュリー / プラブ・ガネーサン / プラカーシュ・ラージ / ブラフマーナンダム ほか
インド テルグ語 164分 G
ご覧の通り、だいぶ前の映画ですので、チャランさんがお若いお若い! まずもってそれだけでもう大喜びしてしまう。大画面でこれが観られるだけでもう幸せ!
お話は「やっぱり主役が若いだけに若人向けになってしまうのかな」……という感じの青春ラブストーリーが中心でしたが、結構考えさせられる部分もあって。
オーストラリアはシドニーに住む青年ラーム(お名前がご本人と同じなのって、インド映画ではわりとよく見るのですがこれはなぜかしらん)。
一般的な職業に就くことはせず、自然の中で写真を撮るだとか、街の中でグラフィティアートを描くだとかいうアーティストとして活動しています。
物語は冒頭、このラームが壁に描いた巨大な女性の顔をスプレーで塗りつぶしながら「もう別れる!」と叫んでいるシーンから始まります。騒ぎに集まってきたその女性の父親らしき人や警察官などが彼に「どうしたんだ」「なにがあった」と質問し、彼がそれに答える……という流れで過去のことが語られ始めます。
その話によると、ラームはある時、大学生のジャヌに一目惚れしたというのです。最初のうちこそ「なにこいつ?」みたいな態度だったジャヌですが、次第にラームに惹かれるように。けれども、いざ付き合おうとなった時、ジャヌが「私をずっと永遠に愛してくれる?」と質問したところから、なんだか流れがおかしなことに!
実はラームは過去のとある経験がもとで「永遠の愛」が信じられなくなってしまっていたのです。しかもクソ真面目すぎるぐらいに「嘘をつく」ことを嫌う、心底誠実な人柄のため、どうしても適当に嘘をついて彼女のごきげんをとったりできない。
「今は愛してる。でもずっとは無理だ。ずっとなんて不可能なんだから」と言い募るラームに、ジャヌも悲しくなって喧嘩ばかりに……。
実はこのラームにはいつもつるんでいる仲間の友達たちがいるんですけども、その一人がラームと対照的に不誠実な男で、いつも恋人に適当な嘘ばかりついてその場を取り繕っているのです。彼とラームとの対比がなかなか面白いです。
実はラームのさらに過去というのは、やはり恋愛がらみ。当時、とある魅力的な女性ルーバーを深く愛したラームだったのですが、彼女との非常につらい経験が、ラームを「永遠の愛を信じられない男」に変えてしまったのでした。
「こんなにも愛し合っているはずなのに、ふたりの愛はどうなるの?」と目が離せない展開。
ダンスも歌ももちろんありますし、お若い時なだけあって元気でキレッキレなチャランさんのダンスも見どころです。もちろん、今の練りに練られたお体によるダンスも大好きなわけですが(笑)。
「本当の愛ってなんだろう?」「人はどうしたっていつかは死ぬわけだし、永遠なんてあるはずもなく……」「いつかは冷めてしまうのが愛。だとすれば今の夫婦って本当の愛でつながっているのだと言える?」などなど、色々と考えてしまう映画でした。
まあ、この場合の「愛」って「愛」というよりはいわゆる「恋」の方なのかなと思いますけども。
ひとたび家族になって何年も経ってしまえば、「恋」の気持ちはどうしても下火になるもんですし。日常的に心が恋に燃え上がっていたら疲れてしゃあないもん(笑)。
その代わりに、空気のようにいつも隣にいてくれて安心できる相手になった人に抱くようになるのが「愛情」ではないかしらん。
いつかはいやでも別れねばならない日が必ず来ますが、それまではわが身を愛すがごとくに相手も愛する。相手のいやがることをしないだけじゃなく、喜ぶことを進んでしたいと思えること。それが本当の「愛」かしらんと。
まあこれは私個人の考え方ですけどもね。
この映画をご覧になった皆様はどのようにお考えになるのでしょうか。
ではでは、ドスティ!